オフィスは単に作業する場所から、社員のコミュニケーションや創造性を向上させる場へと変わりつつあります。
そういった背景の中で、オフィスBGMは、新しいアイデアを生み出したり、社員の同士の交流を促したりするためのツールとして、重要な役割を担っています。
この記事では、オフィスBGMがもたらすメリットや効果、導入方法、導入時の注意点などを解説します。オフィス環境の改善に、ぜひ参考にしてください。
オフィスBGMとは
オフィスBGMとは、文字通り、オフィスで流す音楽のことです。
仕事の効率や創造性の向上等を目的として導入されることが多く、業務をさまたげず、自然に耳に入るBGMのことを指します。
オフィスBGMをかける目的は、場所や時間帯等によって異なります。
例えば、休憩室ならリラックス効果の高い穏やかなBGM、単調作業の開始時は従業員を元気づけるようなアップテンポのBGMをかけるというように、狙いをもって使い分けることで、ワーカーにとって心地よい空間をつくることができます。
オフィスBGMは快適なオフィス空間づくりの方法の1つ
オフィスBGMは空間演出のために活用することができます。
近年、オフィスの役割は、単に作業ができるだけではなく、心地よく仕事に取り組める空間、仲間との交流から新しいアイデアを生み出す場へと変わってきています。
雑音が多い場所では仕事ははかどらず、斬新なアイデアも生まれないでしょう。
オフィス内に適度な音量でBGMが流れていることで、心地よく仕事ができると考えられています。
オフィスBGMによって、従業員の創造性を刺激したり、コミュニケーションを活性化させたりといった効果が期待できることから、オフィス環境を考える際に、人に大きな影響を及ぼすオフィスBGMはとても重要な要素であると考えられています。
オフィスにBGMを流すことのメリットや効果
オフィスBGMを導入することで、生産性向上やコミュニケーション促進など、多くのメリットがあります。ここでは、6つのメリットや効果を解説します。
オフィス環境改善に役立ち、生産性の向上が期待できる
オフィスBGMはオフィス環境を改善し、生産性や快適性を向上させるツールとして役立ちます。BGMを流すだけで、殺伐とした職場の雰囲気が和らで快適になったという事例も少なくありません。また、オフィスのエリアや時間帯ごとにBGMの種類を変えることで、気分転換を促すといった効果も期待できます。
企業イメージの向上
企業のイメージアップにオフィスBGMを使うこともできます。例えば、エントランスにクラシック音楽を流しておけば、上品・上質な空間を演出することができるでしょう。また、待合室での穏やかな音楽は、緊張をやわらげ、和やかな商談のためのアイスブレイクの役割を果たしてくれます。
社員のモチベーションを高めたり、ストレスの低減につながる
音楽が気持ちを前向きに高めてくれることや、ストレスを減らすリラックス効果があることはよく知られます。もちろん、オフィスBGMでも同じ効果が期待できます。メンタルヘルス対策の一環として、オフィスBGMを活用する企業も増えきました。
コミュニケーション促進に役立つ
適度な音量でBGMが流れていると、コミュニケーションがしやすくなるものです。例えば、図書館のような静まり返ったオフィスでは、話がしにくいと感じる方が多いのではないでしょうか。BGMがあれば、妙な沈黙も感じにくくなるため、ストレスなく会話することができるでしょう。また、オフィスBGMに無意識に同調することで、和やかな言い回しやポジティブな言葉遣いが増え、職場の雰囲気がよくなるといった効果も期待できます。
「マスキング効果」など、集中力を高めることに役立つ
オフィスBGMには、書類をめくる音やキーボードを叩く音などを聞こえにくくするマスキング効果があります。マスキング効果とは、環境音とBGMなどの同じ周波数帯の音が相殺されることで雑音が減る現象です。この効果によって、単調作業や知的作業を問わず、集中力が高まりやすいことが知られています。
また、オフィスBGMは、周囲に聞かれたくないプライベートの話や、内々の連絡事項なども適度にかき消してくれます。
時間管理にも役立つ
オフィスBGMは従業員の時間管理にも役立ちます。例えば、始業前にラジオ体操をかけることで、仕事モードへの準備を促せられるでしょう。また、午前中に落ち着いたBGMを流すことで、個人のタスクに集中するコアタイムを職場で意識させている企業もあります。終業1時間前に特定の曲を流し、仕事の区切りを付ける習慣を持ってもらうことで、残業が減った事例もあるようです。
オフィスにBGMを導入する際の懸念点
オフィスBGM導入には多くのメリットがありますが、使い方を間違うと逆効果になります。ここでは、慎重に検討しておきたい音量と選曲について解説します。
音量が難しい
オフィスBGMの快適な音量は人それぞれで、調整が難しい面があります。音量が小さすぎるとマスキング効果などのメリットがなくなりますが、大きすぎると気が散ってしまうからです。
一般的には、オフィスBGMに最適な音量は40~50dBを目安にします。この音量は、木々のざわめきや図書館内の小さな声や物音、換気扇やエアコンなどと同じ気が散らない程度のレベルです。
選曲が難しい
企業やオフィスの雰囲気に合う音楽を選ばないと、来客者に悪い印象を与えることもあります。また、従業員から選曲に不満が出ることもあるでしょう。例えば、自分が知っている曲だと気が散るという方や、昼食後の眠たい時間に穏やかな曲をかけないでほしい方などがいます。
選曲によってオフィスBGM導入が失敗することもあるので、社員の意見やプロのアドバイスを受けることが重要です。
オフィスに合うBGMの種類・ジャンル例
一般的に、オフィスBGMに適しているのは、聞き流しやすい音楽だといわれています。
そのため、クラシックやジャズ、インストゥルメンタル(歌がない楽器のみで演奏される曲)などが定番とされています。例えば、社員食堂や休憩室では、クラシックのオーケストラ曲やミドルテンポのインストゥルメンタルなどがよくかけられます。また、木々のせせらぎや波の音などの自然音を流している企業もあります。
一方、ボーカルが入っている曲はオフィスBGMに向いているとは言えませんが、時間や場所を限定すれば効果的に使うことも可能です。例えば、始業前やランチタイムには気分が上がるよう、あえて、アップテンポのJ-POPや洋楽ポップスを流すという方法を取り入れているケースもあります。
オフィスにBGMを導入した企業の活用事例
ここでは、オフィスBGMを効果的に導入したコクヨマーケティング株式会社霞が関オフィスの事例を紹介します。
BGMで意識の定着を狙う
コクヨマーケティング霞が関オフィスでは、毎週水曜日の14:00に全社員で社内の清掃を行っています。
しかし、この習慣が、「従業員になかなか定着しない」という課題がありました。
そこで、掃除の時間にBGMを流すことにしたのです。
当初は、映画「ロッキー」の主題歌「ロッキーのテーマ」を流していたのですが、毎週同じ曲をかけていたので、「飽きた」という声や、若手社員からは「何の曲だか分からない」という声もあり、紆余曲折を経て、現在は、運動会でもおなじみの「天国と地獄」を流しています。
選曲は定期的に見直しをしていますが、一定期間、特定のBGMを流すことにより、「音楽がかかった=清掃の時間」という習慣が職場に定着し、確実に清掃作業ができるようになりました。
オフィスBGMは終日流すものだというイメージがありますが、このように、ポイントで使用することで、特定の意識や行動の定着にも活用できます。
エントランスにBGMを流す
オフィスのエントランスでは、BGMを流しています。
視覚から入る空間デザインと同じくらい雰囲気づくりに大切なのがBGMです。
オフィスに訪れたお客様にリラックスした気持ちで過ごしていただきたいというおもてなしの気持ちから、クラシック系の音楽を選曲して流しています。
オフィスにBGMを導入する方法
便利な音楽サービスが登場したことで、オフィスBGMの導入は手軽になっています。 ここでは、2つの具体的な導入方法について解説します。
オフィス専用にBGMを提供している会社と契約する
オフィス専用BGMサービスの活用は、費用はかかるものの、選曲や楽曲操作、後ほど紹介する著作権対策に手間がかからない方法です。
導入方法は、インターネットの音楽配信チャンネルを契約する方法と、スピーカーやアンプと音楽配信サービスをセットで契約する方法の2つがあります。どちらも選曲は「穏やかな曲」「マスキング効果が高い音楽」などのように目的を選ぶか、業者に要望を伝えるだけです。自動的に目的に合った曲が流れるため、効果的なオフィスBGMを簡単に導入できます。
ストリーミング音楽配信サービスや、インターネットラジオを利用する
業務利用が許されている一般的なストリーミング音楽配信サービスやインターネットラジオを活用する方法もあります。ただし、個人利用以外が禁止されているサービスもありますので、利用規約を事前に確認しましょう。
オフィスにBGMを導入する際の注意点
オフィスBGMを導入する際には、著作権侵害、音量、選曲の3つに注意が必要です。それぞれについて解説します。
著作権使用料の要不要を確認する
ほとんどのオフィスBGMの曲には著作権があり、ルールに従って流さないと著作権侵害に当たる場合もありますので注意しましょう。
日本音楽著作権協会(JASRAC)では、各種施設でのBGM利用時に著作権使用料を定めています。オフィスBGMは「従業員を主とした利用の場合」と「来客が多い場合や、オフィスの一部を店舗として利用している場合」などで、許諾申請の要不要が変わる場合がありますので、事前に調べてから流しましょう。
音量に注意する
前述したとおり、快適な音量は人それぞれで、調整が難しい面があります。特に音量が大きすぎる場合は、業務効率を低下させるリスクが高いため、注意が必要です。また、ボーカルが入っている曲やアップテンポの曲は耳に入りやすい傾向があるため、選曲によって音量調整することも大切です。
定期的に選曲を見直す
オフィスBGMは従業員の意見を聞きながら、定期的に選曲を見直すことが必要です。従業員を飽きさせない工夫として、3ヶ月ごとに内容を変更している企業もあります。
まとめ
オフィスBGMは手軽なオフィス空間づくりの方法です。生産性向上やマスキング効果など多くのメリットがあります。音量や選曲、著作権などに注意しながら、オフィスBGMを有効活用していきましょう。
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