オフィスの床の上にあるコード類などの配線が汚くて気になってしまう、と悩んでいる企業様は多くいらっしゃいます。見た目が悪いだけではなく、転んでけがをする可能性もあります。OAフロアを使うことで配線類を床下に収納でき、オフィスの床の上を綺麗にすることができます。本記事では、OAフロアの種類や選びについて解説します。
OAフロアとは
OAフロアとは、「配線を収納するための二重床」のことを指します。床にパネルを設置することで、床とパネルの間に隙間をつくり、その間に配線を通せるようにする床のことです。OAフロアは「フリーアクセスフロア」とも呼ばれており、OAはオフィスオートメーションの略称になります。
OAフロアを設置するメリット
OAフロアを設置することで、機能とレイアウトの観点から以下の5つのメリットが得られます。以下で詳しく解説します。
オフィスのデザインがよくなる
OAフロアを設置することで、床下に電源ケーブルや電話線などの配線類を収納することができます。それによって、床の上の配線をなくすことができ、デザインやインテリアを重視したオフィスづくりができるようになります。
▼オフィスのデザイン事例について詳しく知りたい方はこちら。
オフィスの安全性を保てる
床の上に配線があることで、につまずいて転ぶ危険性があります。場合によっては配線が抜けてしまって作業中のデータが損なわれる、機器に異常が起きる、といったことが起こるかもしれません。
働きやすい環境がつくれる
OAフロアを設置することで、社員が配線を気にせずスムーズに動き回れることができます。それによって、オフィス内での偶発的な出会いが増えてコミュニケーション活性化にもつながると言われています。
レイアウト変更がしやすくなる
OAフロアを設置することで配線の位置を気にせずレイアウトを検討することができます。社員の動線や業務効率を重視しながらレイアウトを考えることができるため、働きやすい環境づくりがしやすくなるでしょう。
▼オフィスレイアウトについてご検討中の方は、こちらもご覧ください。働きやすいオフィスレイアウトのコツはこちら。
掃除がしやすくなる
床の上に配線があることで、掃除できる範囲が限られ、またコードやケーブルの束にホコリがたまることで、床の上を綺麗に保つことが難しくなってしまいます。OAフロアを設置することで、配線類を床下に収納ができるため、掃除しやすくなるでしょう。その結果、オフィスを清潔に保ちやすくなるのです。
OAフロアの種類
OAフロアは大きくわけると、「置敷タイプ」と「支柱タイプ」にわけることができます。OAフロアの種類について以下で詳しく解説します。
置敷タイプ
置敷タイプとは、「支柱とフロアパネルが一体となっている」ものを指し、大きく分けて置敷式簡易OAフロアと置敷式溝配線OAフロアにわけることができます。置敷式溝配線タイプは溝にそって配線することができます。どちらのタイプも支柱の高さが決まっているため、現地で高さ調整の必要がなく、短い施工時間で設置することができます。そのため、コストをおさえることができます。一方で樹脂製のタイプが多いため、重量物を載せる場合は注意が必要です。
支柱タイプ
支柱タイプとは、「支柱とフロアパネルが別になっている」ものを指します。現地で高さを調整し、支柱を固定した上にフロアパネルを載せて施工します。そのため、施工時間が多くかかってしまい、コストも高くなってしまいます。一方で高さを調整することができるため、自社の配線量にあわせて調整することができます。
OAフロアの選び方
では、自社にあったOAフロアはどのように選べばよいでしょうか。選び方のポイントとなる5つの観点について詳しく解説します。
価格
タイプ | 価格の目安 |
---|---|
置敷タイプ | 1㎡あたり5,000円程度 |
支柱タイプ | 1㎡あたり8,000円程度 |
現地での調整が必要なため、支柱タイプの方が高くなります。床の状態が悪い時は、支柱タイプを選ぶとよいでしょう。
施工時間
タイプ | 施工時間の目安 |
---|---|
置敷タイプ | 1日程度 |
支柱タイプ | 3日程度 |
200㎡のオフィスでは、置敷タイプは1日程度、支柱タイプは3日程度の時間がかかります。但し、搬入条件によって施工時間が大きく変わる可能性があります。施工期間が限られている場合は置敷タイプを選ぶとよいでしょう。
配線量による適切なOAフロアの高さ
オフィスの人数 | OAフロアの高さ |
---|---|
50名以下のオフィス(配線量が少ない) | 50mm |
50名以上のオフィス(配線量が多い) | 50mm以上 |
人数や必要な配線量を事前に確認した上で、選ぶ必要があります。例えば、無線LANを導入している場合や、固定電話の数が少ない場合は、配線量が少ないタイプで対応できるでしょう。サーバールームなどは配線量が多いタイプがおすすめです。
耐荷重
タイプ | 耐荷重の目安 |
---|---|
置敷タイプ(樹脂製の場合) | 3,000N程度 |
支柱タイプ(スチール製) | 5,000N程度 |
素材やタイプによって、耐荷重が変わります。3000Nでは、1㎡あたり約300kg、5000Nでは、1㎡あたり約500kgの荷重になります。一般的なオフィスでは3000N、収納庫が多いオフィスやサーバールームでは5000Nを選ぶとよいでしょう。但し、金庫など部分的に重量物を置く場合は、床補強が必要になることがあります。また、スチールタイプでも3000Nの扱いもあります。
材質
材質 | 特徴 |
---|---|
樹脂(プラスチック) | 低コスト、耐久性が低い |
コンクリート | 耐久性が高い |
スチール | 配線スペースが広い |
樹脂
レイアウト変更が多い場合、樹脂製がおすすめです。価格も比較的安価です。一方で、スチールやコンクリートに比べると、耐荷重が低いため、場所によっては補強が必要となります。また、樹脂は足音が響きやすいため吸音対策も必要になるでしょう。
コンクリート
歩行音の軽減を重視する場合、コンクリートがおすすめです。また、通信不良や機械誤作動を引き起こす「ノイズ」を防ぐ効果があります。一方で価格が高いため、サーバールームなど目的にあわせて導入するとよいでしょう。また、処分時は産業廃棄物扱いになるため、ルールに沿った捨て方を守らねばなりません。
スチール
歩きやすさを重視する場合、スチールがおすすめです。移転などにより、OAフロアが不要になった時に、リサイクルすることもできます。
OAフロアのおすすめメーカー
OAフロアを扱っているメーカーは数多くあります。OAフロアのおすすめのメーカーを以下で詳しく解説します。
センクシア株式会社 (ウッドコアスチールフロア)
https://www.senqcia.co.jp/
センクシア株式会社は、OAフロア以外にもハイベースや耐震補強システムなど建材機器を扱っているメーカーです。
ウッドコアスチールフロアは、JAFA性能評価認証品を取得しています。支柱タイプで高さは50mmから選ぶことができます。3000Nと5000Nの2種類の耐荷重があります。軽量で扱いやすく歩行感に優れている点が特徴です。また、廃棄時は分別によるリサイクルが可能なため、環境にも優しいです。
共同カイテック株式会社 (ネットワークフロア40)
https://www.ky-tec.co.jp/
環境装備メーカーである共同カイテック株式会社は、オフィスビルをはじめ、官公庁や教育施設など、さまざまな施設での納入実績を持っています。
ネットワークフロア40は、JAFA性能評価認証品を取得しています。置敷溝タイプで高さは40mm、耐荷重は5000Nのミリオンセラー商品です。自由に配線の取り出しやコンセントの移設や増設ができるため、利便性に優れています。
フクビ化学工業株式会社 (ピットTN-50)
https://www.fukuvi.co.jp/
フクビ化学工業株式会社は、樹脂の形成技術に優れているプラスチック開発型のメーカーです。
ピットTN-50は置敷タイプで、高さは50mm、耐荷重は3000Nです。配線溝カバーがあるので、配線の点検や確認が簡単に行えます。また、配線スペースを広くとっているため、配線量が多いオフィスでもゆとりを持って使うことができます。
OAフロアの仕上げ材
OAフロアの上には、一般的に、雑貨店・インテリアショップなどで見かけるフロアマットは使用せず、OAフロアに適した仕上げ材である、タイルカーペットやビニル床タイルを使用することが多いです。ここでは、それぞれの特徴について以下で詳しく解説します。
タイルカーペット
タイルカーペットは、色や敷き方によって大きく印象を変えることができます。また、簡単に取り外しができます。そのためレイアウト変更が多い場合は、タイルカーペットを選ぶとよいでしょう。
▼タイルカーペットの選び方について詳しく知りたい方はこちら
ビニル床タイル
ビニル床タイルの特徴は汚れがすぐに拭き取れる点です。例えば、来客が多いエリアや飲食ができるエリアで使用するとよいでしょう。木目調やストーン柄など種類が豊富なので、空間のイメージにあわせて選ぶことができます。
OAフロア施工の流れ
置敷タイプと支柱タイプでは施工の流れが変わります。OAフロア施工の流れを以下で詳しく解説します。
置敷タイプ
置敷タイプは現地での高さ調整ができないため、クッションシートを敷いて、床面を安定させる必要があります。クッションシートを敷いた後、OAフロアを敷き、必要に応じてスロープなどを設置します。最後に仕上げ材を敷いて完成になります。
支柱タイプ
支柱タイプは、現地で高さ調整ができるため、まずは支柱を使って高さの調整をします。調整後、支柱の上にフロアパネルを置き、置敷タイプ同様、必要に応じてスロープなどを設置します。最後に仕上げ材を敷いて完成になります。
OAフロア設置する時の注意点
OAフロアを設置する時の注意点を以下で詳しく解説します。
施工条件
ビルによって、OAフロアの材質や接着剤の使用に制約を設けている場合があります。また、OAフロア工事は大きな音が出るため、曜日や時間指定がある可能性もあります。事前にビルに確認するとよいでしょう。
▼工事をする時には、事前に工事区分を確認する必要があります。工事区分について詳しく知りたい方はこちら。
ドアの開閉確認
後付けで出入口のドア付近までOAフロアを敷くと、ドアがOAフロアに接触し開閉に支障が出る場合があります。ドア付近にはOAフロアを設置せず、スロープを設けるとよいでしょう。
まとめ
OAフロアにはオフィスの配線がすっきり見えるメリットがあり、レイアウトや配線を変更したいときにも便利です。ビルの施行条件や施工期間などを考慮し、事前に適したものを選びましょう。
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