オフィス改革とは、オフィス環境を見直し、社員の働きやすさを改善するための取り組みのことです。
働き方改革を推進するための施策として、オフィス環境の改善や働き方の見直しをはじめとしたオフィス改革に積極的に取り組む企業が増えています。
この記事では、オフィス改革を検討中の方に向けて、オフィス改革の成功のポイントや具体例などについて解説します。
オフィス改革に取り組む際の参考にしていただければと思います。
オフィス改革とは
オフィス改革とは、オフィスのレイアウトやデザインなどを変更して、社員が働きやすい環境を整備する取り組みのことを指します。ワークスタイルに変革が求められているなかで、用いられるキーワードです。
オフィス改革の目的
オフィス改革の目的と具体策の一例を以下で解説します。
業務効率化・生産性の向上
業務効率化や生産性の向上を目的としたオフィス改革の場合を考えてみましょう。
例えば、
- 1人で作業に集中できるソロワークスペースを設置する
- 業務で連携することの多い部署の近くに、ミーティンスペースを設置する
- チームで一体感を持ってスピーディに連携しながら仕事を進めることができる環境をつくる などがあげられます。
社内コミュニケーションの促進
フリーアドレス制の導入や、コピー機や業務で使う文具事務用品などを1つに集めたマグネットスペースの設置は、オフィス空間の効率化に加え、社内のコミュニケーションを活性化させる目的があります。
場の共有によって、他部署の社員同士の接点が増えるため、偶発的なコミュニケーションの促進につながります。
創造性の向上
部署間の壁を取っ払い執務スペースをオープンな空間にすることで、オフィス全体が見渡せるようになり、どこに誰がいるのか、何をしているのかがひと目で分かるため、部署を超えた連携を促進する効果が期待できます。
さまざまなスキルや知識、情報をもつ社員同士が交流をもてるようになるため、個人や部署内ではできなかった創造性やイノベーションが生まれやすくなるでしょう。オープンなオフィス
メンタルヘルス対策
オフィス内に、カフェやラウンジなどのリフレッシュスペースを設置する、オフィスグリーンを取り入れるなどの取り組みによって、社員のリラックスを促す効果も期待できます。これらは、社員のメンタルヘルス対策としても有効です。
企業理念の浸透
オフィス環境の見直しによって、企業理念の具現化ができれば、社員に自社の理念を浸透させることも可能です。
例えば、外資系化学メーカーのクローダジャパン株式会社様は、オフィス移転を機に、社員からたくさんの言葉を集め、社名をあしらったボードを制作されました。
企業としての存在意義は何か、自分たちは何ができるのか等のテーマで、社員から集めた言葉を配置して制作したボードをオフィス内に掲示することで、企業理念の浸透や帰属意識の向上を図っています。
オフィス改革と働き方改革が同義語として用いられる理由
一般的に、オフィス改革と働き方改革は、同義語として用いられることが多いです。以下では、その理由について解説します。
総務省がオフィス改革を実施している
多様な働き方を受け入れる働き方改革を行う際、オフィス改革もセットで実施されるケースが多くあります。その一例として、総務省では働き方改革の推進とともに、オフィス改革にも積極的に取り組んでいます。たとえば、フリーアドレス制の導入やペーパーレス化、予約せずに気軽に利用できる打ち合わせスペースの設置などが挙げられます。
オフィス改革と共に進めることで働き方改革が実現される
働き方改革には、社員がリフレッシュできる環境の整備によって、ストレスの軽減を図ったり生産性を高めたりするほか、モチベーションを向上させることも目的の一つとして挙げられています。
これらの実現のためには、従来のオフィス環境を見直し、社員が快適に過ごすことができる空間すなわち、オフィス改革と共に進めることが重要です。
オフィス改革の具体策
実際に、オフィス改革を行う際の具体策について、それぞれの特徴や期待できる効果について解説します。
フリーアドレスの導入
フリーアドレスとは、従来のオフィスのように固定席を設けずに、社員が席やスペースを自由に選び、作業を行えるワークスタイルのことです。これにより、他部署の社員との交流の機会が増え、コミュニケーション活性化、連携強化が期待できます。フリーアドレスのオフィス
ペーパーレス化
ペーパーレス化とは、決裁が必要な申請書などの社内文書を紙ベースから電子化に切り替える取り組みのことです。書類の電子化により、申請から承認や決裁までの時間の短縮や、印刷コストの削減にもつなげることができます。
また、ペーパーレス化により、場所にしばられない働き方が可能となり、テレワークの導入やABWを取り入れた働き方への移行もスムーズにおこなうことができます。
リフレッシュスペースの設置
リフレッシュスペースとは、社員が休憩などに利用できる空間のことです。飲み物を飲んだり、居合わせた社員と会話をしたりして、オンとオフを切り替えることができます。業務中に煮詰まったときなどの気分転換にも効果的です。カフェスペースを設置したオフィス
ミーティングスペースの設置
会議室を利用したいときに使えないと、アイデアなどを共有したくても打ち合わせをする機会を失ってしまいます。たとえば、オフィスの一角に、ディスプレイやホワイトボードなどを完備した打ち合わせスペースがあると、ミーティングやオンライン会議なども気軽に行えます。
また、アイデア出しを目的としたミーティングを行う場は、カジュアルな雰囲気のオープンミーティングスペースが適しています。
最近では、アウトドアテイストを用いたミーティングスペースが注目を集めています。
オフィス改革を実現するうえでの課題
オフィス改革を推進する際に、考慮すべき課題があります。以下では、どういった点に課題があるのかを解説します。
フリーアドレス化による生産性の低下
フリーアドレス制は、部署や役職を超えた自由なコミュニケーションを可能にするうえで有効です。その反面、部署内のコミュニケーションがとりにくくなるほか、業務開始までの席決めなどの雑務が発生するなどにより、生産性が低下する恐れもあります。フリーアドレス制を導入する際は、どのような目的をもって実施するのかを明確にしておくことが重要です。
また、想定される課題に対しては、あらかじめ運用の工夫や運用をサポートするツールを導入するなどの対策を検討しておくことが大切です。
マネジメントの見直し
フリーアドレス制やペーパーレス化の導入により、従来のマネジメント方法では円滑な管理が行えないという課題が浮き彫りになります。そのため、マネージャー層以上の管理職によるマネジメント手法の見直しが必要です。
情報管理方法の見直し
ペーパーレス化を行うには、社内で管理する情報をすべて電子化する必要があります。それに伴い、クラウドサービスや自社独自のシステムの構築などを検討しなければなりません。また、インターネット環境の整備や、情報漏えいなどのセキュリティリスクへの対策も不可欠です。
オフィス改革を成功に導くポイント
オフィス改革を実施する以上は、効果を実感できる取り組みを行う必要があります。ここでは、成功のためのポイントを解説します。
目的を明確にする
オフィス改革をすすめる上で重要なのは、目的を明確にすることです。
目的を検討する際は、主に、下記の3パターンの方法で実施します。なお、これらの方法を混合して実施することもあります。
<トップダウン型>
経営陣が会社の目指すべき方向性、ビジョンを策定。経営陣が策定したビジョンに基づきプロジェクトメンバー内で具体的な働き方などを検討し、経営陣に答申
<プロジェクト主導型>
プロジェクトメンバー主導で理想の働き方を策定し、経営陣に答申
<ボトムアップ型>
ワークショップやサーベイを通じて、理想の働き方について社員の一人ひとりの意見を集約し、経営陣に答申
ボトムアップ型で社員の意見を反映したオフィス改革を行う場合には、ワークショップを実施するケースが多いですが、インターネットを利用したアンケートシステム「オフィスサーベイ」の活用もおすすめです。
コクヨでは、社員一人ひとりに対し、今の働き方やオフィスにおける「満足度」や「重要度」を調査し、その結果から、課題の優先順位づけまでを無料で行う働く環境診断「はたナビPro」というサービスをご用意しています。
診断ツールを活用して社員の意見を集約し、定量的に示すことは、経営層と社員の意識のギャップを埋めるための手段としても非常に有効です。
使用目的に応じて選べる空間を取り入れる
オフィス環境においては、社員の使用目的に合った作業スペース を選択できる設えにすることが大切です。
たとえば、フリースペースだけでなく、1人で作業に集中できる場の設置や、気分転換ができる空間、予約なしで打ち合わせができる会議テーブルの設置などが挙げられます。
このように、メリハリのあるスペースを設けることで、社員は自分に合った場所を選び、自律的な働き方を促進することができます。
コミュニケーションが取りやすい工夫をする
コミュニケーションが取りやすい工夫の一つとして、デスクレイアウトが挙げられます。
デスクの配置をジグザク型にすることで、アクティブにひとの動きを誘導し、交流を促進する効果が期待できます。
オフィス改革実施による成功事例
オフィス改革により働き方改革に成功した事例を2つご紹介します。
国家公務員のワークスタイル変革|総務省
総務省の行政管理局では、公的機関におけるワークスタイルの変革を目的としたオフィス改革を推進しています。オフィス環境の見直しでベースとなっている取り組みは、フリーアドレス制です。従来は、窓際の管理職の座席を起点に、役職の順番にデスクを配置していました。
オフィス改革によって、役職や島型のデスク配置にこだわることをやめ、チームごとに自由な座席を選択できるように改善しています。また、予約不要の打ち合わせスペースの設置やペーパーレス化、ICT化のほか、膨大な資料の保管棚を1カ所に集めて配置するなどの工夫も取り入れています。
これにより、個人席における文書量が8割減少したうえに、職員の7割が作業効率の向上を実感できるようになりました。
オフィスリニューアルと共にクラウド導入によるペーパーレス化など、働き方改革に取り組む|株式会社トータテハウジング様
株式会社トータテハウジング様では、オフィスリニューアルをきっかけに、働き方や働く環境の見直しを行いました。
部署間の連携を強化するため、1島1部署で配置し、毎日同じ席で仕事をするという固定席の運用から、フリーアドレス制に変更。執務スペースには、すぐに打合せができるよう、移動式のホワイトボードを設置するなど、コミュニケーション活性化のための工夫をされています。また、場所にしばられない働き方を実現するため、クラウド導入によるペーパーレス化を実現。
これらの取り組みにより、オフィスリニューアル後に社員の方に対して行ったアンケートでは、以下の回答が得られました。
<リニューアル後のアンケート結果>
- 職場環境が快適になった:80%
- 会話が増えた:50%
- フリーアドレスにして良かった:80%
- ICT活用できている:75%
- 資料共有がしやすくなった:60%
オフィス環境の見直しと共に働き方を見直すことで、働き方改革が進んでいます。
これらの取り組みが評価され、第33回日経ニューオフィス賞 中国ニューオフィス推進賞を受賞されました。
株式会社様トータテハウジング様のオフィス改革に関する詳しい情報は、こちらから
まとめ
オフィス改革の実施により、社内コミュニケーションの活性化はもちろん、多様なワークスタイルにも対応できます。上記のポイントや事例を参考にして、自社に合った取り組みを行いましょう。
コクヨマーケティング株式会社は、年間25,000件以上の豊富な実績から、お客様の働き方に合わせた空間を提案する会社です。オフィスの移転や移転後のオフィスの維持・運用に至るまで、ワンストップでサポートします。また、コクヨのオフィス体験ができる「オフィス見学会」も実施中です。
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