新型コロナウイルスの流行によって、テレワークが浸透し、働き方が大きく変わりました。働く場所が自宅、自宅近郊のシェアオフィスなど、多様化しています。それに伴いオフィス防災も働き方にあった対策が必要とされています。
もし、このような状況で大きな災害が起きた場合、今までの防災対策で対応できるのか、不安を感じる方が多いのではないでしょうか。
働き方が大きく変わった今、今までのオフィス防災に加え、感染症対策を踏まえた対応も必要になってまいります。
そこで今回は、コロナによりオフィス防災にどのような変化があったのか、また、これからのオフィス防災を検討する上で具体的な対策をご紹介いたします
コロナによるオフィス防災の変化
以前は、オフィスで働くことが当たり前であり、従業員はオフィスにいるという前提でオフィスの防災対策は考えられていました。一方、テレワークや在宅勤務など働き方が多様化した今、災害が起こった際、防災担当者がオフィスに居ない可能性があります。その場合、災害時は、オフィスに居合わせた従業員だけで対応しなければなりません。
しかしながら、どれだけの従業員が自社の防災用品の収納場所や備蓄品の内容を認識しているのでしょうか。
災害時、従業員だけでも冷静に対応できる状態にしておくために、まずは日頃から従業員へ周知しておくことが重要となってまいります。 また、接触や密を避けて防災備蓄品を配布でき新型コロナウイルス感染拡大の不安が続く現在、防災用品を選ぶ上でることが、防災用品を選ぶ上で重要な判断基準となっています。
例えば、食料品などをケース単位で備蓄されている場合、配布時の接触・密を回避しながら、それぞれを仕分けし、配布しなければなりません。災害時で混乱が残る中、感染症対策をしながら防災用品を配布するのは、非常に難しい対応となっているのです。
従業員への周知の重要性
では、従業員への周知について具体的な対策をご紹介いたします。
収納場所と収納方法で周知する
まずは視覚的にどこにあるのか分かりやすく見やすいようにするために、普段から見える場所に防災備蓄品を保管することがポイントです。具体的な方法としては、オフィス内に防災マップを作成したり、防災用品が保管されている収納庫の扉に、防災用品のアイコンを貼ったりするなどです。
保管されている防災備蓄品のリストも併せて掲示すると数量も把握できるため、なおよいでしょう。
また、普段は倉庫や扉付きの収納庫に収納してしまいがちな防災備蓄品を、あえて見せることも従業員への周知に効果的と言われています。コクヨのオフィス防災備蓄のパーツフィットは、収納庫に入る寸法で設計されているので、収納庫の天袋や下段など、普段から目にする場所、使う場所に保管・設置できます。これによって、従業員への周知につながっています。
コクヨのオフィス防災用品 PARTS-FIT
会社としての備えを周知する
また、従業員の方にどこに防災用品が設置されているかを伝えると同時に、会社備蓄の限界も併せて伝えることも必要になってまいります。 水・食料・簡易トイレ・毛布などは、自治体や会社のガイドラインに沿って、会社として備えておくべき防災用品を選定されているケースは多いと思います。しかし、すべての防災用品を揃えることは難しいと感じておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、企業防災としての備えを周知させながら、いざ発災時にはどのような行動をとるのか、その時に何が必要なのか、従業員に考える機会をつくることも一つです。
例えば、個人備蓄をお願いするものとしてスニーカーが挙げられます。女性は、公共交通機関が停止した場合、ヒール靴で帰宅することは難しいかもしれません。男性の場合も、革靴で10㎞歩くだけで、足の皮が捲れてしまう可能性があります。
このように、会社備蓄としての備えを周知させながらも、会社備蓄の限界を広報し、従業員に個人備蓄をお願いするケースも検討していく必要があります。
感染症対策への配慮
次に、感染症対策への配慮についてご紹介いたします。
防災備蓄品の選定
新型コロナウイルス感染拡大の不安が続く現在、防災用品を選ぶ上で接触や密を避けて防災備蓄品を配布できることが、防災用品を選ぶ上でも重要な判断基準となってまいりました。
例えば、食料品などをケース単位で備蓄されている場合、配布時の接触・密を回避しながら、それぞれを仕分けし、配布しなければなりません。災害時で混乱が残る中、感染症対策をしながら防災用品を配布するのは、非常に難しい対応となってまいります。
そこで、今注目されているのが、水・食料1日分を事前に配布する、もしくは1回で配布が済む個人備蓄セットです。
個人備蓄セットの場合、最低限の水や食料がそろっていますので、従業員一人につき1セット準備し、災害時には1回配布する、もしくは個人で保管しておくだけで、必要なときに防災用品を配布することが可能です。普段の保管場所としては、固定席の場合は個人デスクのワゴンに収納したり、フリーアドレスなど固定席ではない場合は個人ロッカーや普段から目にする執務室エリア内の天袋や収納庫の最下段に保管したりすることで、1人1回の配布で済むような運用にすることが可能となります。
ゴミ問題
次に、衛生的な環境の維持するため、ゴミに問題について考えていく必要があります。これまでも災害時のトイレゴミは、課題として挙げられていました。
トイレゴミだけでも100名×3日分=家庭用ゴミ袋18袋相当の量になります。
さらに、コロナ禍において、マスクゴミや唾液がついたスプーンなどの感染性廃棄物の処理も念頭に置かなくてはなりません。災害時のトイレゴミだけでなく、通常のゴミ全般の処理及び保管方法のルール決めも必要になってまいります。
シンプルで管理レスな防災用品の管理・運用
次に、防災用品の管理方法について、ポイントをご紹介いたします。
これまでは、人事異動や組織変更、食料の期限切れに伴う買い足しによる期限のバラつきなどの発生で、防災用品の管理は複雑化してしまう傾向がありました。また、オフィス移転やレイアウト変更の度に設置場所の検討が発生したり、担当者変更があった場合に防災業務の引き継ぎが発生したりと、お客様からも防災用品の管理・運用を簡単にしたいという相談を多くいただいておりました。
しかしながら昨今は、テレワークや在宅勤務の浸透で、オフィス、自宅、サテライトオフィスやカフェなどのサードプレイスなど働く場所も多様化しており、以前のように防災担当者が倉庫で一括管理する運用ではなく、より感染対策を考慮した上で、防災用品の個人管理も含め、従業員全員で防災対策を取り組む運用に見直されつつあります。
そこで業種・出社率・立地などを考慮した新しい防災対策として、シンプルで管理レスな防災用品の運用に見直しを検討されるケースが増えてまいりました。
具体的には、防災担当者が一括管理する運用ではなく、従業員が個々に管理する運用です。
例えば、先ほどご紹介させていただいた「個人備蓄セット」で運用する場合、従業員=備蓄セットになります。備蓄品の買い足しについても、新入社員の分は人数分を追加購入するだけでよくなりますので管理が簡単です。
また、それらを事前に配布済みであれば、災害時に防災備蓄品を配布する必要も、配布時の感染対策する必要もなくなり、より社員の安否確認など、災害対策本部としての対応に時間を割くことができるようになるのではないでしょうか。
防災用品の管理・運用方法については、備蓄品の内容や設置場所のほか、企業の業種、出社率、立地によっても対応がさまざまですので、ぜひご相談ください。
今後は、新しいワークスタイルに合わせた防災計画が必要です。
ぜひ、防災用品の入れ替え時に、新しい働き方や感染症対策を踏まえた運用を検討してみてはいかがでしょうか。