少人数のオフィスは面積が限られています。そのため「狭い」などネガティブな印象を抱きがちです。
しかし、規模が小さいからこそのメリットもあり、工夫次第では働きやすく効率的なレイアウトを実現できます。
この記事では、少人数(~30名前後)オフィスのレイアウトのポイントや注意点、実際のレイアウト事例などを詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
少人数オフィスのレイアウトのメリット
少人数(~30名前後)のオフィスのレイアウトには、大規模オフィスにはないメリットがあります。
レイアウト検討の前におさえておきたい利点を解説します。
レイアウトの自 由度が高い
大規模オフィスでは、社員1人ひとりの声をレイアウトに反映することは難しいでしょう。小規模だからこそ、社員の意向に沿ったユニークなレイアウトにチャレンジできます。結果的に、社員のモチベーションや生産性の向上が期待できます。
コストを抑えられる
大規模オフィスと比べると、少人数のオフィスのほうが賃料やオフィス用品といった初期費用を少なくおさえられます。その分、オフィス用品や家具・インテリアの質にこだわれるでしょう
統一感を持たせやすい
小規模オフィスには、スペースやオフィス用品に限りがあります。しかし、オフィス全体のバランスを取ったデザインにしやすいというメリットがあります。スペースが広く、物も多い大規模オフィスに比べると、お好みのテイストで一体感のある「デザイン性高い空間」にもしやすいでしょう。
狭いオフィスを改善するアイデアはこちらのページで詳しくご紹介しています。
レイアウト検討の前にすべきこと
少人数のオフィスレイアウトに限ったことではありませんが、オフィスのレイアウトを決める前に「自社の理想とする働き方はどのような働き方なのか」を整理することが重要です。その上で、オフィスレイアウトのコンセプトを練り上げていきましょう。
レイアウトをなんとなく決めてしまうと、業務内容や働き方にそぐわず、効率が悪くなってしまう場合もあります。どのような働き方を目指すのか、そのためにはどのようなオフィスが理想的なのかを最初にしっかり考えることが大切です。
そのほか、事前に確認・整理しておくべきことは以下のとおりです。
・オフィスの平米数
・社員数・組織体制
・各部署の業務内容
・収納の必要容量
・ネット・電話回線の数
限られたスペースを有効活用!ゾーニングのポイント
小規模スペースを有効活用するには、ゾーニング(どこにどのスペースを配置するか)が極めて重要です。配置のポイントを解説します。
1人あたりの必要面積とは
社員1人あたりの必要な執務スペースの面積は、一般的におよそ3坪と言われています。
ただし、上記はあくまで目安です。業務内容や働き方によって適切な面積は異なります。たとえば、テレワークを導入しており出社する社員数が少ない場合は、1人あたりのスペースが3坪以下でも窮屈さを感じにくいとされています。自社のスタイルに合わせて適正値を見極めることが大切です。
各スペースの面積を適切に配分しよう
スペースごとのオフィス面積に占める割合は、以下が目安となります。
一般的にデスクワークスペースは、小規模オフィスの場合、60~70%を占める場合が多いです。
ワークスペース:50%
共有スペース:15%
役員スペース:10%
リフレッシュスペース:10%
情報管理スペース:10%
収納スペース:3%
交通スペース:2%
一般的に、家具の占有率が55%を超えると、狭さを感じやすくなると言われています。
ミーティングスペースを軽視しない
予算やスペースが限られる中、軽視されがちなのがミーティングスペースです。
よく検討しないと、会議の進行に支障が出るなど、利用しにくい部屋になってしまいます。周囲の視線・音声がしっかり遮断できるかなども配慮して、ゾーニングを行いましょう。
社員の希望を反映する
実際にオフィスで働いている社員のリアルな声を取り入れることで、使いやすく生産性を高めるオフィスレイアウトにつながります。たとえば、「外部とのミーティングが多い」「社員同士のコミュニケーションが不十分」「1人で集中できるスペースがほしい」など、社員のニーズに沿ってゾーニングを検討することが大切です。
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少人数オフィスにおすすめのデスクレイアウト
少人数のオフィスにおすすめのデスクレイアウトを紹介します。
島型対向レイアウト
島型対向レイアウトとは、部門・チームごとにデスクが向かい合うよう配置するレイアウトです。
以下の利点から、少人数オフィスにおすすめです。
・グループ・部門でまとまって座ることが多く、組織単位での業務の連携がしやすい。
・お互いの様子が見えるためコミュニケーションがとりやすい
・職種を問わない汎用性の高さ
・比較的コンパクトにスペースをまとめやすい
注意すべきポイントは、以下のとおりです。
・組織変更のたびに、家具や配線の追加が必要になる
・人員増の場合は、小規模オフィスの場合、収容しきれなくなる場合もある。
また、併せて「集中しにくい」と感じる社員がいないかといった配慮も必要です。
その他のデスクレイアウトについてはこちらのページで詳しくご紹介しています。
パターン別・少人数オフィスのレイアウトのポイント
オフィスレイアウトは自社の働き方などに合わせて検討することが大切です。小規模オフィスは大規模オフィスと比べて、社員のコミュニケーションがとりやすいものの、社員間で気軽に会話できるリフレッシュエリアを設置したり、複合機や文具コーナーの配置を工夫することで、よりコミュニケーションの活性化につながります。参考として、3パターンのレイアウトの考え方を解説します。
パターン1:内勤の社員が多い
内勤者が多いオフィス・部署であれば、ワークスペースの席は固定することをおすすめします。打ち合わせが多い場合は、小規模な打ち合わせスペースを確保しましょう。スペースが十分に確保できない場合には、「用途の兼用」がおすすめです。例えば、「リフレッシュスペースと兼用する」、「日中、外回りに出ている営業の席をミーティング席として利用する」など他の用途にも転用することで、限られたスペース有効活用することができます。
パターン2:外勤の社員が多い
営業や出張など、外勤の社員が多いオフィスでは、席を固定しないフリーアドレス制がおすすめです。ワークスペースを有効活用でき、様々なメンバーとのコミュニケーション促進にもつながります。ただし、フリーアドレスは個人の収納スペースが少なくなりがちです。パーソナルロッカーを設置するなど、別途、収納スペースを設ける工夫しましょう。
パターン3:来客が多い
会議やセミナーなど来客が多い場合は、セミナー室・応接スペースの確保はもちろん、エントランスや待合室なども十分なスペースを確保しましょう。セミナー室・応接室は、人数に応じてレイアウト変更できるよう、可変性の仕切り・デスクなどを取り入れると無駄が少なく、スペースの用途も広がります。また、来客のプライバシーの確保できるよう、エントランスから部屋までの動線には配慮しましょう。 情報漏洩対策や感染拡大防止のため、来客と社員との動線を分けるなどの工夫も必要です。
少人数オフィスのレイアウトの注意点
少人数のオフィスはスペースが限られるため、大規模オフィスとは異なる配慮が必要です。注意すべきポイントを解説します。
収納スペースは十分に確保する
少人数のオフィスでは書類などを収納するスペースが不足しがちです。解決するには、デッドスペースをいかに活用できるかがカギとなります。壁や頭上のスペースを収納に使うなどの工夫が大切です。ペーパーレス化により書類の量を減らすのも収納スペースの効率化に効果的です。また、小規模オフィスの場合、執務席に近い位置に収納がくるケースも多く、地震対策として転倒防止策が必須となります。
パーテーションは圧迫感につながらないよう注意
小規模オフィスでパーテーションを多用すると、圧迫感につながってしまうことがあります。使用を控えオープンな空間をつくることで、開放感やコミュニケーション促進にもつながるでしょう。使う場合は、背の低いパーテーションを採用すると圧迫感を軽減することができます。
“音”への配慮も必要
小規模なオフィスでは、オフィス機器の音が部屋全体に響いて気になるという声が少なくありません。大きな音が出る機器はなるべく部屋の隅に配置したり、吸音材を使ってなるべく音を小さくしたりするなど配慮しましょう。また、集中ブースやミーティングスペースは執務スペースと離し部屋の隅に配置したり、WEB会議が多い場合には遮音性能の高いWEB会議専用のブースを設けたりするのもおすすめです。
WEB会議ブースの種類や設置時の注意点についてはこちらのページで詳しくご紹介しています。
将来的な増員も考慮して検討する
オフィスレイアウトは、社員数が増減した場合も見越して検討・設計することが大切です。特に、人数が増えた時にスペースが足りないと移転などのコストが発生します。工事や大規模なレイアウト変更をせずとも、増員に対応できるよう準備を進めておきましょう。たとえばペーパーレスなどの省スペース化を進める、オフィス家具は可変性のものを導入するといった対策が考えられます。
少人数オフィスのレイアウト事例
コクヨマーケティングが手掛けた少人数のオフィスレイアウト事例を紹介します。
社員数26名/300㎡規模のオフィスレイアウト事例です。お客様からは「業務内容に応じて働く場所を選択するABWが実践できるオフィスになった」と満足のお声をいただきました。ポイントは以下のとおりです。
・執務スペース:南国・沖縄らしさを取り入れたデザイン
・ラウンジ:多目的に利用できるコミュニケーションエリアを設置
・会議スペース:会議形態によってレイアウト変更できる可動式の家具を採用
まとめ
少人数オフィスのレイアウトは、規模が小さいからこそのメリットやポイントがあります。一方で、居心地が悪く働きにくい空間になってしまう可能性もあるため、本記事で紹介した注意点などをぜひ参考にしてください。
少人数のオフィス設計なら、コクヨマーケティングにご相談ください。オフィス移転や移転後の維持・運用まで、ワンストップでサポートします。豊富な実績をもとに、お客様の働き方にあわせたオフィス空間を提案しているので、ぜひ気軽にお問い合わせください。
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