HR総研が2020年に実施した「社内コミュニケーションに関するアンケート」によると、8割を超える企業が自社の社内コミュニケーションに課題があると感じていることが明らかになりました。この結果は、多くの企業が長年にわたりコミュニケーション改善の必要性を認識していることを示しています。
では、オフィス内のコミュニケーション不足を解消し、より活発な交流を促すにはどうすればよいのでしょうか。本記事では、社内コミュニケーションを活性化させることで得られる利点や、実践可能な具体策についてご紹介します。これらの情報は、現在も多くの企業が直面している課題の解決に役立つでしょう。
※出典:HR総研:「社内コミュニケーション」に関するアンケート調査 結果報告「部門間」と「経営層と社員」の関係に課題
社内コミュニケーションとは?
社内コミュニケーションとは、社内で日常的に行われている会話や情報交換、情報共有の事です。
普段の業務上のやり取りも、何気ない雑談も、社内コミュニケーションです。
また、社内コミュニケーションには、社員同士で行うミーティングや、上司と部下での1対1面談、社内イベントなど、様々な形があります。現在は、働き方改革の一環として、テレワークを導入する企業が増加しています。これによって、社内で直接会話をする機会が減り、オンライン上でのコミュニケーションが増えています。
社内コミュニケーションの目的
社内コミュニケーションの大きな目的は「会社という一つの組織の円滑な運営のため」です。
多くの場合、仕事は社員一人で完結するものではなく、複数の社員が連携しながら行います。進捗報告や情報共有、相談、指導など、様々な場面でコミュニケーションが必要となります。これらをスムーズに行えるかどうかは、仕事の効率性に深く関わります。また、社内コミュニケーションによって築かれる信頼関係は、生産性やモチベーションの向上に大きく繋がります。社内コミュニケーションは、組織を運営していく上で欠かせないものです。
社内コミュニケーションの主な阻害要因
社内コミュニケーションの阻害要因は様々です。部署や働き方、席の位置によって顔を合わせる機会がなかったり、もともとの組織風土から雑談が好ましく思われない雰囲気がつくられていたりします。近年ではテレワークの導入によって働き方が大きく変化したのも、コミュニケーションが減少した要因の一つと言えます。
社内コミュニケーション活性化のメリット
社内コミュニケーションが活性化されると、どのようなメリットが得られるのかを説明いたします。
業務の効率化
社内コミュニケーションが活発に行われる事で、意思疎通の不足によって起こるミスを防ぎ、効率良く業務を進める事ができます。トラブル発生時でも、普段のコミュニケーションから良好な関係を築いていれば、すぐに協力し合って問題を解決する事ができます。
情報・ナレッジ共有の活性化
社内コミュニケーションが活性化すると、意思疎通にかかる時間や心理的な抵抗が軽減され、情報共有が円滑に行われるようになります。また、ナレッジが活発に共有される事で、社員のモチベーションや能力アップにも繋がります。
アイデアやイノベーションの創出
社内コミュニケーションの活性化によって、自由に意見交換しやすい企業風土がうまれます。様々な意見が飛び交う事で、これまでになかった新しいアイデアやイノベーションが生まれる可能性が高まります。社内コミュニケーションは、創造性の向上にも繋がるといえます。
離職率の低下
社内コミュニケーションの活性化によって、仕事の相談や、協力してほしい時に声を掛けやすくなります。仕事で困っていそうな同僚の様子に気付くタイミングも増え、手助けする事ができます。社員同士が助け合い、安心して働く事のできる環境は、離職率の低下に役立ちます。
オフィスでの雑談「インフォーマルコミュニケーション」については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
社内コミュニケーションを活性化させるためのポイント
社内コミュニケーションを活性化させるためのポイントを解説いたします。
社員同士が交流しやすい環境をつくる
社内コミュニケーションの活性化には、物理的・心理的の2つの面において、抵抗をなくす必要があります。
例えば、会話や状況確認のしづらいオフィスのレイアウトであれば、家具やパーティションの配置などを見直す必要があります。また、雑談しやすいリラックスできる雰囲気のカフェスペースをつくる事で、社員同士の心の距離が縮まり、業務上でもコミュニケーションが円滑に行われるようになります。
オフィスのカフェスペースについてはこちらのページで詳しくご紹介しています。
社員や仕事について知るきっかけをつくる
同じオフィス内で働いていても、働き方やオフィスのレイアウトによって、ほとんど顔を合わせなかったり、どんな仕事をしているのか分からなかったりします。様々な部署の社員が接点を持つきっかけをつくり、お互いを知り合う事で、徐々にコミュニケーションが拡大していきます。
新しい取り組みに積極的に挑戦する
社内コミュニケーションの活性化をはじめ、新しい取り組みを行うには必ず労力がかかります。
失敗を恐れず、変化を楽しみながらチャレンジする気持ちが大切です。初めは上手くいかずとも、様々な意見を取り入れながら改善サイクルを意識して挑戦し続けると、次第に協力してくれる仲間が増え、自然とコミュニケーションが活性化する事もあります。
会社全体で取り組む
社内コミュニケーションの活性化は、会社全体で取り組む事が望ましいとされています。
何か新しく取り組む時は、限られた部署の担当者だけでなく、複数の部署の横断プロジェクトとして動くと良いでしょう。また、上層部が積極的に協力するかどうかも鍵となります。
2種類の施策を実践する
社内コミュニケーションの方法は大きく2種類に分ける事ができます。
1つは、社内イベント開催など、即効果が得られる施策と社内報など中長期的な施策です。2つを組み合わせることで、社内イベントなどの会話や交流が生まれやすく、即効果が得られるコミュニケーションを通じ、中長期的な社内コミュニケーションへと少しずつ浸透していきます。
社外の事例を参考にする
社外のセミナーに参加したり、オフィスレイアウトをプロに相談したりするなど、外部の事例やアドバイスを参考にする方法もあります。
コクヨマーケティングでは、家具のレイアウトだけでなく、フリーアドレス導入など、コミュニケーションを活性化させる働き方のご提案も行っております。ぜひお気軽にご相談ください。
社内コミュニケーションを活性化させるための具体的なアイデア
企業によって様々な工夫をする事で、コミュニケーションの活性化をはかっています。具体的なアイデアをいくつか紹介いたしますので、ご参考にしてください。
フリーアドレス対応のワークスペース
フリーアドレスとは、社員ごとに固定席を設けず、ノートパソコンなどを活用すて自分の好きな席で働くスタイルの事です。フリーアドレスにする事で、毎日違う人と顔を合わせ、顔見知りになり、コミュニケーションのきっかけになります。
フリーアドレスの導入方法やメリット・デメリットについてはこちらのページで詳しくご紹介しています。
気軽に利用できるミーティングスペース
通常業務を行うデスクだけでなく、オフィスの一角にオープンなミーティングスペースを設ける事で、気軽に打ち合わせができるようになり、コミュニケーションの機会が増えます。あえて椅子のない立ち話スペースは、ミーティングにかかる時間の短縮化だけでなく、空きスペースの有効活用にも繋がります
オープンミーティングスペースについてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
社員食堂・カフェスペース
社員食堂やカフェスペースでは、仕事とは関係のない雑談を行いやすく、社員同士のエンゲージメントを高める事ができます。また、これらのスペースは、様々な部署の社員が顔合わせる場としての機能も持ちます。リラックスしてコミュニケーションを取る事のできる空間づくりがポイントになります。
1on1ミーティング
社内の人間が1対1でミーティングを行う事を1on1といいます。
一般的に上司・部下の組み合わせで、目標や業務進捗の管理を行います。また、単なる報告で終わらせず、上司がフィードバックやコーチングを行い、部下の能力を引き出す事が必要です。これらの時間を定期的に設ける事で、部下から声がかけづらい状況でも、上司とのコミュニケーションの時間を確保する事ができます。
1on1ミーティングについてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
Web会議
Web会議システムを活用する事で、離れた場所で働く社員とも顔を合わせ、コミュニケーションを取る事ができます。
特に最近では、新型コロナ感染対策の一環でテレワークを導入し、Web会議を行う企業が急増しました。テレビ会議とは異なり、Webネットワーク会議は環境とパソコンがあれば簡単に開催する点がメリットとして挙げられます。
グループウェア
オンライン環境で社内の情報共有やコミュニケーションの促進を図るシステムを、グループウェアといいます。ToDo管理やスケジュール共有、掲示板やメッセージなど機能は様々です。社員同士が離れていても、リアルタイムに協業できるよう設計されています。
社内イベント
社内イベントは、業務外で社員同士が集まって交流を深める取り組みです。花見やボウリング大会などオフィス外で行うイベントもあれば、社内の多目的スペースを活用し、食べ物・飲み物を持ち寄るなどして行う親睦会もあります。業務上は関わる事の少ない社員と会話をしたり、普段は見られない一面を知る事ができたりなど、様々なメリットがあります。
【事例】コクヨマーケテング福岡ライブオフィスのコミュニケーション施策
福岡オフィスでは、気軽なコミュニケーションの場として活用できるカフェカウンターにコーヒーメーカーを設置しています。
また更なるコミュニケーション促進施策として「〇〇部長のおごりCOFFEE」という企画を実施しています。その名の通り部長達のおごりコーヒー豆を挽いて社員に飲んでもらうシステムです。
ただし、1人で飲むのは禁止。会社にいるメンバー同士で誘い合って、社員2人が揃い、「おごられリスト表」に名前等を記載することで、無料でコーヒーが飲めるしくみです。
〇〇部長のおごりCOFFEEについては、こちらのブログで詳しくご紹介しています。
社内報
社内報とは、社内で起きた事、連絡事項を社員に向けて発信するツールです。社内冊子や社内新聞、メルマガ形式など、媒体は様々です。特に大きな企業では、社員同士の面正規があまりなかったり、他部署がどのようなプロジェクトに取り組んでいるのか分からなかったりします。企業で何が起きているのか情報を共有する事で、コミュニケーションを取るきっかけになります。
社内コミュニケーション活性化のためのオフィスづくり成功事例
社内コミュニケーションの活性化を目的としたオフィスづくりの成功事例を紹介いたします。
「コミュニケーションファースト」のオフィス空間|名鉄都市開発株式会社様
多目的に利用できるフリースペースをオフィスの中央に配置
オフィス移転に際して、決定したオフィスコンセプトが「コミュニケーションファースト」です。このオフィスコンセプトの元、多目的スペースやグループ共有ラウンジ、小さな打ち合わせスペースをいくつかを設置するなど、ワーカー同士の繋がり・連携を深めるための仕掛けをオフィス内に散りばめました。
オフィス内は、組織の壁がなくなり、コミュニケーションが取りやすい空間となっています。また、今回の移転を機に、完全固定席から業務内容や部署の特性に応じた運用、固定席とフリーアドレス混合型への働き方にチャレンジしています。
同時移転したグループ3社の共有ラウンジを中間階のフロアに配置
フリーアドレスの導入により社内コミュニケーション活性化|株式会社トータテハウジング様
部署をこえたコミュニケーションが取れるようにするため、個室で分かれていたオフィスをオープン空間にリニューアルし、フリーアドレスを導入しました。
ハイテーブルを設置する事で、座って仕事をしている人と通りすがりの人との視線が合い、会話が生まれやすくするなど、様々な工夫が施されています。
グループアドレスの導入にチャレンジ|西日本高速道路株式会社九州支社様
仕切りがなく見通しの良いオフィスに、グループアドレスを導入する事で、社内コミュニケーションの活性化を図っています。
グループアドレスとは、部署単位でゾーンを割り当て、所属メンバーはゾーン内で自由に席を選ぶワークスタイルです。部署のメンバーに目が行き届かず業務に支障が出る場合は、グループアドレスがおすすめです。通常の執務デスクとは別に、集中するためのスペースを確保する事で、メリハリをつけて働く事もできます。
他拠点のワーカー間コミュニケーションの活性化|住友重機械工業株式会社様
館内の空き部屋をサテライトオフィスとしてリニューアルする事で、他拠点で勤務する社員が一時的に働ける場所となっています。
フリーアドレスを導入しており、拠点間のつながりが生まれるハブの役割を持っています。様々なタイプのデスクやいすを配置する事で、業務内容やその日の気分によって場所を変える働く事が可能となっています。
まとめ
社内コミュニケーションが活性化する事で、業務の効率が高まったり、新しいアイデアが生まれたりするなど、様々なメリットが期待されます。
自社に合ったコミュニケーション活性化の方法を見つける事ができたでしょうか。
年間25,000件以上の豊富な実績を持つコクヨマーケティングは、社内コミュニケーションに課題を抱えるお客様の課題を解決するオフィスづくりをお手伝いいたします。
どのような取り組みをすれば良いかお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
オフィス移転・改装レイアウトの課題を解決します