WEB会議や電話の話し声、コピー機の音、周囲の視線など、オフィスには集中を阻害する要因が多く存在しています。
リモートワークとオフィス出社を組み合わせた新しい働き方「ハイブリットワーク」が広がる中、在宅勤務と比較し、オフィスでは周囲の音や視線が気になり業務に集中できないと感じたり、自分の声やキーボードの操作音が周囲の迷惑となっていないか気になってしまったりする方も多いのではないでしょうか。
オフィスが集中できない環境になっていると、業務効率や生産性が下がったり従業員のモチベーションが下がったりする一因となります。そのためオフィスを整えて集中しやすい環境をつくることが大切です。
この記事では、総務やオフィスファシリティ担当者様に向けて、オフィスで集中できない原因や対策方法、事例について解説します。
オフィスでは集中して仕事ができない?その要因とは
オフィスで集中できない主な要因を2つご紹介します。
話し声や雑音が聞こえる
オフィス内での会話や電話、WEB会議による話し声などは、集中力を妨げる原因となります。1人あたりのスペースが適切に確保されておらず人と人との距離が近かったり遮音性が充分ではなかったりする空間では、聞くつもりがなくても声が聞こえてきてしまいます。
また、上記で挙げた以外には、キーボードを叩く音や、移動の際の足音といった雑音が集中力を妨げる要因として考えられています。
オフィスの一人あたりの面積について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
視線が気になる
近年、コミュニケーションの促進やスペース効率を目的に、フロアを間仕切りなどで区切らないオープンな空間のオフィスが増えています。その一方で、空間を仕切る物がなかったり少なかったりすると、周囲の視線が気になって集中しにくいと感じている方もいるようです。
オフィスランドスケープ(間仕切りを使わずにワンフロアを広々と使うオフィスレイアウト)について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
気分転換できる場所がない
オフィスで集中できない際は、単純に集中力が限界に達していることも考えられます。一般的に、人間の集中力は90分程度で限界を迎えるといわれています。状況によっては、約40分で集中が切れる、ともいわれています。
また集中力には周期があり、最も深い集中を保てる時間とされているのは15分程度ともいわれています。集中力がきれた場合は、適度に休憩を挟むことが大切ですが、オフィス内に休憩に適した場所がなく充分に気分転換できないといったケースもあるようです。
業務に集中できるオフィスをつくるアイデア
オフィスで集中できない場合の対策方法はいくつかあります。ここからは、具体的な対策方法とそれぞれの詳細を解説します。
パーテーションを設置する
間仕切りの無いオープン空間のオフィスの場合、パーテーションを設置することで、視線や他人の動きを遮れるので、集中力を妨げる要因を減らせます。たとえば、個人ごとに机をパーテーションで囲み簡易的な個室のような空間をつくるといった方法があります。
集中ブースを設置する
集中ブースとは、パネルなどで座席を囲い、周囲の視線や音を遮断し、1人で作業に没頭するためのスペースです。周りの視線や騒音、話し声などを抑えて、業務に集中して取り組みやすくなります。
このような集中ブースをオフィス内にいくつか設置し、業務に集中して取り組みたい場合には集中ブースで仕事を行い、コミュニケーションを取りながら業務を行いたい場合にはオープンスペースで仕事をするなど、業務内容に合わせて働く場を自由に選べるようにすることでオフィスの快適性が向上します。
集中ブースについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
植物を置く
観葉植物をオフィス内に置くと心を落ち着けて集中しやすくなります。植物の緑は、視覚的にリラックスしやすい効果があると言われています。
また植物は空間を区切る目安としても機能します。植物と間仕切りを上手く組み合わせることで、視線を緩やかに仕切ることもできるため、集中しやすいオフィス環境となりやすいです。
グリーンを取り入れたオフィスについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
デスクや椅子を変更する
デスクや椅子のサイズが身長・座高から見て適切な物でないと、集中力が下がりやすくなります。人間は姿勢が悪い状態だと、筋肉や関節に負担がかかり疲労が溜まりやすくなったり、脳への酸素供給が滞ったりするためです。
姿勢が悪い状態が続くと、肩こりや腰痛なども発生しかねません。適切な姿勢を取れるデスクや椅子に変更しましょう。
コクヨデスクシリーズUPTIS(アプティス)は、デスク天板の確度を8段階(水平を含む)で変更可能ですので、自分の好みに合わせて調整できます。また、ブースセッティングのレイアウトにすれば、ほどよく周囲の気配を感じながら、自席で個人的な作業に集中できます。モニター台を使用することで大型の画面を見ながらの作業も可能です。
デスクの最適な高さについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
デスクのレイアウトを変更する
デスクのレイアウトを変更することでも、集中しやすい環境を構築可能です。代表的なレイアウトの例として、下記の種類が挙げられます。
レイアウトの種類 | 内容 | 集中度 |
---|---|---|
対向式 (島型) | 部署ごとにデスクを向かいあわせに配置する | ★ |
同向式 (スクール式、並列式) | 一定の方向にデスクを並べる | ★ |
ブース型 | パーテーションやパネルでデスクを囲う | ★★★ |
背面対向式 | チームごとにデスクを背中あわせに配置する | ★ |
ベンゼン式 | ブーメラン型のデスクを用いたレイアウト | ★★ |
「ブース型」は、周囲をパーテーションやパネルで囲い、まわりの視線を気にすることなく業務に集中できるため、個人ワークの効率性を重視したい場合におすすめのレイアウトです。
また、ベンゼン式のデスクレイアウトは、ブース型より集中度は劣りますが、1人あたりのデスクスペースを広くとれるため、資料を広げたり、パソコンをモニターに接続したりする際に、隣の人を気にすることなく行えるため、他のデスクレイアウトと比較し集中しやすい環境をつくることができます。
デスクレイアウトの種類についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
休憩スペースを設置する
集中力を持続させるためには、休憩できる場所をつくることも大切です。休憩スペースは従業員同士のコミュニケーションの機会を増やせるほか、従業員のモチベーション向上にも役立ちます。
なお休憩スペースを設置する際は、利用しやすい雰囲気づくりや立ち寄りたくなる仕掛け、気分転換に適した内装デザインを検討することが重要です。
リフレッシュスペースについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
休憩に適したオフィス内の「仮眠室」のつくり方について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
オフィス内のカフェコーナーについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
WEB会議や電話専用のブースを設置する
WEB会議や電話の声が集中を阻害する要因となっている場合は、専用のブースを設置することをおすすめします。
遮音性に優れた専用のブースをオフィス内に設置し、WEB会議や電話はブース内で行うことをルール化することで、「WEB会議や電話の声が気になって業務に集中できない」といったことを防ぐことができます。
集中環境を実現したオフィス構築事例
ここからは、コクヨマーケティングで手掛けた集中して仕事ができるオフィスの構築事例を紹介します。
集中と交流をバランスよく実現するベンゼン型レイアウトのオフィス
山菱テクニカ株式会社様は、職場環境改善の一環として工場内の事務所を大幅リニューアルしました。執務スペースには、120度に傾いたブーメラン型のデスクを組みあわせて連結する、ベンゼン式レイアウトを採用しています。ブーメラン型のデスクは、1人当たりの机上面積を大きく確保でき、作業効率の向上が期待できます。パソコン作業時はパーテーションがあるため業務に集中しやすく、顔を上げるとメンバーとの会話が弾む環境となっています。
山菱テクニカ株式会社様の事例はこちらのページで詳しくご紹介しています。
多様な働き方を目指す「スマートなオフィス」
富士電機ITセンター株式会社東京事業所様は、働き方改革とコロナ禍を受けてオフィスを全面リニューアルしました。部署ごとに仕切られていたレイアウトを見直し、グループアドレス制を導入することになりました。
また、執務エリアとは少し離れた場所に、周囲を気にせず業務を行うブース席を設けました。集中したいときや、機密性の高い業務を行うときなど、目的にあわせて利用するようにしたことで、コミュニケーションと集中環境の両立を実現しています。
富士電機ITセンター株式会社 東京事業所様の事例はこちらのページで詳しくご紹介しています。
まとめ
オフィスで集中できない原因や対策方法、集中環境を実現したオフィス事例などを解説してきました。
従業員の集中力は、モチベーションや業務効率を大きく左右する部分です。そのため従業員にとって快適なオフィスを用意して、集中力を高めるように促すことが大切です。
コクヨマーケティングは、それぞれの企業様の理想の働き方に合わせた空間作りを提案しています。オフィス移転から移転後のオフィスの維持、運用までワンストップでサポート可能です。コクヨの社員が実際に働いているオフィスの見学も実施しています。
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