新型コロナウイルスの流行をきっかけに、オフィスの出社率が注目されるようになりました。それに伴い、出社率を調整するために、在宅勤務やテレワーク制度などの新しい働き方を導入したい、でも実際にはどのようなメリットがあるのだろう、そんな悩みはありませんか? この記事では、アフターコロナを見据え、今後求められるオフィスの姿や導入事例を、出社率の変化と合わせて紹介します。
オフィスの出社率
出勤者7割削減の要請が内閣府から出されて以降、多くの企業で在宅勤務が導入されました。 によると首都圏では出社率50%未満の企業は4割程度で、底堅い印象です。ここでは出社率と、それに深く関係する在宅勤務・テレワークの導入率、今後の動向について説明いたします。
【出典】ザイマックス総研の研究調査「働き方とワークプレイスに関する首都圏企業調査 2022年1月」
テレワークの導入率
もともと在宅勤務やテレワークは、一部の限られた人が育児や介護などの事情で使う、福利厚生的な位置づけの制度と見られがちでした。しかし、東京都が行った調査では、2021年10月時点でテレワーク導入企業は55.4%(300人以上の企業では86.7%)、社員の実施率は48.3%となり、今や多くの企業で一般的なワークスタイルのひとつとなっています。
オフィスの価値の見直し
ただし、在宅勤務やテレワークの導入だけではワーカーのニーズを満たせません。 ザイマックス不動産総合研究所の行った調査では、2021春から2022年春にかけて、オフィスにおける「コミュニケーションの場づくり」「個室やブース」「オフィスのフレキシブルなレイアウト」のニーズが伸びており、オフィスの価値が注目されています。
【出典】ザイマックス総研の研究調査「働き方とワークプレイスに関する首都圏企業調査 2022年1月」
出社率抑制のために導入されたテレワークを振り返る
テレワークは資料作成などの個人ワークなどには有効ですが、活発なコミュニケーションを伴う仕事については生産性が落ちる傾向があります。そのため、よりコミュニケーションの促進ができるオフィスのかたちが求められています。
テレワークのメリット
テレワークでは、途中に人から話しかけられることなく作業に集中できるため、資料作成などの個人作業に大きな効果があります。コクヨによる2020年の調査では、資料作成などの個人ワークは圧倒的にテレワークが支持されている結果が示されました。また、通勤時間の削減や満員電車・渋滞による心身の負担軽減もメリットとしてあげられます。
【出典】コクヨSmallSurvey「テレワーカーから見たオフィスの価値」レポート コクヨ株式会社 2020.11実施 n=309
テレワークのデメリット
個人ワークでのメリットが見られる一方、綿密なコミュニケーションが必要な業務にはマッチしません。 業務の相談、アイディア出し、スキル教示などはテレワークに不向きなことがわかります。また、自宅にて一人で仕事をしている人などは孤独を感じやすく、オン・オフの切り替えが難しいことなどのメンタルヘルスへの影響も懸念されます。
【出典】コクヨSmallSurvey「テレワーカーから見たオフィスの価値」レポート コクヨ株式会社 2020.11実施 n=309
アフターコロナのテレワーク
テレワークを実施してみて、自社に合っているか、社員はどう感じたかは会社によって異なります。アフターコロナでは会社のビジョンや方向性に合わせて働き方を考え、それを踏まえて「出社率」について検討しておくことが、オフィス作りに欠かせない視点となります。アフターコロナ時代のオフィスは、低下する出社率に対応できるよう、新しい形を考える必要があります。
新時代の働き方「ハイブリッドワーク」とは
新しい時代のオフィスの形態がハイブリッドワークです。 在宅勤務とオフィス勤務を取り入れた形態で、さらなる生産性向上や従業員満足の向上、スペースの活用ができるメリットがあります。
【事例】コクヨ社員のハイブリッドワークの実態(2022年6月時点)
コクヨ株式会社のハイブリッドワークの事例を見てみましょう。 生産性向上により空いた時間で新しい知見を獲得することを目指し、働く環境を選択可能な「THE CAMPUS」と呼ばれるオフィスにてハイブリッドワークを開始しました。 その結果、出社率は2020年1月の82.8%から、2022年6月で50.5%と、約30ポイント減少、Web回数は約1,400回から、33,000回と激増しました。可処分時間の創出実感は65.8%、昨年から19.9%アップ、コロナ禍を経てハイブリットワークが定着し、効率的な仕事ができているといえます。
ハイブリッドワークのメリット
業務内容に応じて効率の良い形態を選択できるのがメリットです。 資料作成は在宅勤務、活発な討論は対面で行えば生産性が向上します。 次に、育児や介護による離職を抑えられます。 ハイブリッドワークにより負担を軽減し、家庭との両立が可能です。 さらに、柔軟な働き方ができる会社であることを対外的にアピールすることで求職者のニーズを満たし、より優秀な人材の獲得が期待できます。 在宅勤務も出社も可能なため、多様な働き方のニーズを満たせます。 また、例えば、社員全員分の座席を用意せず、その分、空いたスペースはコミュニケーションスペースとして活用するなど用途の転換も可能です。
ハイブリッドワークの課題
ハイブリッドワークの導入には課題もあります。 まず、コミュニケーション方法の見直しが求められます。 Web会議を使う場合と、出社する場合を明確に決めると良いでしょう。 これらをあいまいにすると、ミスコミュニケーションが頻発するリスクがあります。 また、勤怠管理が難しくなるため、一括管理できるシステムを導入すると便利です。 出社頻度が減ることにより、帰属意識やコミュニケーションが薄れるのも課題のひとつとして挙げられます。在宅勤務は認めるが週に1回は出社する、ビジョン共有時は出社するなど、帰属意識を維持させる工夫が必要です。
ハイブリットワーク時代のオフィスに必要とされるもの
ハイブリッドワークのメリットを最大限に活かし生産性をUPするためには、テレワークで不足する要素をカバーできるオフィスづくりが必要です。例えば、オフィス内でも周囲を気にせずにWEB会議ができる環境や目線を合わせて活発に議論できる場、自宅では整備できないオフィスならではの特別な機能があるスペースなどを用意しましょう。
ミーティングスペース
テレワークの浸透により、これまで以上に対面コミュニケーションの意義も見直されています。気軽に集まることのできるオープンミーティングスペースや、柔軟に人数に応じて場づくりができるキャスター付きの家具を取り入れると、オフィスの価値がより高まります。会議テーブルのイニシアと、スツールのジョインは、どちらも簡単に高さを調整することができます。ミーティングの目的や雰囲気に応じて昇降させ、簡単に使い分けることが可能です。
オールインワンは、テーブルとチェアを一体にすることで、省スペースなテーブルレスミーティングが可能になります。キャスター付きで、自由な姿勢を取ることもでき、社員同士のアクティブなコミュニケーションをサポートします。
Web会議用ブース&個室
Web会議は、社外秘の漏えい対策など高いセキュリティ性が求められます。 コクヨでは、遮音性の高いWeb会議のためのブースを提案しています。 ワークポッドは、ガラス面の個室ブースです。 遮音性が高いガラスにより、安心してWeb会議ができます。
フォーレは、視線が気にならない半個室ブースです。 吸音性のある壁面で、集中しづらい居室でも生産性の低下を軽減できます。
キュノンは、吸音材をデスク上に設置する即席のパネルブースです。 改装が必要ないため、コストをかけず簡単に導入することが可能です。
リフレッシュスペース
適度な休憩は生産性向上につながるため、リラックスする場所は必要です。 また、リラックスした仲間同士での会話は、協力し合う関係の醸成ができ、問題解決のアイディア創出が期待できます。 よって、ひとりでも多人数でも利用できることが理想です。
集中スペース
視線や音が気にならない、集中スペースのニーズも高いです。 ヴェルテはまわりからの視線を気にせず、集中して業務に取り組めます1人用のブース席です。
【事例】出社率の変化に対応できるオフィス
ここでは、新しいオフィス形態を実現した会社様をご紹介します。
コロナを機にフリーアドレスの導入
在宅勤務制度を導入し、減少した社内コミュニケーションや組織間の交流を促進するため、フリーアドレス、ABW型の働き方を取り入れた事例です。Web会議に対応した集中スペースを確保する一方、コラボレーションエリアを設置し、コミュニケーションの活性化を狙っています。 リニューアルの結果、交流のなかった社員同士でもコミュニケーションが活発化しています。
働き方改革とコロナ禍を受けて全面リニューアル
環境の変化に対応しやすいようにフリーアドレス制を導入。部署間の仕切りを見直し、他部署との交流を図っています。 機密性を要する業務や、集中したいときは集中ブースを利用する一方、カフェのようなラウンジを作成し、カジュアルなミーティングからソロワークまで対応できる空間として活用しています。
自社に最適なオフィス面積とは
ここまで、テレワークの実施状況や新時代の働き方「ハイブリットワーク」、出社率の変化に対応するオフィス事例などをご紹介しました。働き方の変化に伴い、改めてオフィスの機能や最適な面積を見直す必要性が高まっています。コクヨマーケティングでは、最適なオフィス面積や機能を簡単にシミュレートできる「オフィス見直し診断」を提供しています。オフィス面積や賃料、従業員数などの情報から、必要なオフィス面積、オフィス環境、コスト削減効果の簡易診断が可能です。
まずは気軽にお試しください。
「オフィス見直し診断」出社率は?面積は?コスト削減は?働き方に応じたオフィスの見直しを10分で無料診断!
まとめ
出社率の現状やこれからのオフィスのニーズ、オフィス事例などをご紹介しました。在宅勤務だけではコミュニケーションに限界があり、ワーカーのニーズを満たせません。ハイブリッドワークなど、柔軟な働き方やそれを実現させる環境が求められています。年間25,000件以上の実績を持つコクヨマーケティングでは、お客様の新しい働き方に合わせたオフィス空間の構築をお手伝いいたします。生産性、快適性が向上するオフィスづくりのご相談は、ぜひコクヨマーケティングにお任せください。
オフィス移転・改装レイアウトの課題を解決します