「ワンフロアオフィス」とは、複数の階や複数の拠点に分かれていたオフィスを1つのフロアに統合することです。ワンフロアオフィスは、コミュニケーションの活性化や業務効率の改善などの利点があります。また、テレワークや在宅勤務、オフィス勤務を組み合わせたハイブリッドワークが広がる中で、オフィス内の余剰スペースの解消にも貢献し、コスト削減やオフィス環境の向上なども期待されています。この記事では、ワンフロアオフィスの概要について解説します。あわせて従来のオフィス環境の課題やワンフロアオフィスのメリット・デメリット、事例などを解説します。
よく挙げられるオフィス環境の課題
まずは、一般的によく挙げられるオフィス環境の課題について解説します。
空調の調節
従業員の健康を保ったり快適に作業ができるようにしたりするうえで、空調の管理は大切です。もちろん、人それぞれ快適の基準が異なるため、従業員全員が快適に過ごせる温度・湿度を維持するのは困難です。しかし、暑すぎる・寒すぎる、湿気がこもるなど不快な温度や湿度では、快適性や健康に影響を与える恐れがあるため注意が必要です。
十分な換気
オフィス内の換気が不十分だと、空気の質が悪くなってしまい従業員の思考力や判断力の低下につながるリスクがあります。たとえば、換気が十分に行えていないことで香水やたばこの香りなどが気になるケースもあるでしょう。空気の質が低下しないように、適切な換気が必要になります。
照明の度合い
照明が暗すぎるとパソコンの画面や書類が見えにくくなり、作業効率が低下します。また、目にダメージが与えられるため、疲労やストレスの蓄積につながる可能性もあるでしょう。照明の明るさを改善しなければ、従業員の健康に悪影響を及ぼす恐れがあるため、適切な明るさに設定することが大切です。
オフィスの照明について詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。
騒音や雑音
オフィス内の騒音や雑音は、従業員の集中力低下を招いたりストレスの蓄積につながったりする恐れがあります。ただし、まったく音がなく静かすぎるのもよくありません。静かすぎるオフィスでは会話がしにくくなりコミュニケーションが取りにくくなります。常に緊張感があることで、集中力低下やストレスを招く可能性もあるでしょう。
レイアウトの不便さ
レイアウトによっては、従業員の作業効率が低下したりストレスになったりする可能性があります。作業スペースが適切に配置されていない、プライバシーへの配慮がないといったレイアウトはストレスを感じやすくなります。また、動線が最適化されていないオフィスだと、従業員は働きにくさを感じるでしょう。
災害への備え
地震や台風といった災害への備えができているかも重要なポイントです。たとえば、災害が起こった場合に安全に避難できる経路がつくられているか、オフィス家具の転倒防止対策が取られているかなどです。災害への備えがしっかりと取られていることで、従業員が安心して働きやすくなります。
オフィス環境が改善すると得られる効果
オフィス環境が改善されることで、どのような効果が得られるのでしょうか。ここでは、オフィス環境改善の効果を3つ解説します。
従業員のストレスが軽減される
オフィス環境が改善されることで、従業員のストレスが軽減され健康促進につながります。たとえば、適切な温度や湿度を維持して快適に作業できる空間を構築する、照明の明るさを調整して作業しやすくする、などによってストレスが軽減されます。また、動線を考えたレイアウトにすることで動きやすくするなど、従業員の働きやすさを考慮することが大切です。
業務効率や生産性が向上する
十分な作業スペースを確保して働きやすい快適な環境を構築することで、従業員の集中力アップにつながります。集中して業務に取り組むことで業務効率化や生産性向上などが見込めるでしょう。逆に作業スペースが不十分などの働きにくい環境だと生産性が低下します。
従業員満足度が向上する
働きやすく快適な環境や設備が整うことで、従業員満足度が向上します。従業員が自社への満足感や愛着、働きがいなどを感じやすくなるため、結果として生産性向上につながる可能性もあるでしょう。また、モチベーションや定着率が向上するだけでなく、新たな人材の確保もしやすくなります。
注目を集めている「ワンフロアオフィス」とは
ワンフロアオフィスとは、複数階にわかれているフロアを1つの階に集約するスタイルのオフィスです。オフィスのワンフロア化によって、解決できるオフィスの課題も多いとして注目が集まっていますが、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。具体的なメリット・デメリットは事項で解説します。
ワンフロアオフィスで得られるメリット
ワンフロアオフィスで得られるメリットは大きく分けて3つです。ここでは、各メリットを詳しく解説します。
従業員同士のコミュニケーションが活発化する
ワンフロアオフィスにすることで、各部署が同じフロアに存在することになります。異なる階に移動しなくてもコミュニケーションが取れるため、業務の伝達や会話などが生まれやすくなるでしょう。また、例えばこれまでは別のフロアにいた経営陣が同じ空間にいることになった場合、社内の一体感が生まれやすくなる点もメリットです。
コスト削減につながる
複数のフロアにまたがっている場合、フロアごとに備品管理を行っているケースが多く、必要以上の備品を所有していることもあります。ワンフロアに集約することで、備品を共有し重複する分の削減が可能でコスト削減につながります。
オフィス環境の見直しがしやすくなる
ワンフロアオフィスは、オフィス環境の見直しがしやすくなります。複数のフロアや拠点に分かれていると、拠点ごとやフロアごとに施設管理をしなければならないため、管理が煩雑になりがちです。また、各拠点にファシリティ管理担当者がいないケースも多く、そのような場合、ちょっとした不具合にもすぐに対応できず、オフィス環境の悪化を招く一因となります。複数のフロアや拠点をワンフロアに集約することで、日々のオフィス運営にも目が届きやすくなり、常にオフィス環境の見直しが図れるため、働きやすい環境の構築を目指せます。
ワンフロアオフィスで発生するデメリット
ワンフロアオフィスには多くのメリットがありますが、デメリットもあります。ここでは、3つのデメリットを解説します。
プライバシーの確保が難しい
ワンフロアオフィスでは、従業員から社長まで1つのフロアで働きます。そのため、遮るものがないオープン空間の場合、常に見張られているような気分になる、緊張感があって落ち着かない、プライバシーが保てないと感じる人も少なくありません。
室内温度や騒音が気になる
従業員が1つのフロアに集まることで、作業音や会話などが増えます。また、空調を整えても従業員それぞれの好みに調節することは難しいため、温度や湿度などに対する不満が発生する可能性もあります。
ワンフロアオフィスのデメリットを打ち消す方法
ワンフロアオフィスのデメリットを解消するにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、2つの方法を解説します。
プライバシー確保や集中できる環境を用意する
プライバシーを確保するために、視線をゆるやかに遮るアイテムを導入しましょう。ただし、背の高いパーテーションだとワンフロアの奥行き感が消え、圧迫感が出てしまいます。そのため、低めのパーテーションを用意するとよいでしょう。また、観葉植物をパーテーション代わりにするのもおすすめです。インテリアにもなり、やすらぎの空間を演出できます。
集中して作業を行いたい場合には、ボックス席を使うなど作業に取り組みやすい個別のスペースを設置しましょう。最近ではWEB会議の頻度も増えているため、特にWEB会議用のブース席の需要が高まっています。
サウンドマスキングを導入する
サウンドマスキングとは、空調音のような背景音を意図的に流し、隣の席や周囲の音を聞こえにくく(マスク)する仕組みのことです。サウンドマスキングを導入することで、周囲の雑音による生産性の阻害を防げます。
サウンドマスキングに関する詳しい情報はこちらのページをご覧ください。
気分転換できる場所をつくる
ストレス軽減や仕事の生産性をあげるためには、休憩時間の確保も重要です。自席では、周囲の目が気になり充分に休憩できないでしょう。そのため、オフィス内に休憩スペースやラウンジスペースなど仕事の合間に適度にオンオフの切り替えができる空間をつくることをおすすめします。休憩スペースには、書籍やコーヒーマシン、軽くつまめるお菓子など、人が集まる仕掛けも併せて検討しましょう。そうすることにより、活用度の高い休憩スペースとなり、従業員同士のコミュニケーションを促進する効果も期待できます。
休憩スペースに関する詳しい情報はこちらのページをご覧ください。
ワンフロアオフィスの事例
ここでは、実際にオフィスをワンフロア化した事例を紹介します。
4つのフロアに分かれていたエンジニア職をワンフロアに集約
株式会社島津製作所基盤技術研究所様は、研究棟の新設に伴い4つのフロアに分かれていたエンジニア職をワンフロアに集約しました。
人が多く行き来する場所に、サイネージを配置し在室管理システムを表示させ、社員の出社状況などもわかるようにしています。
業務内容やその日の気分によって自らが働く場所を選び、最適な環境でワークできるオフィスでは、社員が自身の能力を最大限発揮でき、生産性を高める効果が期待できます。
株式会社島津製作所 基盤技術研究所様の事例はこちらのページでご紹介しています。
まとめ
「ワンフロアオフィス」とは、複数の階や複数の拠点に分かれていたオフィスを1つのフロアに統合することです。オフィスをワンフロア化することで、コスト削減や業務効率化、コミュニケーションの活性化といったメリットがあります。ただし、プライバシーの確保がしずらいなどのデメリットもあるため、適切な対策を取ったうえで導入しましょう。
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