オフィスを移転する場合、さまざまな手続きが必要になります。中でも電話の手続きは欠かせません。この記事はオフィス移転をお考えの方や移転を予定している方向けに、必要な手続きや費用の目安などを解説します。オフィス移転の際の電話移設工事にぜひお役立てください。
オフィス移転の際は電話番号を変える必要がある?
オフィス移転の際は電話番号を変える必要があるのでしょうか。確認方法について解説します。
電話番号はNTT基地局により決まる
電話番号はNTTの基地局ごとに管理されています。そのため、オフィス移転することで管轄の基地局が変わった場合、電話番号も変わることになります。また、同じ市内の場合でも丁番によって変わる可能性はもちろんのこと、エリアによっては同じ丁内で変わる可能性もあります。
電話番号が変わるかどうか確認する方法
自社の電話番号が変わるかどうかを確認するには、NTTなど契約している電話会社に確認することで事前に調べることができます。NTTの場合は、お問い合わせ窓口「116」で確認可能です。
オフィス移転の際の電話移設工事の流れ
ここからはオフィス移転の際の電話移設工事の流れを解説します。
事前確認
まずは事前確認について解説します。手順を追って見ていきましょう。
- 契約中の電話回線の種類を調べる
電話回線の種類は以下の2つがあります。
1.アナログ回線
2.デジタル回線
※デジタル回線はISDN回線・光回線の2種に分類されます
上記の種類の確認については契約書を見直してください。契約書が見つからない場合には、電話料金の請求書でも確認ができます。 また、オフィス移転は電話回線の契約を見直すタイミングとしても最適です。併せて確認するとよいでしょう。
- 電話主装置の位置・機種を確認する
電話2台以上のオフィスでは主装置(交換機)が配置されている場合が一般的です。サーバールームやビルの回線引き込み場所の近くに設置されていることが多く、移転先での回線の変更や電話機の設置台数の変更がある場合、影響があるので必ず確認しましょう。
- 移転先で同じ電話番号を使えるかどうか確認する
移転先で同じ電話番号を使えるかどうか確認する理由は前述したとおりです。電話番号が変わる場合は、顧客への周知やWebサイトの修正等が必要になる可能性があります。
移設工事会社の選定
オフィスの電話に主装置(交換機)を導入している場合、多くは機器のメンテンナス契約をしていると思われますのでまずは契約を確認してください。新規で移設工事会社の選定を行う際、NTTに直接依頼する場合と代理店に依頼する場合の2種類があります。代理店の中でも、NTTの正規代理店とそうではない代理店の2種類に分かれます。正規代理店の場合はオプションサービスの追加申込みや、電話回線の新設や増設などで同じサービスでも費用を抑えたり、付加価値をつけたりできます。
正規代理店でない場合には、費用の価格交渉ができたりしますが、中には悪徳業者もいるため注意が必要です。いずれにしても移設工事会社を選定する際は、1社だけでなく、3~4社程度問い合わせをしてください。移転をオフィスの専門業者に依頼している場合は電話移設も含めてお願いするのも手間が省けておすすめです。早い段階から移設工事会社へ情報を共有することで、スムーズなスケジュール調整ができ、移転計画の成功につながります。
- 現状と要望の確認
現状のオフィスではどのような電話回線になっているのかを確認してください。移転先オフィスでは現状の踏襲なのか、変更するのかなどの要望があるのかを確認することも大切です。
- システム図の作成
現状の希望を元に、移転先オフィスの電話回線システム図を作成してもらいましょう。システム図の作成は有料の場合もあります。そのため事前に確認することをおすすめします。
主装置を設置する場所を決定
ビジネスフォンを利用する場合には、主装置を設置する場所を決定する必要があります。主装置は内線と外線をつなぐ役割があります。主装置を設置することで外線や内線、内線間を共有できるようになります。設置場所についてはどこに置いてもいいわけではありません。電源供給ができることは当然ですが、直射日光を避け、高温多湿になるような場所を避け一般的には、人の目に触れない場所に置かれます。主装置の寿命は一般的に約10年程度とされており、移転後すぐに不具合を起こさないように古い機器の場合は買い替えも検討してください。
移転先のオフィスの下見を行う
移転先のオフィスの下見を行う際は、移設工事会社にも実際に来てもらいましょう。通常は、下見の実施までに2週間、下見の実施から工事当日までに2週間ほどかかるケースもあります。そのため余裕をもったスケジュールを組みましょう。
電話回線を引き込む工事を始める
交換機や電話機の設置を行い、電話回線を引き込む工事を始めます。工事にかかるのは半日〜1日程度ですが、オフィスによっては数日かかることもあります。また閑散期・繁忙期の違いでも工事日程は前後することがありますので、事前に工事業者に相談することをおすすめします。
電話機器、周辺機器を設置する
最後に電話機器や周辺機器を設置します。その際、実際の動作確認を忘れずに行いましょう。
オフィス移転の際の電話移設の注意点
以下では、オフィス移転の際の電話移設の注意点を解説します。
スケジュールの確認
オフィス移転の際の電話移設には通常2週間〜1ヶ月程度時間がかかります。また、契約している電話回線の種類によっても手続きに必要な時間が異なり、同じ番号の移転なのか、新規番号なのかによってもスケジュールが変わります。回線(番号)と電話主装置の移転は、最終手配者が違いますので業務に支障がでないように、事前調整と綿密な計画が必要となります。企業の移転は土・日・祝日に行われることが多いため、土・日・祝日から工事枠が埋まります。NTT回線の移転は土日出来ない場合がありますので注意が必要です。さらに、年末や年度末は移転が多いので注意してください。
主装置を設置する必要の有無を確認
従来は家庭用電話機を利用していたものの、ビジネスフォンに変更する場合には、主装置の設置が必要になります。ビジネスフォンに変更することで、1本の電話線で複数の電話機を使用することができますが、同時通話できる数は外線契約数によって決まります。内線電話の設置最大数が交換機の仕様に影響しますので自社で何人使用する必要があるのか事前に把握しておきましょう。
変更後の電話番号の告知
電話番号が変更になる場合には、お客様、取引先にしっかりと告知しましょう。移転アナウンスサービスなどのように、電話番号の変更後古い電話番号にかけた相手に新しい電話番号を知らせるサービスもあります。こういった移転サービスを活用すると手続きがスムーズです。
オフィス移転の際の電話移に必要な費用
オフィス移転の際の電話移転に必要な費用を紹介します。
NTTに支払う工事費用
NTTに支払う工事費用は以下のとおりです。
交換機工事(新設)
交換機工事(新設) | 1,000円/1台 |
---|
室内配線工事
基本工事費 | 2,400円/1工事 |
---|---|
既存のものが使用できる場合 | 4,500円/1回線 |
新規の場合 | 4,800円/1回線 |
移設工事会社に支払う工事費用
実際には工事会社や工事の内容により費用は異なりますが、ここでは参考値として紹介します。
電話移転の費用相場
材料費 | 5,000円~10,000円 |
---|---|
人件費(派遣費) | 7,000円~10,000円 |
主装置設置費 | 7,000円~15,000円/1台 |
電話機設置費 | 7,000円~/1台 |
屋内配線費 | 300円~700円/1㎡ |
FAX接続費 | 8,000円~/1台 |
諸経費 | 工事費の10~30% |
電話回線の種類による違い
電話回線の種類による違いについて具体的に解説します。
IP電話(各社IP電話回線)
IP電話とはインターネット通信網を利用した電話の仕組みで3種類あります。
①構内(自社オフィス内)での仕組み
②公衆回線にインターネット通信回線を利用した仕組み
③両方を取り入れた仕組み。
構内も回線もインターネット通信を利用した③の仕組みに変える事で、構内であればLAN配線を利用出することができ、回線側もインターネット併用でコストメリットがあります。一方トラブル時は同時に通信手段が確保出来なくなるため、リスク回避のため分けて構築する企業が多いです。
IP電話(050番号)
050番号のIP電話は上記と異なり、インターネット回線を利用したサービスです。電話会社への手続きだけで利用できるので、特に工事は不要になります。電話番号の変更は固定電話回線と同じく手続きが必要です。ただ停電になると利用できないというデメリットがあります。またインターネット回線を使用しているため、ネット上で問題が発生すると使用できなくなることもあります。
アナログ回線
アナログ回線とはアナログ信号によって通信をする電話回線のことです。アナログ回線は回線が安定しており、災害時にもつながりやすいというメリットがあります。電話加入権を購入する必要があり高額のため、利用者は減少傾向にあります。NTT東日本・西日本は、2024年1月よりアナログ回線を廃止してIPへ切り替えると発表しました。そのため今からあえて選ぶメリットはありません。
デジタル回線
デジタル回線はデジタル信号のため、音声がキレイに聞こえたり、盗聴されにくかったりするというメリットがあります。ただ2025年には廃止される予定のため、新規利用は推奨できません。
フリーアドレス時の電話取り次ぎについて
オフィス移転先でフリーアドレスの形態を取る場合、電話の取り次ぎが難しくなります。そのような場合はクラウドPBXがあります。構内に置いていたPBX(Private Branch eXchange:構内交換機)をクラウド化することで、インターネット上で通話・通信を行うことができるようになります。また便利な点としてスマートフォンのアプリや、PCのソフトフォンで電話にでることもできるので、社内の固定電話を使う必要がありません。ただしすべてのスマートフォンに外線が鳴り続ける事態にもなりますので、外線を鳴らすスマートフォンを決めるなど運用面を決めることが必須です。
また小規模オフィスでフリーアドレス運用をする場合、固定電話を数台設置して電話番の運用などでカバーすることでコストメリットもあり導入初期にはおすすめです。
まとめ
オフィスを移転する際に電話の手続きは欠かせません。移転先の基地局により電話番号の変更が発生する場合や、使用していた回線によって必要な工事も異なります。工事スケジュールや費用もケースによって異なるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
電話回線の検討時、電話回線は総務部門はインターネット回線・計画は情報システム部門の責任区分で手配されることが多いのですが、VoIP技術(VoIPとは「Voice over Internet Protocol」の略で、インターネット回線を利用して音声データを送受信する技術)の進化でPCインターネット回線・LAN工事も同時に検討するとコストメリットもあり、計画についても同時に着手でき、ヌケ漏れが少なくなるのでおススメです。
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