クリエイティブオフィスとは、知的創造力を促すようにデザインされたオフィスのことです。
経済産業省では、クリエイティブオフィスの導入を推進しています。
この記事では、中小企業の経営者や、総務ファシリティ担当者に向けて、
クリエイティブオフィスの概要やメリット、実現方法を解説します。
クリエイティブオフィスの導入を検討する際は、ぜひ役立ててください。
クリエイティブオフィスとは
クリエイティブオフィスとは、従業員が創造性を発揮しながら働ける環境を整えたオフィスのことです。企業のオフィスに、従業員の創造性を促す工夫や仕掛けを取り入れることによって、業務の生産性や従業員の満足度を向上させる狙いがあります。経済産業省は、2007年からクリエイティブオフィスの導入を推進してきました。近年コロナ禍でリモートワークが普及し、オフィスの価値が問われているなかで、改めてクリエイティブオフィスの考え方に注目が集まっています。
クリエイティブオフィスが促す「12の知識創造行動」とは
クリエイティブオフィスは「12の知識創造行動」を促します。12の知識創造行動は、ナレッジマネジメントの枠組みであるSECIモデルで定義されています。SECIモデルとは、共同化・表出化・連結化・内面化という4つのプロセスによって、集団や組織内での知識共有が促進されるという考え方です。各プロセスの英語の頭文字をとってSECIモデルと呼ばれています。
Socialization(共同化)
共同化のプロセスには、「ふらふらと歩く」「接する」「見る・見られる・感じ合う」の知識創造行動が含まれます。例えば、オフィス内の動線を複雑化し偶発的なコミュニケーションを促したり、オフィス内にリフレッシュスペースを作ることで、共同化の要素が取り入れられるでしょう。
Externalization(表出化)
表出化に分類される知識創造行動は、「軽く話してみる」「ワイガヤ・ブレストする」「絵にする、たとえる」などの動きが該当します。例えば、予約なしで気軽に使えるミーテイングスペースの設置などが挙げられます。あわせてモニターやホワイトボードを用意すると、議論しやすいでしょう。
Combination(連結化)
連結化に関する知識創造行動として、「調べる・分析する・編集する・蓄積する」「真剣勝負の討議をする」「診てもらう・聴いてもらう」といった行動があげられます。例えば、商品などの実物を触ることができるスペースや、快適な打ち合わせができるスペースなどが挙げられます。リモートワークが普及していますが、オフィスでしかできない体験を取り入れることで、センターオフィスとしての価値を高めることができるでしょう。
Internalization(内面化)
内面化のプロセスには、「試す」「実践する」「理解を深める」の知識創造行動が含まれます。例えば、集中して作業できるスペースやカタログなどを広げて作業できる広いスペースが挙げられます。目的にあわせて場所を選べるように、さまざまな形態のスペースを用意するとよいでしょう。
クリエイティブオフィスのメリット
クリエイティブオフィスは、知識創造行動を促すことで、複数のメリットを提供します。ここでは、主なメリットについて解説します。
新しいアイデアの創出
クリエイティブオフィスのメリットとして、新しいアイデアの創出を促進することが挙げられます。オープンな空間設計やフリーアドレスの導入によって、部署や上司・部下の垣根を超えた業務上の交流や雑談が生まれるでしょう。また、モニターやホワイトボードを設置した気軽に使えるミーテイングスペースを用意することで従来関わることが少なかった別部署や異なるチームの業務知識や考え方に触れる機会も増えるでしょう。集中ブースなどを設置することで自身の思考や新たに得られた価値観を深めることに役立ちます。新しいアイデアを創出しやすい環境が整い、新商品やサービス開発、社内制度の設計などにつながります。
業務の効率化
クリエイティブオフィスには、業務を効率化するメリットもあります。チームでプロジェクトを進める際は、プロジェクト専用スペースやミーティングルームなどを活用できます。プロジェクトメンバーが集まりやすい環境によって、コミュニケーションをとりやすく、意思疎通における齟齬も減少するでしょう。快適に使えるようにルールを設定することもおすすめです。オープンなオフィス設計による業務効率化のメリットもあります。従業員同士が業務状況や課題を察知しやすく伝えやすい環境であるため、フォローやアドバイスを臨機応変に実施できます。
従業員のモチベーションの向上
従業員のモチベーション向上も、クリエイティブオフィスのメリットとしてあげられます。オープンなオフィスデザインによって、従業員は互いの業務進捗や成果、成長が見えやすくなります。他チームや別部署との交流も促される環境のため、見える範囲は自身の関係者だけに留まりません。先輩や後輩、他部署の同期の成果や成長に刺激され、互いに競争し合えるライバル関係が構築されます。従業員個々のモチベーション向上が企業全体に浸透すれば、企業文化の醸成にもつながり、企業価値向上にも影響を与えるでしょう。
社内コミュニケーションの活性化
クリエイティブオフィスによって、社内コミュニケーションの活性化も期待できます。クリエイティブオフィスには、オープンなオフィス設計という基本的な思想が含まれています。オープンスペースやフリーアドレスによって、普段あまり話さない他部署の従業員との交流が増加します。会話のテーマが多様になり、新しい価値観も育まれるでしょう。テレワークの普及により、ハイブリッド形式のミーティングも増えています。web会議システム搭載のミーテイングボードなどを設置することでより快適にミーティングができるでしょう。
クリエイティブオフィスを実現する方法
ここでは、クリエイティブオフィスを実現する方法について解説します。クリエイティブオフィスの導入や有効活用の参考にしてください。
空間設計を工夫する
クリエイティブオフィスを実現するためには、空間設計を工夫することが重要です。新しい働き方のコンセプトに基づき、新しいオフィスのレイアウトを検討します。経営者の思いを反映すると同時に、社内プロジェクトメンバーや現場の社員の意見を取り入れることで、より満足度の高いレイアウトが作れるでしょう。
ICTツールを活用する
クリエイティブオフィスの効果を最大限享受するためには、ICTツールを活用することが必要不可欠です。フリーアドレスやリモートワークの導入によって、従業員同士は物理的に離れた場所で業務を行います。業務連絡や情報共有に支障が出ないよう、チャットツールや社内SNSを活用しましょう。ミーティングルームやオープンスペース、個別ブースなど、目的に応じた従業員の移動も増加します。社内のネットワーク環境の整備や、ドキュメントのペーパーレス化をすすめ、従業員の柔軟な動きを妨げないように環境を整えましょう。
従業員へ働きかける
クリエイティブオフィスの導入を成功させるためには、従業員への働きかけも重要です。クリエイティブオフィスという名前から、流行りの内装デザインだけをイメージし、
本来の効果を理解していない従業員も少なくありません。クリエイティブオフィスにする目的を伝えることと従業員が快適に働けるようルールを設定することが大切です。
まとめ
クリエイティブオフィスは、従業員の創造性を活性化するようにデザインされたオフィスです。
工夫された空間設計やICTツールの活用によって、
アイデアの創出や業務効率化、モチベーション向上などの効果が期待できます。
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