フリーアドレスを導入した企業のなかには、社員が苦痛やストレスを感じてしまうケースがあるという話を聞くことがあります。この記事では、フリーアドレスによる苦痛やストレスの詳しい内容、苦痛を感じる理由などについて解説します。あわせて、企業として取った方が良い対策についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
フリーアドレスを苦痛に感じる社員がいる現状
フリーアドレスとは、オフィス内で固定席を持たずに、ノートパソコンなどを活用して、自分で好きな席を選んで仕事をするワークスタイルのことです。社員数変更の増減や組織変更に柔軟に対応できるため導入する企業が増えていますが、一方でフリーアドレスに苦痛を感じる社員は増加傾向にあるようです。
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フリーアドレスを苦痛と感じる理由
フリーアドレスによる苦痛とはどのようなものなのでしょうか。ここでは、7つの理由を解説します。
毎朝自分の席を選ぶことが苦痛
フリーアドレスの場合、自席がないためその日に仕事をする席を探す必要があります。出勤して席を探すための時間がかかるため、時間を無駄にしていると感じる社員もいるようです。また、遅い時間に出社すると席がない、お気に入りの席が空いていないなど、席選びでストレスを感じる社員も少なくありません。
帰宅時に荷物を片付ける苦痛
フリーアドレスの場合、デスクに個人の引き出しなどがないため荷物や書類の管理が煩雑になります。業務で使う文具やメモ、付箋といった小物も仕事が終わったら毎回片付けなければいけないため、手間がかかります。付箋を貼れない、貼ったとしても帰宅時にすべて剥がす必要があるなど、自分仕様のデスクにできないことに苦痛を感じる社員も多いようです。
荷物の移動が苦痛
自席を持たないフリーアドレスの性質上、デスクトップ型のパソコン・ディスプレイ、固定電話の利用は難しくなります。フリーアドレスでは、ノートパソコンを用いるケースが基本となります。また、離席する際や席を移動する際には荷物の片付けも必要になるため、面倒だと感じるケースも少なくありません。
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毎日隣にいる従業員が変わり落ち着かず苦痛
フリーアドレスの場合、毎日異なる席に座るため、隣にいる社員も毎日変わります。普段かかわりのない社員やあまり会話したことのない社員が隣になって緊張してしまう、安心して仕事ができないというケースも多いようです。人との会話が苦手、人と打ち解けるのに時間がかかる方にとっては大きなストレスとなる可能性もあり、集中力が低下する場合もあります。
仲間外れにされた気がして苦痛
フリーアドレスの場合、仲のよい社員同士で固まって座るケースも多いでしょう。そのため、自分の周囲に誰も座らない、少ないという場合は孤独感を感じやすくなってしまいます。コミュニケーションがあまり得意ではない方にとっては、周囲から浮いていると感じられてしまい大きなストレスを感じるケースもあります。
雑談のせいで集中できない
仲のよい社員同士が固まって座ることにより、業務には関係のない雑談が増えてしまうケースもあります。小さな声で会話をしていても、静かなオフィス内だと響くこともありうるさいと周囲に思われる可能性もあるでしょう。雑談が耳についてしまって集中できない、業務の妨げになりストレスを感じるという社員もいます。
前に使用した社員の使い方が悪くて苦痛
フリーアドレスでは、気分や時間によって自由に席を変えることができます。前に使った社員がきれいにしていない、ゴミがデスクに残ったままになっているなど、デスクの使い方に苦痛を感じる社員も少なくありません。清潔感がない、きちんと片付けていないなど不快に感じてしまうケースもあるでしょう。
フリーアドレスが失敗する原因
フリーアドレスが失敗する原因は大きく分けて4つあります。ここでは、それぞれの原因について詳しく解説します。
フリーアドレス化のためのオフィス環境が整っていない
フリーアドレスを導入するためには、仕事内容にあわせて席を選べるような環境整備が重要です。例えば、集中エリアや集まって作業できるエリアなどがあると満足度があがるでしょう。そのためには、必要な座席数や働き方にあわせてしっかりレイアウトを検討する必要があります。
目的と運用ルールが明確になっていない
フリーアドレス導入の目的を社員に周知していないと、失敗しやすくなるとと言われています。また、私物や共有物の収納ルール、デスク使用後の清掃ルール、席選びなどの運用ルールが決まっていないことも、フリーアドレスが失敗する要因のひとつです。
▼運用ルームについて詳しく知りたい方はこちら。
フリーアドレスをサポートするツールを活用していない
フリーアドレスを導入すると、書類を収納するスペースがなくなってしまいます。そのため荷物や書類を収納する個人ロッカーや、郵便物の受け渡しができる場所を新たに設置する必要があります。
導入後の検証・改善ができていない
フリーアドレスは導入して終わりではありません。定期的に現状を把握し、改善を繰り返すことが重要です。また、特定の部署などで試験的に実施するのではなく、全社で一斉に導入してしまうことで現状把握や改善が難しくなるケースもあります。
フリーアドレスの苦痛を取り除くための対策
フリーアドレスで感じる苦痛やストレスを取り除くにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、5つの対策を解説します。
コミュニケーション用のスペースと集中スペースに分ける
雑談で集中力が落ちるという方もいるため、会話ができるコミュニケーションスペースと集中スペースを分けるとよいでしょう。カフェスペースなどのコミュニケーションが取りやすい空間や音環境に配慮したweb会議スペースを作ることも効果的です。あわせて席予約や使用後の清掃など運用ルールも検討することで、誰にとっても気持ちよく使える場所になるでしょう。
どこにいても意思疎通できるシステムを導入する
フリーアドレスは同じ部署やチームのメンバーの居場所が把握しづらいデメリットがあります。そのため、チャットツールなどを導入し気軽にコミュニケーションが取れる環境を構築しましょう。また、位置情報アプリを導入することで居場所を把握しやすくなります。
書類の収納スペースを作る
フリーアドレスを導入する場合、書類を収納できる個人ロッカーもあわせて設置するとよいでしょう。個人ロッカーは郵便物の受け取りにも適しており、鍵付きの個人ロッカーにすることでセキュリティを強化することができます。また共有の書類整理のルールも決めておくことで、スムーズに書類を探せるでしょう。
共有文具などの活用スペースを作る
ハサミやセロテープ、クリアホルダーなどの文房具は個人所有から共有文具へと変えて、誰もが使えるスペースを作るとよいでしょう。あわせて、使用後のルールや消耗品の発注者を検討するとよいでしょう。
▼共有文具について詳しく知りたい方はこちら。
席選びのルールを決める
フリーアドレス対象者を明確にして、席選びのールを決めましょう。席が固定化しないように、ランダムで席を決められるツールを導入するなど、うまくシャッフルできるようにします。また、席予約システムなども効果的です。
フリーアドレスの座席不足が発生する原因や解決方法は以下の記事でご紹介しています。
快適なフリーアドレスオフィスにするための4つのポイント
フリーアドレスの苦痛をなくすためには、4つのポイントを意識しましょう。ここでは、各ポイントについて解説します。
フリーアドレスに適したフレキシブルなレイアウトにする
キャスター付きの机や棚など、状況に合わせてフレキシブルにレイアウトを変えられる什器を活用するとよいでしょう。定期的にフリーアドレスの運用について検証を行い、改善すべき点があればレイアウト変更するなど、業務に合わせてブラッシュアップしていくことが重要です。
位置情報がわかるICTシステムの導入
フリーアドレスでは、社員がどこにいるのか把握しにくくなります。そのため、位置情報がわかるICTシステムを導入するとよいでしょう。社員の居場所がわかることで気軽に相談できるようになり、コミュニケーションの活性化につながると言われています。
コミュニケーションを活性化させる機会を提供する
フリーアドレスを導入することで、自然と業務上関わりのない社員同士の仲が深まるわけではありません。コミュニケーションが取りやすいスペースを充実させることや、イベントを企画することで、コミュニケーションしやすい状況を作ることが大切です。
リフレッシュスペースを作る
社員がリラックスできるスペースを作ることでより生産性があがるといわれています。集中スペース、雑談やゆっくり休むことができるリフレッシュスペースを作るなど工夫しましょう。社員が気軽に気分転換できるような環境があるとよいでしょう。
▼リフレッシュルームについて詳しく知りたい方はこちら。
フリーアドレスの向き不向き
フリーアドレスはすべての企業に向いているわけではありません。業種や部門などによって向き不向きが異なるので、導入時に検討する必要があります。
フリーアドレスが推奨される企業・部門
フリーアドレスが向いている企業や部門として、モバイルワークが浸透している企業があげられます。モバイルワークが進んでいる企業は、ペーパーレス化やICT技術の導入が進んでいるためです。また、部署をまたいだプロジェクトが多い、固定電話を使うケースが少ない企業なども向いています。
フリーアドレスを避けたい企業・部門
事務系の職種のように社員の在席率が高い場合は、固定席のほうが効率的に作業できる場合が多いです。また、社内からの問い合わせを受ける経理などの部門、機密情報などの高いセキュリティが求められる情報を扱う企業などもフリーアドレスは避けたほうがよいでしょう。席移動が多くなり、情報漏洩や書類の紛失などのリスクが高まります。
まとめ
フリーアドレスとは、席を決めずに毎日異なる席で業務にあたるワークスタイルです。フリーアドレスでは、荷物の管理やコミュニケーション面などで従業員がストレスや苦痛を感じるケースもあります。そのため、リフレッシュスペースを作る、収納スペースを設ける、席選びのルールを決めるなどの対策が必要です。
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