BCPとは、自然災害やウイルス流行などの緊急時に、被害や損害を最小限に抑えるための計画の事です。
この記事では、自社でBCPの策定を検討している経営者様、ご担当者様に向けて、BCPとは何かを分かりやすく解説いたします。
BCP策定のチェックリストや事例なども紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
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BCPとは
BCPは、Business Continuity Planの略称で、日本語では「事業継続計画」と訳されます。
緊急事態が発生した際に、企業が事業を継続したり、迅速な復旧を行ったりするために必要な方針・体制・手順などを定めたものです。
あらかじめBCPを策定しておく事によって、緊急時の混乱を防ぎ、被害や損失を抑える事も可能です。緊急事態には、地震などの自然災害やセキュリティ事故、ウイルスの流行などが挙げられます。コロナ禍においてもBCPは有効とされており、これをきっかけにBCPの策定や見直しを進める企業が増えています。
企業におけるBCPの策定状況
大企業のBCP策定状況は比較的進んでおり、中堅の企業においても策定が着実に進められています。内閣府が公表した「令和元年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」によると、策定済み、策定中を含む策定率は大企業が83%、中堅企業では53%となっています。
BCPは緊急時の事業継続、早期復旧の際に不可欠であるため、企業規模の大小にかかわらずBCPの策定が必要です。
BCPの策定は民間企業だけでなく、自治体でも実施されています。策定や見直しの際は、政府によって整備されているBCP策定に関するガイドラインや、中小企業庁が公開しているBCP策定・運用状況に関するチェックリストを活用しましょう。チェックリストの詳細については、後ほど紹介いたします。
【出典】内閣府「令和元年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」
BCP策定が必要な理由とは
BCP策定が必要とされる理由について、詳しく解説いたします。
緊急時、迅速に事業を復旧・継続するため
BCPは、いつ発生するのか分からない緊急事態に対し、企業が平常時から備えておくべき重要な計画です。特に近年は自然災害の発生が増えているため、有事の際にでも事業をすみやかに復旧・継続できる体制を築いておく事が求められます。緊急時は冷静さを失い、的確に経営判断ができない事も想定されます。BCPが全てをカバーできるとは限りませんが、何を優先させるかなど重要な指針となり、事業の復旧や継続に向けてスピーディーに動く事が可能になります。
企業の信頼性を高めるため
事業を継続できなくなると、取引先や顧客などの多方面へ影響を及ぼす事になります。緊急時、企業として適切な対応ができずに事業停止となれば、社会的な信頼を損なう可能性があります。また、BCP対策は企業のイメージアップ効果にも繋がります。緊急事態でも安定して経営できる事、不足の事態に対応できる事が、ビジネスパートナーとしての信頼性を高めるからです。そのため、BCP対策を行っている企業は取引先としても選ばれやすい傾向にあります。
BCPが活かされた事例
特に2011年3月に発生した東日本大震災を教訓に、BCPを策定した企業が増加しました。後の、2016年4月に発生した熊本地震の際に、BCPが活用されたという事例が多数あります。発生の予測が難しい自然災害などにおいて、BCPの策定は有効である事が分かります。
BCPの取り組み事例
上述した理由により、企業は、いつどこで発生するかわからない緊急事態に備えるためにBCPを策定しておく必要があります。
BCP策定の必要性はわかったものの、具体的にどのような取り組みを行えば良いか分からない場合もあるかもしれません。ここでは、実際にBCPを策定した企業例について業種別に紹介します。自社でBCPを策定する際の参考にしてください。
製造業A社の事例
包装資材などの製造を行うA社では、2009年の新型インフルエンザ感染拡大を受け、BCPを策定しました。全従業員にBCPポケットマニュアルや大地震初期対応カードなどの配布し、避難訓練の実施後は必ず改定を行っています。
製造業B社の事例
バネなどの製造販売を行うC社では、会社が海の近くに位置している事から、東日本大震災を教訓にBCP対策を行いました。社員とその家族の安否確認を行うシステムの導入、社屋や機械などへの防災対策のほか、県外の企業と災害時に応援を依頼するための相互応援協定を締結しています。
建設業の事例
ある建設会社では、熊本地震をきっかけにBCP対策を見直しました。データのバックアップ、発電機の用意、代替拠点の確保などのほかに、年2回社内で緊急時の訓練を実施しています。
工務店の事例
ある工務店では、大型台風による被害を教訓から災害対応マニュアルを作成し、台風被害が出るたびに改定し続けています。よって熊本地震では、前震の翌朝から修理や安全点検を行ったり、早々にグループ会社と連携を取ったりする事で、必要な人材や物資の確保に成功しました。
サービス業の事例
あるサービス業では、取引先の工場の停止やインターネット回線の断絶を想定したBCPを策定しました。独自にバックアップシステムを構築したり、被災時のための備品の用意や運用訓練などを実施したりと、年に1度BCPの内容の見直し、備品の点検などを行っています。
BCP対策を行う企業のためのチェックリスト
BCPの策定や見直しの際は、中小企業庁が作成したチェックリストを活用しましょう。
チェックリストは、中小企業のBCP策定の促進を目的で作成されたもので、策定方法や運用方法なども詳しく解説されています。自社におけるBCP対策の現状を確認できるうえに、不足している対策などを把握できます。
入門コース「中小企業BCP策定運用指針 第2版」内の「1.3 BCP取組状況チェック」は、自社の事業継続能力の現状を診断できるチェックリストです。中級コース「3.6 BCP策定・運用状況の自己診断(中級コース)」は、策定済みのBCPや運用状況を診断するために活用します。
どちらのチェックリストにも診断項目が記載されており、「はい・いいえ」を選択します。
診断時は、「はい」の数の多さに安心するのではなく、「いいえ」にチェックした項目を確認し、必要な対策や取り組み検討する事が大切です。
BCP取組状況チェックリスト(入門コース)の一部
人的資源
- 緊急事態発生時に、支援が到着するまでの従業員の安全や健康を確保するための災害対応計画を作成していますか?
- 災害が勤務時間中に起こった場合、勤務時間外に起こった場合、あなたの会社は従業員と連絡を取り合うことができますか?
物的資源(モノ)
- あなたの会社のビルや工場は地震や風水害に耐えることができますか? そして、ビル内や工場内にある設備は地震や風水害から保護されますか?
- あなたの会社周辺の地震や風水害の被害に関する危険性を把握していますか?
物的資源(金)
- 1週間又は1ヵ月程度、事業を中断した際の損失を把握していますか?
- あなたは、災害後に事業を再開させる上で現在の保険の損害補償範囲が適切であるかどうかを決定するために保険の専門家と相談しましたか?
物的資源(情報)
- 情報のコピー又はバックアップをとっていますか?
- 主要顧客や各種公共機関の連絡先リストを作成する等、緊急時に情報を発信・収集する手段を準備していますか?
体制等
- 緊急事態に遭遇した場合、あなたの会社のどの事業を優先的に継続・復旧すべきであり、そのためには何をすべきか考え、実際に何らかの対策を打っていますか?
- 取引先及び同業者等と災害発生時の相互支援について取り決めていますか?
※出典:「中小企業BCP策定運用指針 ~緊急事態を生き抜くために~」|中小企業庁(2021年6月時点の情報)
まとめ
BCP対策は、緊急時に事業を継続・復旧させるための重要な取り組みです。
BCP策定や見直しの機会に伴い、BCPに対応したオフィス環境を整えておく事もポイントになります。
年間25,000件以上の豊富な実績をもつコクヨマーケティング株式会社は、お客様のご希望に沿った様々なご提案を行っております。BPC対策に伴い、オフィス環境の見直しをご検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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