ハイブリッドワークの普及により、オフィス環境を見直す企業が増えています。オフィス環境を見直す方法のひとつに移転があります。オフィス移転を機に、企業ブランディングの再構築や従業員の満足度を高める働き方の実現ができるでしょう。しかし、オフィス移転のサイクルは10年に1度とも言われており、頻繫に行われるものではありません。大きな費用もかかるため、スムーズに進めるためには事前準備が大切です。この記事では、オフィス移転にかかる費用やポイントについて解説します。
新オフィスの入居者時にかかる費用
新しいオフィスに入居する時にかかる費用は、「前賃料」「敷金(保証金)」「礼金」「保証会社費用」「仲介手数料」「火災保険料」「移転費用」が挙げられます。ここでは項目別に相場とあわせて解説します。
費用 | 内容 | 相場 |
---|---|---|
前賃料 | 当月分の賃料として貸主に支払う費用 | 一般的に賃料の2か月分 |
敷金(保証金) | 貸主に保証金として支払う費用 |
一般的に ・50坪未満の場合:4~6か月分 ・50坪以上の場合:6~12か月分 |
礼金 | 貸主に謝礼として支払う費用 | 一般的に賃料の1~3か月分 |
保証会社費用 | 保証会社に保証料として支払う費用 | 会社によって異なる |
仲介手数料 | 仲介会社に物件仲介の手数料として支払う費用 | 一般的に賃料の1か月分 |
火災保険料 | 保険会社に保険料として支払う費用 | 一般的に2年契約で3万円程度 |
引っ越し費用 | 引っ越し業者に支払う費用 | 1人あたり2~5万円程度 |
オフィス移転の進め方や成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
前賃料
まずは当月分の家賃として、前賃料を払います。一般的に入居月と翌月と2ヶ月分が必要です。
敷金(保証金)
賃貸借契約を締結する時に、貸主に支払う費用を指します。一般的に、50坪未満のオフィスの場合、賃料の4~6ヶ月分の敷金がかかります。50坪以上のオフィスでは、6ヶ月から12ヶ月分かかるといわれています。
礼金
敷金同様、賃貸借契約を締結する時に貸主に支払う費用を指します。物件によって異なりますが、1ヶ月から3ヶ月程度が目安と言われています。
保証会社費用
ビルオーナーの意向により、保証会社の利用を求められるケースもあります。保証会社によって、費用が異なるため、事前に確認するとよいでしょう。
仲介手数料
入居先のビルを仲介した不動産会社へ支払う費用を指します。賃料の1ヶ月分が目安ですが、仲介会社によって異なるため、事前に確認するとよいでしょう。
火災保険料
原則、必須の費用です。2年契約で3万円前後が一般的ですが、条件や補填内容によって金額が異なることもあります。
▼新オフィス入居の際は、上記のような費用がかかりますが、それと同時に物件の探し方も重要です。オフィス物件の探し方のポイントを知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
移転費用
転用する什器や書類など、現オフィスから新しいオフィスへ移転する時にかかる費用を指します。1人あたり2万から5万円程度が目安です。時期によって車両代や人件費などが異なるケースがあるので、事前するとよいでしょう。
旧オフィス退去時にかかる費用
現在のオフィスを退去する時には「原状回復工事費」「廃棄物処分費」がかかります。一般的に退去通知は6か月前のため、早めに準備するとよいでしょう。
費用 | 内容 | 相場 |
---|---|---|
原状回復工事費 | 内装等を入居時の状態に戻す工事の費用 |
一般的に ・50坪未満の場合、1坪あたり3~5万円程度 ・50坪以上の場合、1坪あたり10~20万円程度 |
廃棄物処分費 | OA機器や什器などの不要物の処分にかかる費用 |
一般的に ・2トン車1台あたり7~8万円程度 ・4トン車1台あたり10~15万円程度 |
原状回復工事費
現在のオフィスを入居前の状態にする工事の費用のことを指します。具体的には、パーティションや造作壁の撤去、床・壁・天井の補修、クリーニング費です。例えば、入居後にカーペットを貼り替えた場合、元のカーペットに戻す必要があります。50坪未満のオフィスでは坪単価3万から5万円程度が一般的です。50坪以上のオフィスでは、坪単価10万から20万円程度かかります。原状回復工事はビル指定業者が請け負うケースが多いです。
原状回復工事についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
廃棄物処分費
不要になった什器やOA機器、書類などの処分費を指します。2トン車1台あたり7万から8万円程度、4トン車1台あたり10万から15万円程度が一般的です。新しい備品は買い取りできる可能性がありますので、あわせて比較検討するとよいでしょう。また、書類を処分する時には溶解サービスを活用するなど、情報漏洩に気を付けるとよいでしょう。
新しいオフィス構築にかかる費用
新しいオフィスを構築するためには「内装工事」「インフラ工事」など各種工事が発生します。それ以外にも「什器購入費」「その他の費用」がかかります。ここでは、項目別に相場とあわせて解説します。
▼また新オフィス構築の際は、従業員が働きやすい環境を意識することも重要です。職場環境については以下の記事で詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
費用 | 内容 | 相場 |
---|---|---|
内装工事費 | 床、壁、天井などオフィスの内装に関する工事費用 | 一般的に1坪あたり10~30万円程度 |
インフラ工事費 | 電気、電話、LAN工事の費用 | 一般的に1人あたり5~15万円程度 |
什器購入費 | オフィス家具など新しい什器の購入費用 | 一般的に1人あたり20~30万円程度 |
その他諸経費 | 新しい名刺や会社案内などの制作費用 | 一般的に1人あたり1~2万円程度 |
内装工事
内装工事とは、主にOAフロア設置、間仕切設置、クロスやカーペットの貼り替え、造作家具の設置を指します。坪単価10万から30万円が目安ですが、工事区分によってはビル指定業者での施工となる場合もあります。工事区分は、A工事、B工事、C工事の3つの区分に分けることができ、区分によって対応する業者が異なります。
A工事:ビル本体の工事を指します。
B工事:入居者が発注して工事費を負担します。ビル指定業者での施工となります。
C工事:入居者が発注して工事費を負担します。入居者が業者を選ぶことができます。
▼オフィス移転の際の工事区分について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
インフラ工事
インフラ工事とは電気工事、電話工事、LAN工事を指します。1人あたり5万から15万円が目安です。フリーアドレスを導入する場合、固定電話の数量を減らすことや、無線LANの導入が必要になります。レイアウトとあわせて検討するとよいでしょう。また、エリアによってモバイルバッテリーを活用することで、費用削減につながるでしょう。
什器購入費
主に執務室や会議室や役員室で利用する什器を指します。1人あたり20万から30万程度が目安です。社員の健康を考え上下昇降するデスクを取り入れる企業や、コミュニケーション活性化や企業ブランディング向上を目的としリフレッシュスペースを設置する企業が増えています。
▼健康経営について詳しく知りたい方はこちら。
▼リフレッシュスペースについて詳しく知りたい方はこちら。
住所変更に伴うその他諸経費
名刺、封筒、会社パンフレットなど印刷物の住所や連絡先の更新が必要です。1人あたり1万から2万円程度が目安です。また、行政書士や弁護士に官公庁への届出書類の代行を依頼する場合、10万から20万程度が目安となります。
オフィス移転費用を節約する方法
オフィスを移転する場合、大きな費用が必要となります。ここでは、オフィスの移転費用を節約する方法について解説します。
トータルで依頼できる業者を選ぶ
引っ越しや内装工事などトータルで行うことができる業者にまとめて依頼することがおすすめです。工程管理や各関係会社との調整なども請け負うことができるため、担当者の負担軽減にもつながります。
フリーレント交渉をする
フリーレントとは、入居後1~3か月程度の賃料が無料となる契約のことを指します。不動産会社へフリーレント交渉が可能か、事前に確認するとよいでしょう。但し、交渉次第なので、成立しないケースもあります。
居抜き物件を利用する
居抜き物件とは、前に入居していた企業が使っていた内装や設備や備品がそのまま残っている状態の物件のことを指します。そのため、工事費や備品の購入費を節約することができます。但し、自社のレイアウトに合わない場合は改修工事が必要となるため、かえってコストがかかるケースがあります。
まとめ
オフィス移転を抑えるためには、費用の相場を知ること、自社にあったサービスを選択することが大切です。
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