新しい事業に挑戦するため、スピード性や自由で柔軟な発想が求められるベンチャー企業には、どのようなオフィスデザインが適しているのでしょうか。この記事では、ベンチャー企業のオフィスづくりを検討中の方に向けて、家具の選び方やオフィスレイアウトのポイントや、オフィスのタイプ別のメリット・デメリットなどを解説します。オフィス移転の流れも解説していますので、ぜひ参考にして下さい。
ベンチャー企業とは
ベンチャー企業には、正式な定義は存在しません。一般的には、既存のビジネスモデルにとらわれない新しいサービスを展開する企業のことを指します。特に創業して間もない若い企業や、社員の平均年齢が低く、成長過程にある小規模から中規模の新興企業もベンチャー企業と呼びます。ベンチャー(venture)が「冒険」を意味するように、独自のビジネスを展開する挑戦的な社風を持つ傾向にあるのもベンチャー企業の特徴です。
ベンチャー企業のオフィスに求められるもの
近年のオフィスには、社員1人1人のライフスタイルに応じて快適に働くことのできる環境づくりが求められています。特に新しい事業に取り組むベンチャー企業のオフィスには、自由で柔軟な発想やモチベーションを刺激する空間、社員同士のコミュニケーションが活性化する仕掛け、時代の変化やトレンドに素早く応じる機動力などが求められます。また、オフィスづくりによって、社内外問わず自社の企業理念やブランド価値を表現することができ、取引相手や人材採用などのプロモーションの役割もあります。あわせてベンチャー企業のオフィスは、コストパフォーマンスの良さや利便性の高さ、移転の際のスピード感なども求められます。最近では、レンタルやセットアップ、シェアなどさまざまなタイプのオフィスが誕生しています。オフィスにどのような役割や機能を必要とするか、具体的にイメージすることがポイントです。
(コクヨ品川ライブオフィス THE CAMPUS)
<執務スペース>
基本的な業務を行うエリアは、社員の業種に合わせて考えることがポイントです。社員同士のコミュニケーションが求められたり、テレワークや外出が多くオフィスに在席する時間が少なかったりする場合は、固定席をつくらず、自由に好きな席を選ぶことのできる「フリーアドレス」の導入がおすすめです。デスクワークが多く、集中力や効率性が求められる業種の場合、長時間座っても疲れにくいオフィスチェアや、ダブルモニターが設置できるデスク、スピーディーに社員同士が会話できるレイアウトなどを工夫する必要があります。近年では、執務エリアに植物を積極的に取り入れる事で、快適な空間づくりを行っているオフィスも増えています。
<ミーティングエリア>
ミーティングエリアとは、社員同士や取引先と打ち合わせを行う場所です。守秘性の高い内容の場合は、遮音性の高い個室やセミクローズドなブース席にすると良いでしょう。気軽に集まって意見を活発に交換する事が求められるミーティングの場合は、執務エリア内にオープンミーティングエリアを設けることがおすすめです。キャスター付きでレイアウト変更のしやすい家具や、短時間で効率的に打ち合わせを行うスタンディングミーティングエリアなど、打ち合わせの内容や目的に応じて設置しましょう。また、社内イベントに使ったり、ゲームやキャンプ用品などを設置したりするなど、カジュアルな多目的スペースとしても利用できるミーティングエリアを作ると、社員同士のエンゲージメント向上に繋がります。
■ブースタイプ
■オープンミーティングタイプ
<カフェエリア・ラウンジエリア>
オフィス内に、社員がリラックスできるカフェエリアやラウンジエリアをつくる企業が増えています。1人でリフレッシュできる席や、複数人で交流を楽しむ事のできる席など、目的に応じた席があると、より社員が利用しやすくなります。ささいな相談事や雑談、部署を越えたコミュニケーションなど、これまで執務スペースではしづらかった会話も気軽に行う事ができます。また、執務スペースと雰囲気をがらりと変えることでメリハリが付き、しっかり休憩して、より業務に集中する事にも繋がります。
<WEB会議エリア>
新型コロナの拡大を機に、世の中ではテレワークが一斉に広がりました。このような状況において、オフィスには防音性の高いブースタイプの席のニーズが高まっています。WEB会議やWEB商談を行う際、一般的なデスク席だと周囲の音や視線が気になる場合が多くみられます。ブースタイプの席は、オフィスに新たに個室をつくるよりも手軽で、タイプによっては手軽に移動させることができます。WEB会議以外にも、誰にも話しかけられずに業務を行いたい時などの集中席としても利用可能です。
ベンチャー企業におけるオフィス立地の重要性
ベンチャー企業のオフィス立地は、企業のイメージアップや社会的信用の向上、採用効果などさまざまな面に影響があります。事業内容に応じたエリア選びも重要です。ターゲットが法人であれば企業が集まるオフィスエリア、個人がターゲットであれば住宅街からアクセスしやすいエリアなど、市場調査が必要でしょう。
これまでベンチャー企業といえば「渋谷や六本木にオフィスを構えるIT企業」というイメージが強くありましたが、最近は人気エリアが広がっています。ファッションやコスメ、エンタメなど、ベンチャー企業の業種に広がりが生まれているためです。また、都内には起業や経営のサポートが充実している自治体も多く、そういったエリアを選ぶ企業も増えています。
ベンチャー企業のオフィス形態
ベンチャー企業のオフィスには、レンタルオフィスやシェアオフィスのようなタイプも向いています。設備が整っていてすぐに業務を始められる手軽さや、企業の規模の変化に柔軟に合わせられる点が魅力です。従来の賃貸オフィスは、長期契約や賃料が高い点など、ベンチャー企業にとって扱いにくい部分があります。その点、レンタルオフィスなどは、デザイン性が高く、使用目的ごとのスペースがあり、社員のモチベーション維持と生産性の向上にも貢献します。
レンタルオフィスとは
レンタルオフィスは、フロアの一部を自社専用のスペースとして借りるタイプのオフィスです。一般的に会議室やエントランスなどは他の企業と共用します。各スペースに、通信回線やデスク、チェアなどオフィスに最低限必要な設備が始めから整っているため、起業の際にかかる手間やコストを抑えられます。
(メリット)レンタルオフィスの1番のメリットは、コスト面が抑えられる点です。必要な設備はあらかじめ揃っているため、初期費用がそれほどかかりません。都心でも月額数万円から借りられ、事業規模の変化に合わせて部屋のサイズが変えられます。また、住所利用や法人登記、許認可取得などができるオフィスが多い点もメリットの1つです。
(デメリット)レンタルオフィスには、長期利用は向かないというデメリットもあります。オプション料金の発生や利用時間の制限、部屋が施錠できるとしても、他社と共用部分もあるためセキュリティ対策が完璧ではないなどの点について注意が必要です。
シェアオフィスとは
シェアオフィスは、1つのオフィス空間を複数の個人や企業で共有するオフィスです。オープンスペースが一般的ですが、中には共有スペースと個室タイプが用意されていて、法人登記や住所利用が可能なシェアオフィスもあります。フリーアドレス制のオープンスペースを使うコワーキングスペースや、テレワークに活用されるサテライトオフィスも、シェアオフィスの1つです。
(メリット)シェアオフィスのメリットは、レンタルオフィスと同じくコストをかけずに都心の一等地に働く場をもつことができる点です。必要な設備が整った環境を、月額1〜3万円ほどでオフィスとして利用できます。利用料には通信費や光熱費などが含まれている点もメリットです。また、オープンスペースという環境は、社外とのコネクションづくりにも役立ちます。
(デメリット)シェアオフィスはオープンスペースであるため、セキュリティ面や環境音がデメリットになり得ます。印刷物やパソコン画面からの情報漏洩には特に注意が必要です。周りの電話やミーティングなどの音が気になり、作業効率に影響が出る可能性もあります。
ベンチャー企業のオフィス移転までの流れ
オフィス移転には、約8か月程度の準備期間が必要です。移転実務を担当される方は、通常業務と並行しながら、オフィス移転に関わる業務もこなしていかなくてはなりません。 限られた時間の中で効率的に進めるためには、スケジュール管理が大切です。以下は、ベンチャー企業がオフィスを移転する際の流れです。新たにオフィスをもつ場合には、下記の2と6は不要です。
1.新オフィス選び(予算決め、下見、内装打ち合わせ、工事手配)
2.現オフィス管理者とやりとり(解約予告通知、原状回復工事の打ち合わせ)
3.引越し業者選び、ネットワーク回線手続き
4.オフィス設備等準備
5.【移転後】手続きや届け出、取引先への連絡
6.前オフィスの原状回復工事開始
まとめ
ベンチャー企業のオフィスには、どのような役割や機能を必要とするか具体的にイメージすることがポイントです。また、社員のチャレンジ精神や自由な発想を促すデザインが求められます。年間25,000件の実績をもつコクヨマーケティングでは、丁寧なヒアリングやWEBアンケート「はたナビ プロ」のサービスなどを通して、お客様へ最適なオフィスをご提案いたします。レイアウトだけでなく、物件探しから移転後のオフィス維持・運用に至るまで、ワンストップでのサポートが可能です。最新のオフィス家具やレイアウトをご体感いただく、オフィス見学会も毎日実施中です。ぜひお気軽にご相談ください。
オフィス移転・改装レイアウトの課題を解決します