オフィスにおける給湯室は従来の役割を脱却し、おしゃれなカフェスペースを併用する空間に代わりつつあります。従業員が集まりやすい特性を活かし、コミュニケーションの活性化やアイデア創出の場として、その可能性が期待されています。
オフィスのリニューアルを機に、あまり活用されていない給湯室を活用するプランを検討してみてはいかがでしょうか。
この記事では、オフィスにおける給湯室の役割の変化と設置のメリットのほか、設置・管理のポイントについて解説。また、おしゃれな給湯室の導入事例についてご紹介します。
※給湯室設置における設備工事(給排水および火気設備の新設・増設、移設)については、当社では承っておりませんので、あらかじめご了承ください
オフィスにおける給湯室の役割
オフィスにおける給湯室といえば、ただお湯を沸かしたり、洗い物をしたりするだけの場所でした。多くの場合、オフィスの奥まった場所に配置され、来客へのお茶出しなどに使われることが主な役割です。
しかし、近年のオフィスにおける給湯室の役割は、大きく変化しています。近年の給湯室は、カフェスペースと一体化し、おしゃれで広々とした給湯室を導入する企業が増えています。例えば、一部の企業では給湯室にカフェスタイルのテーブルや椅子を設置し、従業員同士のコミュニケーション促進やリフレッシュ効果を目的としています。
オフィスカフェについてはこちらのページで詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
給湯室を設置するメリット
給湯室は、オフィス内で自然と人が集まる「マグネットスペース」として機能します。マグネットスペースとは、磁石のように人々が引き寄せられる場所を指し、給湯室はその代表例といえるでしょう。
飲み物を用意するために立ち寄った従業員同士が偶然顔を合わせ、その場で広がる雑談や情報交換によって、部署を越えたコミュニケーションが生まれる場となります。
また、このような交流は、フォーマルな会議では得られない柔軟なアイデアや新しい視点をもたらす可能性があります。普段は接点の少ない社員同士が気軽に会話できる環境を提供することで、職場全体の一体感や連帯感を高める効果も期待できます。
さらに、給湯室はモチベーション向上にも寄与します。短時間の休憩や同僚との気軽な会話を通じてストレスが軽減されるだけでなく、他部署の人々との交流が刺激となり、自分の業務に対する意欲向上が期待できます。
このように、単なる休憩スペース以上の価値を持つ、重要な場所となりつつあるのが給湯室です。
給湯室を設置する手順
オフィスに給湯室を設置する際には、適切な手順を踏むようにしましょう。適切な手順を踏まずに設置すると、スペースが活用されなかったり、管理が行き届かなくなったりする可能性があります。給湯室設置の手順は、下記のとおりです。
1. 目的を明確にする
給湯室を設置する際には、まずその目的を明確にする必要があります。例えば、「社員のリフレッシュやアイデア創出のためのスペースとしたい」という目的と「来客対応のための飲み物準備スペースとして活用したい」といった目的では、必要な設備やレイアウトが異なってくるからです。
目的が曖昧だと、本来必要となる機能が欠けてしまったり、反対に不要な設備を導入してしまったりする可能性があります。そのため、事前に従業員の意見をヒアリングし、どのような給湯室が求められているのかを把握しましょう。
なお、テナントビルでの給湯室の設置・移設は、給排水などの建物基幹設備に関わるため、実現が困難なケースが少なくありません。建物の重要インフラに影響を与える工事となるため、管理会社から承認が得られない可能性もあります。計画段階で管理会社に設置の可否や条件を確認し、慎重に進めることが重要です。
※給湯室設置における設備工事(給排水および火気設備の新設・増設、移設)については、当社では承っておりませんので、あらかじめご了承ください
2. 家具や設備を設置する
目的設定の次に、給湯室に必要な家具や設備を選定・設置します。給湯室には基本的にシンクと冷蔵庫のほか、電子レンジ、電気ケトルなどが必須ですが、社員がリラックスできる給湯室を設けるのであれば、そのような空間に必要な家具・設備も用意しましょう。具体的には、下記のような家具・設備が考えられます。
<給湯室への設置がおすすめの家具・設備>
- カフェスタイルのテーブルや椅子
- 温かみのある照明や観葉植物
- 食器や調味料などが整理整頓できる棚やキャビネット
家具や設備の設置の際には動線にも配慮し、多人数が同時に利用しても混雑しないようなレイアウトにする必要があります。給湯室に自動販売機やコーヒーマシンなどを導入すれば利便性も向上し、より多くの従業員が集まるようになるはずです。
3. ルールを設ける
給湯室は、多くの従業員が利用する共用スペースです。そのため、快適に使用できるよう、備品の管理や利用に際してのルールを設けるようにしてください。
これらのルールは従業員間で事前に周知し、誰もが守れるよう掲示物などで視覚的にも伝えると効果的です。また、新しい問題が発生することもあるので、柔軟にルールを見直す体制も必要といえます。
給湯室を管理する際のポイント
給湯室は、多くの従業員が日常的に利用する共用スペースであり、快適で清潔な環境を維持しなければなりません。もし、適切な管理が行われていないと、衛生面の問題や利用上のトラブルが発生する可能性があります。ここでは、給湯室を管理する際のポイントについて解説します。
定期的な清掃を当番制で行う
おしゃれな給湯室を常に清潔に保つためには、定期的な清掃が欠かせません。特に、シンクや電子レンジ、コーヒーマシンなどは汚れが溜まりやすいため、こまめな掃除が必要です。しかし、特定の従業員だけに負担が集中すると、不公平感が生じたり、欠員が出た際に清掃ができなくなったりする可能性があります。そのため、清掃を当番制で行うのがおすすめです。
給湯室の清掃当番制の導入に関しては、下記のようなポイントを参考にしてください。
<給湯室の清掃当番制を導入する際のポイント>
- スケジュールの明確化:当番表を作成し、掲示板やデジタルツールで共有
- 役割分担:ゴミ捨てやシンク掃除など、具体的な作業内容と分担を明確にする
- ルールの周知:清掃ルールや頻度についてあらかじめ全員に説明し、周知を図る
これらのルールによって、給湯室の清潔さを維持した、公平な管理体制を構築できるでしょう。
設備・備品の点検を行う
オフィスの給湯室には多くの設備や備品が設置されており、それらの点検と補充も管理の重要なポイントです。例えば、電子レンジや冷蔵庫などの家電製品は定期的に動作確認を行い、不具合があれば早めに修理や交換を手配する必要があります。また、コップや洗剤などの消耗品は、不足しないように注意が必要でしょう。
給湯室の備品・設備管理については、下記の例を参考にしてください。
<給湯室の備品・設備管理における工夫の例>
- 在庫リストの作成:消耗品の在庫状況を簡単に確認できるリストを作成し、定期的に更新する
- 補充担当者の指定:備品補充を担当する人を決めておく
- 点検頻度の確認:備品や設備ごとに点検頻度を設定し、計画的に確認する
こうした取り組みによって、従業員が給湯室を利用する際に、必要なものが足りないという不便さを解消できるはずです。
私物を置く際は制限を設ける
給湯室は多くの従業員が利用するスペースであり、私物の放置には注意が必要です。具体的には、冷蔵庫内に私物が増えすぎるとスペース不足になり、他の従業員が使いづらくなることが考えられます。
また、食べ物や飲み物が放置されたままになることで、衛生的な悪影響を及ぼす可能性もあります。そこで、給湯室の私物は1週間以内に引き取るように周知徹底したり、自分の名前を書いたラベルを貼るようにしたりといったルールを設けてください。
さらに、冷蔵庫内は定期的に整理するようにしましょう。例えば、期限切れや放置されたものの処分日を設定するといったルール設定がおすすめです。
オフィスの運用ルールについては、こちらの資料やブログ記事で詳しくご紹介しています。
オフィスカフェ併用の給湯室の導入事例
コクヨマーケティングでは、既存の給湯室とオフィスカフェを併用したスペースを設置可能です。最後に、当社が手掛けたオフィスカフェ併用の給湯室の導入事例をご紹介します(※)。※給湯室設置における設備工事(給排水および火気設備の新設・増設、移設)については、当社では承っておりませんので、あらかじめご了承ください
新田ゼラチン株式会社様:アンケートで要望の多かったリラックススペースを併設
新田ゼラチン株式会社様は、従業員を対象に「働く環境に関するアンケート」を実施し、満足度の高いオフィスづくりを実施しました。その中で、「リフレッシュできる場が欲しい」という意見が多く上がったため、誰もが気軽に使える給湯室を併用したリラックススペースを設けました。来客時にも利用できるよう、明るい空間になっています。
新田ゼラチン株式会社様の事例はこちらのページでご紹介していますので、ぜひご覧ください。
富士インキ工業株式会社様:用途に合わせて使用できる給湯室併用型スペース
富士インキ工業株式会社様は、75周年記念事業の一環として新工場を設立。その中の給湯室を併設した休憩スペースは、ミーティングスペースとしても活用可能です。
さらに、一人で業務する際にも利用しやすいよう、景色の良い窓際にカウンター席を設置。観葉植物と明るい照明によって開放感があり、リラックスできる空間が実現しました。
富士インキ工業株式会社様の事例はこちらのページでご紹介していますので、ぜひご覧ください。
株式会社エムティエス様:社内イベントでも活用できるキッチン併設スペース
新社屋にオフィス機能と物流機能を集約した、株式会社エムティエス様。食堂エリアにはキッチンやソファを併設したスペースを設けています。キャスター付きの椅子のため、簡単にレイアウト変更が可能で、社内イベントで活用されているとのことです。
株式会社エムティエス様の事例はこちらのページでご紹介していますので、ぜひご覧ください。
オフィスの給湯室をマグネットスペースとして活用しよう
オフィスにおける給湯室は、これまでの来客用のお茶出しのためのスペースではなく、カフェスペース併用のおしゃれな空間に生まれ変わりつつあります。給湯室に、カフェのようなテーブルや椅子を設置することで、従業員同士のコミュニケーションを促したり、リフレッシュ効果を期待したりできる、マグネットスペースとすることも可能です。
オフィスリニューアルを機に、給湯室をマグネットスペースとして活用したいなら、コクヨグループ年間2万5,000件以上の豊富な実績があるコクヨマーケティングにお任せください。オフィスづくりの経験豊富な担当者が、お客様の働き方に合わせた空間をご提案します。
また、コクヨの社員が働くオフィスを見学できる「オフィス見学」のお申込みも、受け付け中です。新しい働き方やオフィスづくりのヒントをお探しの方は、ぜひコクヨのオフィスへお越しください。
※水回り、火気設備工事のご相談は承っておりませんのであらかじめご了承ください
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