オフィス内の書類量を測る際、一般的に「fm(ファイルメーター)」という単位を使用します。
このコラムでは、「ファイルメーター」の用語解説や計算方法、不要な書類を増やさないための書類削減ルールなどを解説します。
書類量の単位「ファイルメーター」とは
オフィス内の書類量を把握する際、一般的に「ファイルメーター(fm)」という単位を使用します。
ファイルメーター(fm)とは、書類を積み上げた高さをメートル単位で測ったものです。
「A4サイズの用紙を1メートル積み上げた高さ」を「1ファイルメーター(fm)」といいます。
これは、一般的なコピー用紙の約10,000枚に相当します。
ファイルメーターは、オフィス内の収納量を把握する際に頻繫に用いられる単位です。
具体的には、オフィス移転や改装時に収納庫の数を検討する際や、個人の書類量を把握する際に活用します。
ファイルメーターの算出方法
ファイルメーターの算出方法
オフィスで使用する収納庫を例に、ファイルメーターの算出方法を解説します。
<横幅800mm、高さ1185mm、4段の収納庫の場合>
横幅800mmの収納庫1段に収納可能な書類量は0.8fmです。そのため、横幅800mm、4段(高さ1185mm)の収納庫1台に収納可能な書類量は、0.8fm×4段=3.2fm となります。この場合、収納庫の奥行の寸法は考慮しません。
ファイルメーターは書類削減目標の策定に役立つ
書類は意識して廃棄しないと溜まっていく一方です。
大掃除の際、何年も前の書類や雑誌が出てくるといった経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
不要な書類を増やさないためには、書類削減のルールを定めることが大切です。
ルールに従い書類の廃棄や電子化などを行うことで、効果的に書類の削減が図れます。
<書類削減ルールの一例>
廃棄する書類
- データが存在し、複数人で共有するもの
- 別途、原本が保管されている書類、パンフレット、社内報など
データ化して廃棄する書類
- 個人的にとっておきたい書類
- 複数人で共有する書類
外部倉庫で保管
- 保管が義務付けられているが、閲覧頻度が低い書類
ファイルメーターで削減目標を明確に示す
オフィスの書類削減を進める際、前述した「ファイルメーター」を使用して、現状の書類量の調査や削減目標の策定を行うことで、更なる書類削減の推進が実現します。
コクヨマーケティング霞が関オフィスでは、ハイブリットワークの推進等、働き方の変化に合わせて書類削減を実施しました。
内務スタッフは1.6fm/人から0.8fm/人に削減、営業は1.2fm/人から0.8fm/人に削減と職種に合わせて削減目標を策定(2023年時点)。
ファイルメーターを用いて明確に削減目標を決め、社内で共有し、目標に沿って不要な書類の廃棄や電子化を進めることで効率的に書類削減を行っています。
テレワークにおけるペーパーレス化を進めるポイントに関して詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
「リバウンドを防ぐ」ファイリング運用ルール
書類削減はオフィス移転や改装のタイミングで行うケースが多いですが、「オフィス移転のタイミングで一時的に書類削減に成功したけど、すぐに元の状態に戻ってしまう・・」ということがよくあります。そのようなことが起こらないように、書類削減ルールと共に、ファイリング運用ルールを決めることが大切です。
運用ルールを決めずに書類削減のみ実施した場合、一時的には書類を減らせますが、時間経過とともに元の状態に戻ってしまう危険性があります。
整理された状態を保つには、書類削減とセットで「ファイリング運用ルール」を決めましょう。
リバウンドを防ぐ!ファイリング運用の基本ルール
1.書類量の上限を決める
職種や部署の特性に合わせて、予め書類保管量の上限を決めます。業務内容により、役所指定用紙での管理が必要な部署など、紙書類が必然的に多い部署もあれば、比較的少なくてすむ部署もあります。
それらを勘案して、おおよその保管量を決めて管理しましょう。書類保管量の上限を決める際は、まず、現状調査を行います。現状調査では、社員に対し、書類の閲覧頻度や書類保管量に関するアンケートを行います。アンケート結果を元に、個人単位、部署単位で書類保管スペースを割り当てていきます。
2.書類種別に合わせ保管場所を決める
オフィスで保管する書類は、書類の内容ごとに「個人書類」「共有書類」「重要書類」の3つに分けて、保管場所や運用ルールを定めましょう。
<個人書類>
仕掛中で、共有するまでには至っていない書類や情報収集のために集めた書類。主にパーソナルロッカーや個人デスクの引き出しで管理します。
<共有書類>
複数名で使用する書類。業務を共有する部署の共有収納庫で管理します。管理担当者を決めてルールどおりに収納されているかを定期的に点検しましょう。
<重要書類>
契約書等の機密文書、原本での保管が必要な文書。鍵のかかる収納庫で管理します。閲覧頻度の低い書類は、外部倉庫での保管を検討しましょう。
3.ファイル用品を統一し、タイトルを付ける
共有書類は共有収納で管理します。ここに並ぶファイル用品の種類がまちまちだと探しにくいだけでなく、収納効率が低下する恐れもあるため、1種類に統一することをお勧めします。
併せて、ファイル用品の背ラベルに「何の書類が入っているのか」や「管理者の氏名」などを書いておくと更に検索性が向上します。
予めタイトルのネーミング法を決めておくと、タイトルをつけるときも必要なファイルを探し出すときも便利です。また、ファイル用品は、書類の種類ごとにカラー分類して保管すると目当ての書類が探しやすくなります。
例えば、「マニュアル類は紺色のファイルボックスに収納する」、「帳票類は緑」など色の使い分けで書類種別を可視化することで、必要な書類にをスピーディー探し出せます。
4.保存期間を決める
「会計監査に関する文書」など法律で保存期間が決められている書類は、法定期限を最低限として保存期間を設定します。
一方、オフィス内にある多くの書類は、法定保存期間が定められていませんので、書類を取扱う組織内で話し合いながら、保存期限を設定しましょう。
保存期間を決め、保存期限がきたら、保存期限を延長するか、廃棄するかを決めます。
不要な書類を増やさないためには、「どの書類をいつまで保存するのか」を予め明確にし、期限がきたら廃棄もしくは延長等の対応をとることが大切です。
5.棚卸ルール
最低でも年1回書類の棚卸日を決めて、定期的な不要書類廃棄を一斉に行うことが重要です。保存期限が切れた書類の廃棄を行うのも、あるいはオフィス内から外部(例えば、オフィス外にある文書庫や契約している外部倉庫)へ、保存すべき書類を置換えるのもこのタイミングです。
6.社内にルールを周知する
ファイリング運用ルールは、決めるだけではなく、続けていくことが大切です。
継続していくことで、不要な書類を削減し、スペース効率や業務効率が高い状態を維持することが可能となります。
ルールを周知、徹底するには、「各部署からファイリング担当者を選出する」など、社員参加型でファイリング維持のための管理体制を構築することが大切です。
併せて、ファイリング担当者を中心に、ルールが守られているかどうかを定期的に見回りチェックする機会を設けるもの有効な手段です。
ルールに反している箇所には「違反チェックシール」を貼ると、改善がしやすくなると共に、ルールの浸透が図れます。
まとめ
オフィス内の書類量を測る際に用いる単位「fm(ファイルメーター)」に関して解説しました。
ファイルメーター(fm)とは、書類を積み上げた高さをメートル単位で測ったもので、オフィス移転や改装時に収納庫の数を検討する際や、個人の書類量を把握する際に活用します。
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