社会情勢の変化に伴ってオフィスの在り方にも大きく変化が生じており、
「オフィス分散」がキーワードの1つになっています。
本記事では、オフィスの分散化を検討されている経営者様や担当者様に向けて、オフィス分散の目的や、
メリット・デメリットについて解説いたします。
導入の際のポイントも説明しておりますので、ぜひ参考になさってください。
オフィス分散とは
オフィスやワークスペースを複数の場所に分散させることを「オフィス分散」といいます。
オフィス分散によって、本社や支社、営業所以外にも、サテライトオフィス、
自宅など、様々な場所で柔軟に仕事ができます。
従来の「集約型オフィス」に対して、オフィス分散による新しいオフィス形態を「分散型オフィス」と呼びます。
分散型オフィスは、集約型オフィスでは対応できない問題を解決する事が可能で、
新しい働き方に順応しやすいオフィスのスタイルとして注目されています。
集約型オフィスとの違い
集約型オフィスは、社員全員が同じ場所で勤務する形態のオフィスを指します。
集約型オフィスでは、コミュニケーションを直接取る事によって、業務が効率的に進み、
ビジネスアイデアも生まれやすいです。
一方、広いオフィスが必要なため維持コストが高くなります。
また、社会環境や働き方の変化に素早く対応しづらい事がデメリットとして挙げられます。
オフィス分散の目的
オフィス分散は、社員が集約型オフィスに行かずとも業務ができるようにする事を主な目的としています。
ここでは、オフィス分散の目的について詳しく解説いたします。
社員の多様な働き方の実現
オフィス分散は社員の多様な働き方を実現します。
例えば、集約型オフィスから離れた場所に住む社員は、通勤にかかる負担が軽減され、働きやすさの向上につながります。
そのため、分散型オフィスは社員が通勤しやすい郊外や地方にも設置されるパターンも見られます。
緊急時の事業継続
災害発生や感染症流行など緊急時での事業継続も、オフィス分散の目的として挙げられます。
社員が集約型オフィスへの通勤が困難となった際でも、支社や営業所、サテライトオフィス、
自宅での勤務環境を整えておく事で、業務継続が可能となります。
また、あるオフィスが災害で害にあって利用できなくなった場合でも、他のオフィスでの事業継続が可能です。
(参考①)サテライトオフィスの特徴と種類
サテライトオフィスの特徴として、社員の移動時間短縮や地方での勤務を実現しやすい点が挙げられます。
サテライトオフィスの種類は、設置エリアによって分類されることが多く、主に都市型、地方型、郊外型の3種類があります。
【都市型】
主に外回りの営業がオフィスに帰らずとも仕事ができるよう、交通アクセスの良い主要拠点に設置。
タッチダウンオフィスとも呼ばれる。営業効率化、労働時間や交通費用の削減が期待できる。
【郊外型】
ベッドタウンに設置。
都心に構えていたオフィスを縮小し、郊外に拠点を持ったり、
元々、郊外に支店として構えていた拠点をサテライトオフィス化したりすることで、
通勤にかかる負担の軽減や交通費、家賃の削減、生産性の向上が期待できる。
【地方型】
主要都市から離れた地域に設置。
総務省が推進する「ふるさとテレワーク」をはじめ、地方自治体が誘致を行う場合もあり、
地方創生やBCP(事業継続計画)、雇用の促進、自然に囲まれた環境で人間らしい生活の実現などが期待される。
【納入事例】住友重機械工業株式会社 田無製造所様 (東京都西東京市)
(参考②)オフィス縮小とは
オフィス縮小は、新しい働き方に対応するオフィス形態のひとつの考え方です。
フリーアドレスやABW、テレワークを導入し、オフィスの規模を小さくする事で、
新しい働き方に適したオフィス形態を実現します。縮小によって賃料が節約できるメリットもあります。
オフィス分散に伴い、オフィスの縮小を行う企業が増えています。
オフィス分散のメリット
ここでは、オフィス分散のメリットについて解説いたします。
緊急時など外部環境の変化に対し柔軟に対応可能(BCP対策)
オフィス分散をさせる事によって、緊急時に業務が完全に滞るリスクを回避できます。
例えば、災害発生時や、感染症流行などの際、事業継続対策として、
社員のオフィススペースを臨機応変に確保する事が可能です。
また、コロナ禍においては、多くの社員が集まることで発生する密な状態を回避できるというメリットもあります。
仕事のパフォーマンス向上、優秀な人材確保
オフィス分散を通じて、社員の働き方の多様化に対応することで、仕事のパフォーマンス向上が期待できます。
通勤時間が削減され、育児や介護、自己啓発の時間確保に繋がります。
特にサテライトオフィスなどは、外勤の社員にとって、移動時間が削減され、快適な作業環境としても利用できます。
自宅でのテレワークではパフォーマンスを発揮しづらい社員にとっても、集中できる作業環境となります。
採用活動では、社員の働き方に合わせた職場環境をアピールでき、優秀な人材の獲得や離職防止にも繋がります。
商圏の拡大
オフィス分散によって複数の場所にオフィスを設置すると、営業可能な範囲が広がり、商圏拡大が期待できます。
主要都市から離れた地域に設置する事で、地方創生の実現も期待されます。
コスト削減につながる
オフィス分散は、コスト削減にも効果があります。
特にオフィスの立地が都心部の場合、賃料も高額なため、より大きなコスト削減を期待できます。
社員に支給する通勤費も削減可能です。また、出社率や席数を見直しフリーアドレスを導入する事で、
オフィスの面積が縮小され、コスト削減の効果は更に高まります。
オフィス分散の注意点
オフィス分散を取り入れる際には、メリットだけでなく、以下のような注意点がある事も理解しておく必要があります。
新たにオフィスやワークスペースを構築する場合のコストがかかる
オフィス分散の開始時には、オフィスの場所を探す手間や新規契約するための労力、
新たな作業環境を整備するための初期費用などが発生します。
ただし、オフィス分散後のメリットを考えれば、
一時的な初期費用を上回る大きなコストカットに繋がる可能性が高いと考えられています。
コミュニケーション不足による組織力低下や社員の不安増加
オフィス分散が実施されると、社員は同僚と距離が離れた状態で業務を進める事が多くなります。
社員が集まる機会が減少すると、コミュニケーションが不足する可能性があります。
コミュニケーション不足に伴う、組織力の低下や社員の不安感の増加に注意する必要があります。
セキュリティリスクの増加
自社以外のワーカーが出入りするシェアオフィスでは、セキュリティリスクが高まります。
そのため、会議の音漏れやパソコンの覗き見による機密情報の漏洩、IDやパスワードの盗難などの危険性があります。
オフィス分散の際には、セキュリティルールや仕組みの導入を検討する必要があります。
オフィス分散を進める際に必要な準備とポイント
研修の実施やフォロー体制の整備が必要
オフィス分散を進める際には、サテライトオフィスや自宅で
円滑に業務を行うためのルール作成、社員研修やフォローが必要です。
業務の進め方や勤怠管理、トラブル時の対処方法などの事前説明だけでなく、
新たなツールを導入する場合は随時利用方法の説明も求められます。
コミュニケーション不足によるストレスを軽減するために、定期的な面談を行うなどのメンタルケアなども必要です。
セキュリティ対策を徹底する
分散型オフィスでは、セキュリティ対策を徹底する必要があります。
社外の人が近くにいる場合や、自宅のパソコンを利用するケースもあるため、
個人情報や社外秘情報が流出リスクにさらされます。
セキュリティ対策が施されたパソコンやスマートフォンを支給する、
定期的に研修を実施する事で社員意識を向上させるといった取り組みが必要です。
複数オフィスでの在席管理や勤怠管理が可能なシステムを導入する
分散型オフィスでは、的確な指示や社員間の円滑なコミュニケーションのために、
社員の勤務場所や在席ステータスを把握しておく必要があります。
そのため、オフィス分散を進める際には、在席管理や勤怠管理システムの導入が推奨されます。
コミュニケーションを促す環境づくりをする
オフィス分散により、社員同士が離れて仕事をしていると、多くの場合コミュニケーションが不足します。
コミュニケーション不足は、社員の不安感の増幅や、組織力の低下に発展する可能性があります。
社員間のコミュニケーションを促進する方法として、テレビ会議システムでの定期的な面談や、
気軽にやり取りできる社内SNSやチャットツールの活用などが効果的です。
変化し続けるオフィスづくり
社会環境や働き方の変化に伴ってオフィス分散やオフィス縮小の考え方が浸透し、
オフィスは今と異なる目的を持つ場所として活用される可能性があります。
このような環境下で企業は、本社をはじめとする集中型オフィスの移転や縮小、
レイアウト変更でのオフィス面積の最適化、フリーアドレスやABW、テレワーク導入など、
変化に対して柔軟に対応できるオフィス環境を整えていく事が大切です。
まとめ
働き方改革やコロナ禍の影響により、オフィスの在り方が多様化する昨今、
オフィス分散のメリットや注意点をしっかり理解して、オフィスづくりを行う事が重要です。
コクヨマーケティングは、年間25,000件以上の豊富な実績から、お客様の働き方に合わせた空間を提案いたします。
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