インフォーマルコミュニケーションとは、業務上で発生する会話ではなく、偶然に出会った人同士によって何気なく交わされる雑談などのことです。社内での雑談はタブーとされているケースもありますが、インフォーマルコミュニケーションを活用すれば、新しいアイデアの創出など、大きなメリットがあります。そのため、オフィスづくりでも重視したいポイントといえるでしょう。
この記事では企業の経営者や責任者に向けて、インフォーマルコミュニケーションを詳しく解説します。ぜひお役立てください。
インフォーマルコミュニケーションとは
インフォーマルコミュニケーションとは、偶然に出会った人同士が日常的な会話、雑談、何気ないやりとりを行うことです。
従来は社内で仕事以外のコミュニケーションを取るのは悪いこと、無駄なことというイメージがありました。しかし最近では、雑談をすると脳が活性化したり、アイデアが生まれやすかったりとポジティブに捉えられています。
コミュニケーションのチャンスを増やすオフィスづくりや、仕掛けづくりにより、この機会をうまく活用することができるでしょう。
フォーマルコミュニケーションとの違い
フォーマルコミュニケーションとは、社内での会議や業務報告など仕事上発生するコミュニケーションのことです。
フォーマルコミュニケーションでは私的な会話は無駄とされていました。しかし、フォーマルコミュニケーションのスタンスを重視しすぎてしまうと、特にテレワーク導入企業では業務上やりとりのある人以外とのコミュニケーションをとる機会が減ってしまうなど、人間関係が作りにくいという問題があります。
そこで、あらためてコミュニケーションの場が見直され、インフォーマルコミュニケーションが注目されているのです。
インフォーマルコミュニケーションがもたらす効果
インフォーマルコミュニケーションのメリットについて具体的に解説します。
社員同士の距離が縮まる
インフォーマルコミュニケーションを取り入れることで、社員同士の距離が縮まるというメリットがあります。雑談によって仕事以外のつながりができ、社員同士のコミュニケーションが活性化するでしょう。
また、気軽に上司や同僚とのコミュニケーションが取れる人間関係が構築できるため、結果として社内で業務報告がしやすくなり、業務効率化や生産性アップにつながります。
メンタルコンディションを整える
業務以外のコミュニケーションを取ることでストレス発散にもなります。
インフォーマルコミュニケーションの取れる場所が、ストレス発散の場としてメンタルコンディションを整え、モチベーションアップに貢献します。話しやすく相談しやすい環境を作ることで、社内エンゲージメントを高める効果も期待できるでしょう。
普段から社内でコミュニケーションを取ることで会議での発言が出やすく、結論にも達しやすくなります。
解決策やアイデアが浮かびやすい
解決策やアイデアは、ストレスから解放された状態のときに浮かびやすいといわれています。その点で、インフォーマルコミュニケーションは普段の業務とは離れてリラックスした状態で発言するため、アイデアが浮かんだり、気づきを共有できたりします。
そのため、普段の会議では出てこないような解決策が自然に生まれることもあるでしょう。
代表例は雑談
インフォーマルコミュニケーションの代表例は雑談です。社内ではどうしても決まったメンバーとしか会話しないなど、なかなか雑談をする機会は少ないものです。しかし雑談はメンバー間の関係性が深まったり、仕事で役に立つ知見を得られたりとメリットがたくさんあります。そのため、雑談の場を設けるために企業としての仕掛けが重要です。
オフィス内であれば、デスクの配置を工夫したり、雑談スペースを設けたりと、いろいろと工夫をしていきましょう。
コロナ禍で社員交流に変化が生じている
2020年4月に行われた日経BPコンサルティングの調査によると、コロナ禍でインフォーマルコミュニケーションの課題意識の高さが目立つようになりました。つまりコロナ渦で社員交流に変化が生じているのです。調査結果では「必要な情報の共有が徹底できない」「上司、同僚、部下の行動が見えない」といったコミュニケーションの課題が30%を超えました。
そのためテレワークによるコミュニケーションが減少している場合は、代替手段の検討など対策が必要といえるでしょう。
交流を促すオフィスづくりのポイント
インフォーマルコミュニケーションは偶発的に発生するものです。
そのため、企業はインフォーマルコミュニケーションが生まれやすいオフィスづくり・仕掛けを作ることが大切です。また、人は刺激にすぐ慣れてしまうため、定期的にリフレッシュできるような仕組みづくりが重要になります。
ここからは、偶発的にインフォーマルコミュニケーションを誘発するオフィスづくりの方法、テレワークでのポイントを解説します。
マグネットスペースをつくる
マグネットスペースとは、人が自然と引き寄せられて会話が生まれるスペースのことです。たとえば、自販機の前やコピー機の前などがマグネットスペースにあげられます。このような場所にテーブルやイスを用意しておくと、自然と雑談が生まれる環境となります。
マグネットスペースを設けることで、例えば、紙の出力を待っている間、資料をステープラ―で綴じているとき、またはドリンクを飲んでいる間など、「最近仕事どう?」など、偶然その場所に居合わせたメンバー間での会話が発生し、コミュニケーションを促せます。マグネットスペースのつくる際は、コピーをする、ゴミを捨てに行く、ドリンクを買うなど、そこへ行く用事を作ることがポイントです。
マグネットスペースと業務効率を両立「サプライドック」
サプライドックとは、オフィスで使う文具・消耗品を1か所で集中管理する新しい運用方法です。コピーコーナーに併設すれば、文具を使う・取りに行くなど、そこに行く理由ができますので、偶然居合わせた人同士での会話が生まれるなど、マグネットスペースとして機能させる効果も期待できます。
社内カフェをつくる
社内カフェをつくることもインフォーマルコミュニケーションを発生させる取り組みとして効果的です。社員が気軽に立ち寄れる社内カフェがあると社員のリフレッシュになるだけでなく、部門を超えた社員同士が出会い、雑談する環境を作ることができます。
社内カフェに人が滞在しやすくするには、リラックスできる木製のデスクや座りやすいソファ席で居心地の良い空間をつくること、また、雑誌や新聞、社内掲示板、テレビを置くなど、そこに行きたくなる仕掛けをしてみるとよいでしょう。
フリーアドレス制を導入する
フリーアドレス制とは、個人を特定した固定席を設置するのではなく、空いている席に誰でも自由に座って仕事ができる運用のことです。毎日決まった座席だと、普段会話する人がどうしても隣の席の人に限定されてしまうなど偏ってしまいがちですが、フリーアドレス制は、毎日違う人が隣の席になるため、色々な人と接点を持つことが期待できます。
その結果、インフォーマルコミュニケーションも発生しやすく、社内コミュニケーションが活性化するというメリットがあります。
オンラインランチ・懇親会を実施する
テレワークや在宅勤務になると、どうしても会社に出社している人とコミュニケーションを取る機会が少なくなります。そのため、オンラインを活用した雑談の場を設けることが効果的です。
たとえば、新入社員歓迎のオンラインランチや、誰でも気軽に参加できるオンライン飲み会、ただ雑談を行うオンラインイベントなど、テレワークでも仕事以外のコミュニケーションが取れる場所をつくりましょう。そうすることで、インフォーマルコミュニケーションの誘発につながります。
在宅勤務の気分転換や新しいアイデアのきっかけ、交流の活性化ができるでしょう。
まとめ
インフォーマルコミュニケーションとは、普段の業務とは別に社内で偶然出会った人同士が日常的な会話、雑談、何気ないやりとりを行うことです。以前は、社内での雑談は業務と関係ないためタブーとされていましたが、近年では生産性が高まるとして注目されています。インフォーマルコミュニケーションが行われることで、社内の交流が活発化し、業務の効率も高まるため、ぜひオフィスへ取り入れてみてはいかがでしょうか。
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