オフィス移転は単なる職場の引っ越しではなく、企業の成長戦略に関わる重要な施策です。
オフィス移転を行った事によって、生産性やワークライフバランスの向上、
優秀な人材の確保、経費削減などを実現している企業は少なくありません。
この記事では、企業の経営者様や総務ファシリティ責任者様に向けて、近年多く見られるオフィス移転の理由や、
オフィス移転で得られる成果、移転を成功させるポイントを解説いたします。自社のオフィス移転のご参考にしてください。
オフィス移転の主な理由
どのようなときに企業はオフィス移転を決断するのでしょうか。ここでは、代表的なケースを5つ解説します。
生産性を上げる
社員の仕事の効率や集中力、モチベーションの向上や、組織の生産性を上げることを目的に、移転を行う場合があります。
例えば、オフィスには作業スペースや業務フローに合ったレイアウトだけでなく、
気軽にコミュニケーションを取るためのミーティングスペースや、
メリハリをつけるためのリフレッシュスペースがあると、生産性が高まることが期待できます。
特に近年はコロナ禍を受けてテレワーク化が進み、よりオフィスならではの価値が求められるようになりました。
適切なオフィス環境づくりと、オフィス面積の見直しのために移転を行う企業が増えています。
ブランド化を狙う
業界によっては、企業の所在地がブランド的な価値を持つことがあります。
例えば、銀行なら丸の内や大手町、IT企業なら六本木や渋谷周辺、
デザイン・アパレル系企業なら青山・六本木に移転して、更なるブランド化を狙うことができます。
業界の中心地に所在地があることで、取引相手として信頼性が増す事があります。
また、同じ分野の企業が地域周辺に集まっている事から、業務効率化やビジネスチャンス拡大を期待できます。
優秀な人材を確保する
就職先や転職先を選ぶ際、オフィス環境は重要な選択肢の1つです。
先に説明したように、オフィスの所在地によって企業イメージが良くなる事があります。
交通アクセスが良い場所や憧れといわれるような場所に移転すれば、就職希望者を多く集められる可能性が高まります。
また、オフィス環境が整っていれば、「この企業で働きたい」と多くの方に思ってもらえる可能性が高くなります。
眺望がきれいなオフィス、遊び心のあるフリースペース、社内で使えるジムやカフェスタイルの休憩室など、
働きやすい環境を整えている企業も人気です。
経費を削減する
経費削減のために賃料が安いオフィスに移転するケースもあります。
業態転換や業績悪化など理由は様々ですが、いずれにしても賃料の安いオフィスに移転するのは、コスト削減に有効な方法です。
会社運営にかかるコストのうち、オフィス賃料は大きな部分を占めている事が多いため、確実なコストカットが見込めます。
ただし、引っ越し代など移転によって一時的に発生する費用や、社員の通勤交通費の変動など、
賃料以外のコストとのバランスを入念に計算した上で物件を選ぶようにしましょう。
縮小移転する
縮小移転とは、オフィス面積を小さくするため、違う物件・フロアに移動するか、一部のスペースを返却することです。
縮小移転という言葉を使う際は、先に解説した経費削減のためのオフィス移転ではなく、
現在の働き方に適応させるというニュアンスが強くなります。
テレワークなどによって出勤者が減ったため固定席を減らし、フリーアドレスを導入するなど、
特に新型コロナの影響を受けて、これらの動きが大きくなりました。
また、社員の通勤の負担を減らしたり、より多様な働き方を実現させたりする事もできます。
災害やウイルス感染拡大など非常事態が起きた際のリスクの分散にも繋がり、BCP対策にも有効です。
建物の要因によるオフィス移転
ここでは、賃貸借契約満了やビルの建て替えなど、
建物の契約内容や状態よってオフィスを移転するケースを紹介いたします。
賃貸借契約が満了する
賃貸借契約の満了によって、オフィス移転の必要が生じる事もあります。
例えば、使用期限が決まっていたり、オーナーが変わった事で継続契約できなくなったりするなどの場合も想定されます。
このような移転が発生する可能性は低いですが、どの企業にも起こり得る事態です。
定期的に契約内容を確認したり、情報収集を行ったりしておくと、想定外の移転に慌てる事を防げます。
建物の劣化・老朽化が進んでいる
建物の劣化・老朽化が進むと、建て直しや取り壊しが行われる事があります。
このタイミングは自社で決められないため、特に築年数が古い建物の場合は注意しなければなりません。
耐震基準などの法律が変わる事で補強や建て直しが必要になったり、
大地震や台風などで被害が出た際に建て直しや取り壊しの時期が早まったりする事もあります。
そのため、新しい耐震基準で建てられているのか確認する事が大切です。
自社ビルを取得する
自社ビルを取得して賃貸ビルを離れるケースもあります。
対外的な信頼度の向上やブランディングなど、経営戦略上の必要から自社ビルを取得する場合や、
子育て中の社員をサポートするために社内託児所を設ける場合など、理由は様々です。
近年では、多様な食文化に対応するための社員食堂を用意しなければならないケースも出てきています。
賃貸ビルを離れて自社ビルを持つことにより、オフィスづくりの自由度が高くなるのが特徴です。
オフィス移転は働き方改革のチャンス
オフィス移転が働き方改革の促進に繋げられる事について解説いたします。
働き方改革とは
働き方改革とは、長時間労働の是正・時間や場所にとらわれない柔軟な働き方の実現・
多様な人材雇用の推進などを目的にした法律と、それに関連した取り組みです。
具体的には、残業時間が月45時間以内、年360時間以内へ変更、
毎年5日の年次有給休暇を取得させる事が企業の義務になりました。
また、不合理な待遇差解消のための法改正や、
テレワーク導入による多様な働き方の実現についての指針なども設けられています。
企業は様々な方法で働き方改革に取り組んでおり、オフィス移転による環境整備も、施策の1つとして役立てられます。
新しいワークスタイルへの対応
働き方改革や感染症への対策を受け、テレワークを導入する企業が増えました。
それによりWeb会議やWeb商談も当たり前のように行われています。
オフィス内でWebミーティングを実施すると、周囲への音漏れが気になるなど新たな問題も出てくるため、
Web会議専用のブースを設置するなど、新しい働き方に合わせたオフィスづくりが必要となります。
移転はオフィス環境を見直す良いタイミングになります。
オフィス社員間のコミュニケーション改善
オフィスのレイアウトは、社内コミュニケーションの活性化に大きな役割を果たします。
社員同士がスムーズにやり取りできるレイアウトにすることで、社内の風通しが良くなり、
業務が効率化や組織の活発化に繋がります。
その他、部署を問わず利用可能なスペースを設けると、新しい人間関係が生まれたり、
アイデアが浮かんだりするなどの効果も期待できます。
コミュニケーションの取りやすいオフィスづくりを目指しましょう。
社員のメンタルヘルス対策
企業には社員のメンタルヘルス対策が求められるようになりました。
心理的な問題があると、仕事へのモチベーションが低下し生産性も低下してしまいます。
その対策として、たとえば、オフィスにリフレッシュスペースや仮眠スペースをつくると、
仕事の合間に休憩や休息を取りやすくなり、社員満足度や生産性の向上が期待できます。
社員全員が健康に働く事のできるオフィスづくりを行う事が大切です。
オフィス移転を成功させる方法
ここでは、オフィス移転を成功させる方法を、4つのプロセスに分けて紹介いたします。
①目的・理由を明確化する
オフィスを移転する目的をまず明確にしておきましょう。
例えば「事業拡大のために業務スペースを広げる」「テレワーク導入に伴い縮小移転を行う」
など目的を決めておく必要があります。
目的・理由を具体的にしなければ、物件選びやオフィスデザインで問題が発生してしまう可能性が高くなります。
複数の理由がある場合は、優先順位を決定しておきましょう。
②理想の働き方をイメージする
現状の課題を分析し、理想の働き方のコンセプトを決めましょう。
現場の社員からヒアリングを重ね、率直な意見をもらうと、具体的なイメージが定まるはずです。
コンセプトが決まると、設計者やデザイナーに意図が伝わりやすくなります。
自社に適した物件やオフィスレイアウト、デスクやチェアなどを提案してもらえるでしょう。
コクヨでは、はたナビPro(はたナビプロ)というWEBアンケートを通じて社員様1人1人の意見を集約し、
働く環境の満足度や重要度の指標で診断結果を無料でご提出するツールをご用意しています。
診断結果にもとづき、現場の声を反映させたオフィス空間の提案も可能です。お気軽にお問い合わせください。
③プランを立てる
オフィス移転は一般的に約8か月かかります。大きなオフィスの場合は、1年以上かかる事もあります。
物件探しからオフィスのレイアウト、デザインの検討、内装工事、オフィス機器の手配、
移転作業など、検討すべき項目は様々です。
オフィスの移転は何度も行われる事ではなく、移転業務に詳しい人材が社内にいる事が少ないため、プロの専門業者に相談する事をおすすめします。
④社内で新しい働き方を定着させる
オフィス移転後は、新しい働き方を社員に定着・浸透させる施策が必要です。
具体的には、経営者から改めてオフィス移転の意義と新しい働き方のビジョンについてのメッセージを発信したり、
オフィスの運用ルールを決めて共有したりする事が求められます。
また、定期的なオフィスの見直しや、改善を実施する事も大切です。
移転して終わりではなく、移転後に気付く事も多々あります。
それらを把握し、1つずつ対応していく事で、より良いオフィスをつくっていきましょう。
【事例紹介】日本軽金属グループ様
18社のグループ会社を1つのビルに集約。
移転に伴い、完全フリーアドレスを導入し、仕事内容に合わせて場所を選択する働き方「ABW」を実践。
まとめ
オフィス移転は、生産性向上・経費削減・テレワーク促進など、様々な理由で行われます。
オフィス移転は簡単ではありませんが、職場環境の改善だけでなく、社員のワークライフバランスを向上させる事などにも繋がります。
コクヨマーケティングは年間25,000件以上の豊富な実績から、お客様の働き方に合わせた空間をご提案いたします。
物件選定からオフィス維持・運用に至るまでワンストップでサポートできるため、
オフィス移転が初めての場合も安心してご依頼頂けます。
移転をご検討されている際は、ぜひお気軽にご相談ください。
オフィス移転・改装レイアウトの課題を解決します