クリアデスクとは、離席時にデスクの上に書類や記憶媒体を置かないことです。個人情報の紛失や情報漏洩といった企業のセキュリティ対策として重要です。この記事では、企業の経営者や総務ファシリティ担当者に向け、クリアデスクについて解説します。導入するメリットや導入方法、定着しにくい場合の対処法も解説するため、参考にしてください。
クリアデスクとは
クリアデスク(またはクリーンデスク)とは、離席や退社時にデスクの上に個人情報が記載された書類や、USBなどの記憶媒体を放置しないことです。廃棄・盗難・紛失による情報漏洩対策のひとつで、放置荷物による占有化も防ぎます。
また、フリーアドレスの場合はクリアデスクが必須です。フリーアドレスとは一人ひとりに決められた座席が設定されているのではなく、従業員が自由にデスクを選んで仕事ができるオフィス形態です。デスクは従業員の共有物になるため、次に座る人のために机の上を何もない状態にしておくことはもちろん、これまで以上にセキュリティへの配慮が求められます。
クリアスクリーンとは
クリアクリーンとは、他人がパソコンやタブレットの操作や閲覧できる状態のまま放置しないことです。離席中に担当者以外が閲覧できないように、一定の時間操作しない場合に自動的にログオフする、パスワードを入力しないと解除できないスクリーンセーバーを起動するといった対策をします。
個人情報や機密情報を扱う企業では、社内ルールとして明文化し、従業員に徹底しなければなりません。
クリアデスクに取り組むメリット
クリアデスク・クリアスクリーンは、簡単に始められるセキュリティ対策です。クリアデスクに取り組むメリットを解説します。
コストをかけずにセキュリティ対策ができる
クリアデスク・クリアスクリーンは、コストをかけずにできるセキュリティ対策の方法です。システム導入やサーバー強化など、莫大なコストをかけた対策もできますが、リスクがゼロになるとは限りません。
クリアデスク・クリアスクリーンは、従業員の意識や行動を変えればできる対策のため、低コストで始められます。従業員がクリアデスクなどを徹底することで、個人情報の紛失や情報漏洩につながるリスクを軽減します。
不要な書類を減らせる
持ち物はキャビネットなど収納庫に入るものだけに限定されるため、不要な書類を減らせます。容量に限りがあると無駄な書類の印刷をしなくなり、使わなくなった書類はシュレッダーにかける・データ化する・ファイリングするといった書類管理の見直しにつながります。
部門ごと・個人ごとの収納量に制限を設ける、毎月1回は書類整理・削減デーにするなど、企業としてルールを決めて不要な書類管理が減ると、ひとりひとりが管理しやすくなり、ペーパーレス化が進みます。書類収納に使っていたスペースが空けば、オフィスにゆとりが生まれて、新たな用途にスペースが活用することも可能です。
ものを探す時間を減らせる
デスクがきれいに整理整頓されていると、必要なものをすぐに取り出せ、探す時間を減らせます。書類やメモ、ペンといった必要なものを探す時間は1回数秒だとしても、日々の積み重ねで算出すると年間当たり多くの時間を浪費します。コクヨの調査では、1人あたりの書類を探す時間は、1日平均約20分。1年間に換算すると約80時間に相当するという結果もでています(コクヨ調べ)。
クリアデスクが定着するとものを探す時間を仕事に充てられるため、生産性向上につながります。片付いたデスクは作業スペースが広がり、業務効率化が期待できます。
仕事に集中できる
余計なものが置かれていないデスクでは、目の前の取り組むべき仕事に集中できます。人間の脳は、視界に入ったものを無意識に情報として認識します。デスクの上に積んだ書類や乱雑に置かれたものは、関係のない情報でもノイズとして目に入り、気が散る原因になります。
クリアデスクによって整理整頓した環境を作れば、気持ちよく作業に集中でき、生産性が向上します。目の前の仕事に必要なものだけを机の上に置くようにしましょう。
仕事の処理能力が向上する
クリアデスクを習慣にすれば、仕事の処理能力が向上します。デスクを整理するには、情報を取捨選択する判断力や、仕事を整理する能力、必要な書類を置くために合理的な配置を考える力が欠かせません。これらの処理能力は業務上でも活かせ、仕事の手順の整理をしたり、タスクの優先順位を判断したりする際に使えます。クリアデスクが身につくと、円滑に仕事を進めやすくなり、気持ちに余裕が生まれます。
クリアデスクを導入する方法
クリアデスクを導入するには、ルール決めと、従業員が守れるルールからの着手が重要です。導入方法について解説します。
テレワークにおける書類デジタル化について詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。
デスクの整理方法について詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。
ルールを決める
クリアデスクを導入するときは、全従業員が守るべきオフィスの運用ルールを決めましょう。ルールは経営者からトップダウンの意識改革が必要です。
離席時にはスクリーンセーバーを発動するといったセキュリティ関連、私物の扱い方、デスクを使った後は物を置いたままにしない・ウェットティッシュで拭くといった共有物の扱い方など、幅広い観点からルールを作成します。運用ルールと施設設備が合わなければ問題が発生するため、鍵付きキャビネットや管理ソフトなどの必要な設備・システムの検討も行いましょう。
従業員が守れるルールから始める
最初は従業員が守れるルールから始めるのが鉄則です。すべてのルールを守ろうとしても、定着は困難です。対象を機密性の高い情報に限定する、デスクを片付けてから退社する、片付けられない場合は足元に一時的に置くことも許すなど、緊急度の高いものや心理的ハードルの低いものから始めましょう。忘れてしまう従業員には、管理者がチェックしながら、従業員同士での指摘を促すと効果的です。
クリアデスクが定着しにくい理由と対処法
最初からクリアデスクを全従業員に徹底できる企業は多くありません。定着しにくい理由と対処法について解説します。
従業員のセキュリティ意識が低い
経営者層がクリアデスクを徹底しようとしても、従業員のセキュリティ意識が低ければ徹底は難しくなります。少数の経営者層がクリアデスクの重要性を感じていても、大多数の従業員の行動が伴わなければ、企業全体のセキュリティレベルは低いままです。
情報リテラシーの教育を行い、リスクについて従業員に伝えましょう。個人情報の漏洩や紛失による企業へのダメージについてレクチャーしてください。
環境が整備されていない
環境が整備されていない場合、クリアデスクは徹底できません。デスク以外に荷物を収納できるスペースがなければ、書類や荷物の放置が増えるため、適切な収納を用意する必要があります。鍵の付いたロッカーやキャビネットは整理整頓しやすく、セキュリティ向上に有効です。
ただし収納スペースが多すぎると、何でも詰め込んだり、どこに何が収納されているのかわからなくなったりするため、適切な収納スペースを検討しましょう。
社内で紙媒体の利用が多い
会議資料や報告書など、社内で紙媒体の利用が多い企業はクリアデスクの実践が難しくなります。クリアデスクを始める際は、会議資料などの紙媒体をデータ化することから着手しましょう。データ化できれば、紙媒体として持ち運ぶ必要もなく、セキュリティロックが施されたパソコンやサーバーでデータを保管すれば、安全性が高まり、セキュリティ対策になります。
デスク上の書類も減るため、作業効率も高まります。段階的に、可能な限り利用する紙媒体の量を減らすことを意識します。
ルールに不明確な点がある
社内ルールが明確に定められていないと、個人情報以外はデスクに出してよいと考える従業員と、個人情報以外の書類も片付けるべきと考える従業員の2つのタイプに分かれる可能性があります。判断の基準を従業員に任せると、判断が曖昧になり、情報漏洩のリスクが高まります。
ルールをわかりやすくするために、机の上には何もない状態にし、すべての書類を片付けるように明記するのがおすすめです。企業側がルールを明確にし、周知を徹底しましょう。
まとめ
クリアデスクとは、セキュリティ対策のために離席時・退社時にデスクの上をきれいにすることです。情報漏洩リスクを減らし、従業員が仕事に集中しやすい環境を作れます。自社だけで導入が難しいと考える場合は、サポートサービスの利用がおすすめです。
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