サードプレイスとは、「居心地の良い第三の場所」を意味します。働き方改革やコロナ禍を背景に注目されるようになりました。
この記事では、オフィスのリニューアルや移転など新しいオフィスづくりを検討している企業の担当者様に向けて、サードプレイスの特徴、導入メリットや注意点、設置事例などを分かりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。
サードプレイスとは
サードプレイスとは、前述のとおり「居心地の良い第三の場所」を意味します。
ファーストプレイス、セカンドプレイスとの違い
サードプレイスの前にファーストプレイス、セカンドプレイスが存在します。ファーストプレイスとは自宅を表し、自分のことに集中したり、プライベートを過ごしたりする空間を指します。
セカンドプレイスはオフィスや学校など、多くの人と関わり合い、社会の一員として過ごす空間です。サードプレイスは人と関わる場所でもあり、自分の時間を過ごしリラックスができる場所でもあります。近年、自宅やオフィス以外で居心地よく過ごせる場所として、サードプレイスへの注目が集まっています。
サードプレイスオフィスとは|ビジネスにおける意味
サードプレイスオフィスとは、プライベートな空間や社会的な空間とも異なる場所を利用した、擬似オフィスです。例えばカフェやコワーキングスペースが該当します。
外部にある空間を個人の作業スペースとして使用したり、打ち合わせをするためのスペースとして利用したりします。集中できる環境は、人によって異なります。そのため、自分らしい時間を過ごしながらそれぞれが快適に集中できる場所を作ることが生産性の向上につながり、働くうえで効果的な手段になります。
サードプレイスオフィスが注目されるようになった背景
働き方改革やコロナ禍の影響によりオフィスの在り方が変化し、サードプレイスオフィスが注目されるようになりました。多くの企業がセカンドプレイスであるオフィスへの出勤を停止し、リモートワークを導入しました。自粛生活やストレスの発散が難しくなったこと、オフィスに出社して働くことが当たり前ではなくなったことから、サードプレイスオフィスが注目されるようになりました。
リモートワークの一貫としてサードプレイスオフィスを実施することによって、仕事の効率化、ストレスの軽減、社員の離職防止などの効果が期待できます。
サードプレイスオフィスの種類(主な3タイプ)
サードプレイスオフィスは主に3タイプです。ここではタイプごとにどのようなメリットがあるのかを解説します。
サテライトオフィスを設置(都心から地方に拠点を分散化)
働き方改革やコロナ禍を背景に、増加傾向にあるのがサテライトオフィスです。本拠地から離れた場所に拠点を構えることで、都心から地方に分散させたいと考える企業にも注目されています。都心から離れた自然豊かな環境が、生産性の向上や社員のメンタルヘルス増進につながります。
事業拡大や新規事業の開始につながるケースもあり、その地域での優秀な人材確保にも役立つといったメリットがあります。
シェアオフィスを活用
企業や個人が仕事をするために空間や設備を共有する場所を、シェアオフィスといいます。サテライトオフィスは企業が別の拠点を構えることですが、シェアオフィスは社外に運営会社があるという点が大きな違いです。
最近では、会社の本社を持ちながらもサードプレイスオフィスとしてシェアオフィスを活用するケース、家族がいて自宅で仕事に集中できないという場合に、自宅から近いシェアオフィスを活用するというケースなどがあります。インターネット環境が整っていて自宅よりも集中できるほか、新規の協業相手が見つかる、人材獲得に役立つといったメリットがあります。
旅先やレジャー施設に併設されたシェアオフィスを活用
最近では、レジャー施設にシェアオフィスやコワーキングスペースを併設するケースも増加しており、新たなサードプレイスとして注目を集めています。
また、バケーション(休暇)とワーク(仕事)を合わせた造語である「ワーケーション」も増えています。観光地やリゾート地などの旅先で仕事をすることを指し、新たなワークスタイルとして話題を集めています。気分転換をしながら仕事に取り組み、業務時間外は休暇を楽しめる、家族との時間を確保できる、長期休暇を取得しやすいといった多くのメリットがあります。
サードプレイスオフィス導入のメリット
サードプレイスオフィスの導入をすることで得られるメリットは以下のとおりです。
- 作業効率、生産性の向上
- 緊急時の事業継続
- 社員のメンタルヘルス改善
- 新たな人材確保
- 優秀な人材の離職防止、雇用維持
- 家庭と両立しやすくキャリアを継続できる
社員にとっては自由度が上がり家庭との両立がしやすく、居住地に左右されないため働きやすくなります。企業にとっては通勤手当やオフィスコストの削減ができる、緊急時においても業務が完全に止まることなく事業が継続しやすいといったメリットがあります。また自由度の高い働き方は、企業イメージが向上し、優秀な人材の確保が期待できます。
サードプレイスオフィス導入時の注意点
ここでは、サードプレイスオフィスを導入する際には、どのようなことに注意するべきかを解説します。
勤怠管理の方法や評価方法を明確にする
サードプレイスオフィスの導入によって、勤務状況が管理しにくくなるというデメリットがあります。勤怠管理システムや業務可視化ツールを活用して、管理者が社員の勤務状況を把握できるようにすると良いでしょう。また、定期的に上司と部下でミーティングを行う、成果主義の評価制度に切り替えるなど、社員への評価の仕組みも見直す必要があります。
セキュリティを構築する・強化する
オフィスであれば十分なセキュリティ対策が行われていることが一般的ですが、サードプレイスオフィスはセキュリティ面が万全ではない場合もあります。たとえば個人情報が格納されたUSBメモリの紛失、フィッシングサイトへの誘導といったリスクがあるため、セキュリティ対策を強化する必要があるでしょう。セキュリティガイドラインの制定や、行動ルールの制定を行うのがおすすめです。
コミュニケーション方法を考える
サードプレイスオフィスの活用をすると必然的に対面コミュニケーションが減少します。1人で集中できるというメリットもある反面、チームワークに支障をきたしたり、社員の孤独感を助長したりする可能性があります。
チャット、ツールの活用など、コミュニケーション方法を考えましょう。たとえば、毎朝のミーティングの前に雑談を行う時間を決めるなど対策を決めておきましょう。
オフィス内にサードプレイスのような場を設ける
今後のオフィスづくりには、個人が快適と思えるサードプレイスの活用が重要になるでしょう。社員が心身共にリラックスできて働きやすい環境をつくることで、企業にとっても良い効果がもたらされます。
また、近年では、オフィス内にサードプレイスのような空間を設けるケースも見られます。
従来、サードプレイスオフィスは、オフィス以外の場所に設置するものとされてきましたが、最近ではオフィス内にラウンジスペースやカフェスペースなどを作り、社員がくつろげる場を提供しているオフィスも増えています。
このようなスペースは、業務中のON/OFF切り替えの場として活用できるのはもちろん、社員同士の交流やコミュニケーションの場としても利用できます。従来の無機質なオフィスにはなかった、社員が快適に過ごせる空間を充実させることが、これからのオフィスではますます大切になってくるでしょう。
オフィス内にサードプレイスのような空間を設置した事例
オフィス内にサードプレイスのような空間を設置した事例をご紹介します。
オフィス内にコワーキングスペースを設置し社員の憩いの場を創出
ブラザー販売株式会社様は、オフィス内にコワーキングスペースを設置しています。ビッグテーブルを中心に、ライブラリー、フェイクグリーン、ソファーを併設し、人が集まる仕掛けを散りばめ、偶発的な出会いから自然とコミュニケーションが生まれる空間を作っています。気分転換やミーティング、ソロワークなど多目的に活用され、社員の方の憩いの場となっています。
オフィス内にカフェをイメージしたリフレッシュルームを設置
西日本高速道路エンジニアリング九州株式会社様は、空きスペースの有効活用として、社内若手メンバーを中心にPJを組成し、カフェをイメージしたリフレッシュルームとソロワークも可能としたミーティングスペースを構築しました。リフレッシュしやすい空間となるよう、壁面にグリーンを設置し、緑あふれる解放感を演出しています。また、小上がりの畳コーナーは、 靴を脱ぐことで、よりリラックスできる仕掛けにしています。
まとめ
居心地の良い第三の場所であるサードプレイスオフィスの導入により、社員のストレス軽減やキャリア継続、離職防止といった効果が期待できます。これからのオフィス戦略や働き方を検討する際は、いかに社員にとって働きやすい空間であるかという視点も忘れてはなりません。
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