オフィスの増床には、内部増床、分室増床などさまざまな選択肢があり、それぞれメリット・デメリットが存在します。そのため、社員数の増加などに伴いオフィスの増床を検討されている総務やオフィスファシリティ担当者様の中には、実際どれがベストな選択なのか悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、オフィス増床の基本情報や種類、検討時のポイントなどを詳しく紹介します。自社のオフィスが手狭だと感じ、増床を検討している方はぜひ参考にしてください。
オフィスの増床の基本情報
オフィス増床とはどのようなものなのでしょうか。ここでは、オフィス増床の概要やメリットを解説します。
そもそもオフィスの増床とは
オフィスの増床とはその名のとおり、オフィスや事務所の床面積を増やすことです。オフィス増床には種類があります。たとえば、同じ建物内の別区画を借りる、別の建物に部屋を借りるといった種類があり、それぞれメリット・デメリットが異なります。
オフィス増床のメリット
オフィス増床の種類によっては、短期のコストが比較的抑えやすいというメリットがあります。より広いオフィスに移転するという選択肢もありますが、移転は入居費用や退去費用などが必要となり多くのコストがかかります。ただし、増床後にすぐ移転するとなった場合はさらにコストがかかるため、自社の事業計画や採用計画などを考慮しながら検討しましょう。
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オフィス増床の4つの種類
オフィス増床には大きく分けて4つの種類があります。ここでは、それぞれの種類について詳しく解説します。
1.内部増床
内部増床とは、現在のオフィスや事務所を維持しながら同じ建物内の別区画を追加で借りる方法です。内部増床は比較的費用を抑えやすいため、コストをあまりかけたくない場合にもよいでしょう。
以前からのオフィスや事務所を本社とすれば、告知が必要なく手間もかかりません。また、建物のオーナーが同一人物であるため、審査にかかる時間も短くて済みます。すでに関係を構築しているオーナーのため、増床交渉もしやすく交渉次第では賃料を多少抑えられる可能性もあるでしょう。
同じ建物内で別区画を借りるためオフィスの移転は必要なく、引っ越しや通勤場所の変更もないため従業員の負担も抑えられます。ただし、同じ建物内で空き区画がない場合は増床できません。
2.分室増床
分室増床とは、現在のオフィスや建物を維持しながら周辺の異なる建物に追加で別区画を借りることです。以前からのオフィスや事務所を本社とすることで、内部増床同様に告知の必要がなく手間がかかりません。
また、内部増床とは異なり周辺の建物から適した区画を探すため、目的にあわせた空き区画を見つけやすいというメリットもあります。オフィスや事務所から近い場所に追加で部屋を借りれば、従業員の通勤場所の変更も軽微で済むため負担軽減につながるでしょう。
ただし、できるだけ以前のオフィスや事務所から近い建物を選択しなければ、従業員同士のコミュニケーションが減る可能性があります。連携が難しくなることで従業員の負担が増加するため注意が必要です。また、入居審査の手続きも必要となるため、内部増床よりも手続きに時間がかかります。
3.オフィス・事務所の移転
オフィス・事務所の移転とは、現在借りている部屋やビルなどを解約して床面積の大きな区画を新たに借りることです。オフィス・事務所の移転の場合、事業戦略や従業員数などにあわせて広さや立地を自由に選択できるというメリットがあります。元のオフィスが従業員数に合っていなかった場合、適した広さのオフィスに移転することで業務効率や生産性向上につながります。
また、内装やレイアウト、周辺環境などが変化するため従業員も心機一転することができ、モチベーションが向上する可能性もあるでしょう。立地がよく広いオフィスに移転すれば、内外に業績好調であることをアピールできます。
ただし、新たな物件の選定や内見、入居審査や現オフィスの退去手続きなどが必要で、内部増床や分室増床よりも費用や手間、時間がかかります。また、最寄り駅が変更になる場合は、定期券や交通費精算の対応も必要になり、従業員の負担も増えます。
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4.オフィスビルの建て替え
自社ビルを所有している場合は、オフィスビルの建て替えも選択肢の1つです。建て替えを行うことで事業戦略や従業員数などにあわせてレイアウトを決められるため、従業員のニーズを反映しやすいのが特徴です。勤務地も変わらないため従業員の負担も少ないでしょう。ただし、建て替えには多額の費用がかかるだけでなく、建て替え中の仮オフィスも必要です。
オフィス増床を検討する際のポイント
オフィスの増床を検討する際には、自社の現状や増床の目的などを明確にすることが大切です。目的が定まっていないと適切な物件を選べません。現在のオフィスや事務所の課題を洗い出し、それらを解決できる物件を選択することも大切です。
また、ワークスタイルによっても必要な床面積は異なります。全員出社を原則としている会社の場合とテレワークや在宅勤務、オフィス出社を組み合わせたハイブリットワークを推進している会社の場合とでは必要な座席数や機能が異なります。
そのため、現在のワークスタイルの把握と将来的にどのような働き方をしたいのかをおさえてことも重要です。
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かかる費用
増床には費用がかかります。具体的には、賃料や内装費用、設備費用や引っ越し費用などが挙げられます。増床の種類によって必要なコストは変わるため、概算費用を考慮して適した種類を選びましょう。居抜きでのオフィス移転なら比較的費用を抑えやすいです。計画が具体的になるなかで、コストを見積もっておくとよいでしょう。
必要な手間
内部増床や分室増床の場合、現在のオフィスを維持するため引っ越しの必要がありません。新たなオフィスに移転する場合には、借りるオフィスの準備や現在のオフィスの退去など多くの手間がかかるでしょう。内部増床は同じ建物内に増床するため他の種類より手間が省けます。
従業員の負担
内部増床や分室増床は、従業員の負担を抑えながらスペースを確保できます。内部増床の場合、通勤場所が変わらないため通勤手段や時間が変わりません。分室増床も近隣に部屋を借りるためエリアに変化がなく、比較的負担は抑えられるでしょう。
オフィス増床とオフィス移転の比較
オフィス増床とオフィス移転、どちらがよいか悩んでいる方に向けて、費用・生産性・モチベーションに分けて、オフィス増床と移転を比較します。
費用の比較
内部増床と分室増床は、新たに借りるオフィスの賃料や内装工事費用、備品・家具購入費用などがかかります。一方オフィス移転では、新たに借りるオフィスの賃料や内装工事費用、備品・家具購入費用などだけではなく、既存のオフィスの退去費用やオフィス移転の告知費用などもかかるため、内部増床などよりも費用は多くかかるケースが多いです。
このように、基本的に内部増床や分室増床のほうが費用は安く、オフィス移転の場合は費用が高額になる傾向があります。
生産性の比較
内部増床や分室増床は、別の区画や近くの建物などに部屋を借りるため、同じ区画内で働く場合よりもコミュニケーションは取りにくくなります。そのため、生産性が低下する可能性もあるでしょう。内部増床なら隣の区画、分室増床ならできる限り近くの建物というように、行き来しやすい環境を構築することが重要です。
従業員のモチベーションの比較
内部増床はオフィスの場所に変化はなく、また分室増床も周辺環境に大きな変化はないためモチベーションに大きな影響はないでしょう。オフィス移転はエリア自体も変化するケースが多く、心機一転でき、モチベーションが上がりやすいです。
オフィス増床計画の進め方
オフィス増床の進め方について解説します。
増床する目的を明確にする
オフィス増床を決断したら、まずは目的を明確にしましょう。目的が曖昧では、最適な建物を選べません。増床のメリットを最大化するには、目的に合致する計画が重要です。
プロジェクトチームを組成する
目的が明確になったら、プロジェクトチームを組成し、増床に向けたプロジェクトを進めます。具体的には、物件の決定や交渉、増床に伴いどのような働き方を実現したいのか、そのためにオフィスにはどのような機能が必要なのかなどを検討します。プロジェクトチームを組成するリソースがない場合は、外注できる業者に依頼する選択肢もあります。自社の状況に応じて柔軟に対応しましょう。
物件の貸主や管理会社と交渉する
物件が決定したら、その物件の貸主や管理会社を相手に増床について交渉します。増床の際は直前に物件を探し始めることなく、あらかじめ増床を検討していると伝えておきましょう。空き物件が出た際に配慮してくれ、他社より先に交渉できる可能性があります。
外注先を探す
物件との契約と並行して内装デザインや工事、レイアウト設計、引っ越しなどの依頼先を検討しましょう。外注先は、費用だけでなく、実績や対応力を考慮して決定することをおすすめします。
まとめ
オフィス増床とは、オフィスや事務所の床面積を増やすことです。内部増床や分室増床、オフィス移転などの種類があり、それぞれメリット・デメリットが異なります。自社の課題や増床の目的などを明確にしたうえで、費用や手間も考慮しながら自社に合った増床の種類を選びましょう。
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